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大統領の日のレッスン:市長の義務

2004/02/18 17:17
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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サンフランシスコ市長は州法のひとつが州憲法違反であると判断し、市職員に対して法に背き憲法に従うよう命じた。わが友人Dan Gillmorはこれに問題を感じている。Gillmorは他のあらゆることについて正しい人物だ。そして市長は多くの重要な問題について間違った判断をしている。では、どちらが正しいのだろう? それに答えようとしてみよう。

これは最初の印象よりも複雑な問題だ。またカリフォルニア州法にはわたしにとって理解しがたいなにか奇妙なところがある(間違いを指摘してもらえればありがたい)。だが答えを決めるのは、同性間結婚が正しいか間違いかではない(わたしはGillmor同様、同性愛者のカップルが他の人々と同等に強く有効な形でおたがいの関係を認められる権利を、州が否定できる正当な理由はないと信じている)。そうではなく、答えは行政官の役割をどうみるかにかかっている。

われわれの連邦の伝統では、施行を求められた法律の合憲性について独立した審査をおこなうことは、永きにわたって行政の長の(また議会の)義務でありつづけてきた。これは最高裁が法律の合憲性を問うことができるのとおなじ根拠に基づいている(憲法には最高裁の違憲審査権を明示的に認めている部分はない)。最高裁にその権限を与えている論拠は、行政長官にも適用できる。

例を挙げよう。憲法は「反逆罪」を罰するいかなる法律も、すくなくとも2人の証人なしには有罪と認められないよう定めている。ここで議会がただひとりの証言にもとづいて有罪を決められる法を成立させたとしよう。大統領は、たとえ最高裁がなんらかの判断を下す前であっても、法の執行を拒否、あるいは少なくとも2人の証人なしに訴追がおこなわれないよう司法長官に要求する、あるいはこの違憲の法律によって有罪を宣告されたもの全員に恩赦を認めることができる。大統領に就任したThomas Jeffersonはまさしくこの通りのことをした。外国人法および治安法[Alien and Sedition Act]で有罪とされた全員を赦免したのだ(法廷はこの法律を違憲と認めることを拒んでいた)。

この話の複雑さは、200年間にわたって変化してきた慣行からきている。何人かの大統領(Lincoln, Reagan)は法の合憲性に対する独立した審査の義務を主張した。だが一般には、われわれの法的伝統は憲法上の判断を法廷に委ねてきたようだ。

わたしはこれをひどい状況だと思う。最近のもっともはなはだしい例は、一方で違憲と主張しながら、McCain-Feingold選挙資金法を成立させた大統領の行動だ。もしその法案が憲法違反だと信じているのなら、一体どんな権威によってそれに署名できるのだろうか。Washingtonは、大統領が拒否権を発動できる唯一の理由は合憲性に問題がある場合だと考えていた。しかし、(1) 憲法を守ると宣誓したうえで、(2) ある法案が違憲だと主張しながら、 (3) にもかかわらず法案に署名してみせる、のはまったく言語道断だ。

より多くの行政官(そして立法者)が、Lincolnが示した重要な区別に従いつつ、それぞれの憲法上の義務と真剣に向き合うようになればと思う。法の合憲性に対する各自の最善の判断に基づいてその行動を吟味するようになればさらによいだろう。そして主張と行動を一致させることによって、それぞれの判断に対して責任をもつようになればもっとすばらしい。だからわたしの考えでは、Newsom市長の行動は正しい。もしそれがかれの他の判断と一貫しているのなら。

重要な但し書きがひとつ:法の仕組みにはある程度の協調が必要だ。もし法廷がひとつの法律を合憲と判断したのなら、行政官にはその判断に同意しない権利も、あるいはそれが覆されるように働きかける権利さえあるが、すくなくともその件に関しては問題の法を遵守しなければならない。だからこそLincolnは、Dred Scott裁判に法廷が下した判断は誤りだと信じつつ、ひとたび判断が下されたならばそれに従うのがかれの義務であると考えたのだ。よって、もしカリフォルニアの最高裁が問題の法律は違憲ではないと判断したなら、Newsom市長もそのときは裁判所の判断にしたがうべきだ。

[オリジナルポスト 2月16日午前6時56分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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