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オーストラリアの著作権期間延長、低劣な分析

2003/10/22 09:47
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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Michael Geistが書いているように、2国間の貿易協定を通して自国の著作権政策を輸出することはますます合衆国政府の慣習となりつつある。現在まとまりつつあるオーストラリアとの間の協定がその例のひとつで、オーストラリアの著作権期間を作者の死後70年へ延長することを求めている。

Allen Consulting Groupが、提案されている期間延長に対する経済的分析と称するものを提出している。この報告書はMotion Picture Associationほかの依頼によるものだが、中身はなんとも情けないものだ。

以下でこの報告書の誤りをいくつか示すが、これがAllen Consulting Groupの仕事全般を代表するものでないことを彼らのために祈るばかりだ。

この報告書は期間延長に対する分析への“主要な理論的貢献”として、1989年にPosnerとLandesによって書かれた論文を挙げてはいるものの、もっとも驚かされる点は、5人のノーベル賞受賞者を含む17人の経済学者がEldred裁判へ提出した(そして現在AEI-Brookingsによって公開されている)意見書の適切な取り扱いに失敗していることだ。この意見書に関してはLiebowitzとMargolisによる明晰な批判があるものの(私はその批判は誤っていると考えているが)、これが著作権期間延長に対するあらゆる経済的分析の枠組みをつくったことは確かだ。(Posner/Landesの論文は期間の長さ一般に関するもので、期間の延長についてのものではない )。

意見書でAkerlof他の経済学者が分析したように、期間延長に関するいかなる考察にとっても決定的に重要な論点は、すでに存在する著作権の延長と、将来発生する著作権の期間延長との区別だ。この重要な区別はAllen Consulting Groupの報告書のどこでも触れられていない。結果として読者は、新たに作られる作品に対する期間延長については真であっても既存の作品に対する遡っての延長には当てはまらない議論と、将来の延長に対しては偽だが遡及的延長については真である議論との間を最後まで曖昧に行き来させられることになる。Allen Consulting Groupはこの意見書に脚注で触れはするものの、経済学者たちによる分析が提起したもっとも重要な問いにはまったく触れることがない。その問いとはこうだ:「新たに作られる作品の著作権延長に意義を認めるかどうかはともかく、すでに存在する作品の著作権延長を正当化するどんな理由がありうるのか」

アメリカでは、答えは簡単なものだ:「ハリウッドが得をするから」。だがオーストラリアでは?

さらに苛立たしいのは、この報告書が経済的分析を名乗るという厚かましさだ。文中ではたびたび、期間延長の影響についての主張は肯定否定の双方ともに誇張されていると書かれるが、どの主張がどのように誇張されているのかという具体的な根拠はどこにもない。そして有用な証拠はどこにもないとした後、すべてを考慮すれば期間延長の影響は中立的であり、ゆえにオーストラリアはこれを実施すべきだと結論づける。

この報告書を読む際に参考になるかも知れない注釈を追加したバージョンを置いておこう。この議論に関して私が中立でないことははっきりしているが、Allen Consulting Groupがこの報告書に対してせめて多額の支払いを受けたことを祈る。客観的な経済的分析を提供するコンサルティンググループとしての評判に良い影響がないことは確かだ。

[オリジナルポスト 10月20日午前10時23分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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