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オーストラリアを襲うネズミの災厄

2004/02/20 12:32
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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先日わたしは著作権の保護期間を延長しろという米国からの圧力に屈したオーストラリアの判断について書いた。オーストラリアの法学者Matt Rimmerはこの問題について一貫して貴重な情報源でありつづけてきた。彼からの書簡の一部を許可を得てここに掲載する。語られるのは実にあきれ果てるような話だが、まだ希望はあるかもしれない。
とりあえずわれわれアメリカ人は、絶望的な状態にあるわが国の経済を助けてくれたことについて豪州政府に感謝の手紙を書くべきだろう。

Matt Rimmerから:

2004年2月15日

ここ数日間で、連邦政府は延長を擁護するために(1) 競争力、(2) 現れつつある国際的トレンド、(3) 協定全体から見たトレードオフ、という3つの点を主張した。

(1) 司法長官Philip Ruddockは、2月13日の金曜日にブリスベンで開かれた会議において、自由貿易協定[Free Trade Agreement]は米国経済へのアクセスを可能にすることでオーストラリアの競争力を強めるとして保護期間延長を擁護した。しかしながら、知的財産と競争レビュー委員会[Intellectual Property and Competition Review Committee]の報告、およびAllensリポートが不十分な論拠しか提出できなかったことから、この主張は疑問である。

(2) Ruddockはまた、政府は「現れつつある国際的トレンドに従っている」として、オーストラリアは以前から知的財産に関する多国間で承認されたシステムを尊重してきたと語った。

だが、オーストラリアは他の分野での国際的トレンドには従っていない。例としては"sui generis"なデータベース保護法、包括的な演者の権利、また伝統知識法[traditional knowledge law]などが挙げられる。

また、協定は依然“ハーモナイゼーション”[一致、調和]を欠いており、企業名義で公表される著作物に対する米国の扱いは、EUおよびオーストラリアと異なったままだ。

豪州政府は、延長は遡及的なものではないと繰り返してきた。だがこの主張は来月になって自由貿易協定の全文が公開されるまで確認することはできない。

(3) 通商大臣Mark Vaileの広報官は、著作権の延長は1月1日から施行されるが、それ以前の利用について著作権料は発生しないとし、オーストラリアの著作権保有者はこの変更を歓迎するだろうと語った。「さらに20年の追加は必要ないだろうというのが我々の立場だった……しかし、全体としてみた協定には満足している。」

連邦政府はしかし、著作権期間の延長が取引上なんの犠牲になったのか明かそうとしない。米国の製薬会社が反対する医薬品助成スキームなのか、あるいは一部の農作物に対するより広い市場なのか。判別は難しい。

2004年2月8日

オーストラリア連邦政府は著作権期間を延長しないというかつての約束を裏切った。

連邦政府はかつて、著作権の保護期間を延長しようという複数の提案を拒否してきた。高名な経済学者Henry Ergasと知的財産学者Jill McKeoughの率いる知的財産競争レビュー委員会は、EUおよび米国に同調して保護期間を延長すべきか否かを調査したが、延長を支持する経験的証拠はなにも見つからなかった。結果として委員会は、オーストラリアにとって著作権の保護期間を延長する正当な理由はないと提言した。

2003年11月、通信-IT-芸術大臣Daryl Williamsの広報官は、「(政府は)著作物がパブリックドメインにあることの価値を理解している」と語り、またSydney Morning Herald紙に対して「政府は著作権を強化するいかなる提案も、わが国がコンテンツの純輸入国であるという点に照らして検討する。現行の著作権法は、コンテンツおよび文化産業への投資とイノベーションを促進しつつ、わが国の消費者、教育者および研究者に対して著作権のあるコンテンツへの妥当なアクセスを提供している」と述べた。

2003年12月、通商大臣Mark Vaileは著作権保護期間を延長しないことを確約し、Australian Financial Reviewに「これはオーストラリアにとって、特に図書館や教育機関などに課されるコストの点で重要な問題だ」「著作権の保護期間延長に強く反対する数多くの有権者が存在しており、われわれはその主張を理解している」と語った。

その2カ月後には、連邦政府はアメリカ合衆国からの圧力にやすやすと屈したようだ。自由貿易協定の知的財産に関する部分には、新たに「著作権保護期間の延長」が加えられた。これは知的財産競争レビュー委員会の提言と完全に対立する。

重大な疑問がひとつ:政府の判断はどのような経済的証拠に基づいているのか。Allens Consultingによる報告の信頼性は広く批判にさらされており、期間延長を支持する経済的根拠はないとする複数の有力な議論が存在している。

もう一点:保護期間の延長は遡及的、つまり過去に遡って適用されるのか、それとも新たに与えられる著作権にのみ適用されるのか? もし遡及的なら、一度パブリックドメインに入った著作物が再び保護されることになる。この点を明確にするのは重要だ。

著作権保護期間という犠牲は、農業の分野でこの協定から得られるいかなる利益にも値しない。協定は農業分野に関しても包括的なものではない。もっとも顕著な例では、砂糖は協定から除外されており、牛肉については延期、また乳製品への関税はそのまま残されている。

[オリジナルポスト 2月16日午前7時12分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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