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ポール・クルーグマンの鋭いコラム

2003/09/03 15:57
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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普段読むもののなかでも、ポール・クルーグマンのコラムは特に気に入っている。彼の最新のコラムはこれまでで最高のひとつだ。

連邦政府のエネルギー規制委員会FERCは、“カリフォルニア電力危機中の価格操作で告発された複数の電力会社”との和解に達したようだ。これらの企業はさまざまな価格操作を通して、カリフォルニア州民に89億ドルの損害を与えた――電力危機の頂点に結ばれた長期契約のおかげで今われわれが支払わされている異常に高い電気代はこれに含まれていない。

これに対して、FERCが電力会社に支払いを命じた罰金は合計で100万ドルにすぎない。クルーグマンの計算によれば、州民が被った損害1人につき250ドルに対して、電力会社は3セントの罰金を支払うということになる。

故意による災害で得た約90億ドルに対して、100万ドル。

これがどんなものか、少々比較をしてみよう。

サーチエンジンを運営したことでRIAA[米レコード協会]に訴えられた学生Jesse Jordanは、RIAAの主張によれば、レコード会社に1500万ドルの損害を与えたという。訴えられた4名の学生たち(同じくサーチエンジンを作った)が与えたとされる損害に対して、RIAAが要求する金額すべての合計を計算すれば1000億ドルに達する。なぜなら、RIAAの法解釈によれば、1曲のダウンロードに対して15万ドルの賠償責任が発生することになっているからだ。別の言い方をすれば、RIAAの主張では、カリフォルニア州民から90億ドル騙し取る方が、P2Pサーバから10曲ダウンロードするより安くつくということになる。

「いや、それは違うだろう」と言うかもしれない。

「それは偏った比較だ。あり得る罰金の上限と、実際に課された金額とを比べてるじゃないか」と。

なるほど。では実例どうしを比較してみるとしよう。

2000年1月、mp3.comは“my.mp3.com”というサービスを開始した。登録したユーザーはmp3.comのソフトを使ってログオンし、音楽CDを自分のコンピュータに入れる。するとソフトがそのCDを識別して、ユーザーがコンピュータを通じて内容にアクセスできるようにする。これで、例えばあなたがJill SobuleのCDを挿入したなら、仕事先からでも自宅でも、自分のアカウントに登録した曲を聞くことができる。つまり、ケーブルテレビを加入者だけに視聴可能にするデコーダボックスの音楽版のようなシステムだ。

違法にコンテンツを複製するためにもこのシステムが利用できることは間違いない。だが、その機会はMP3.comがあろうとなかろうと存在していた。my.mp3.comサービスの目的はユーザーに彼ら自身の所有するコンテンツへのアクセスを提供すること、そしてその副産物として、ユーザーがどんなCDを所有しているかという情報をもとに、どんな音楽がユーザーに好まれているのかを知ることだった。

だが、このシステムを機能させるために、mp3.comはまずCD5万枚のデータをサーバにコピーする必要があった(もちろん、ユーザーに音楽をアップロードさせることもできたはずだが、ひどく時間がかかる上、品質に問題のあるmp3ファイルができてしまう可能性があった)。そこでmp3.comはレコード店から五万枚のCDを購入し、mp3ファイルの作成を開始した。繰り返すが、目的の曲のCDを持っていることを証明したユーザー以外からのアクセスは不可能だった。よって、確かにこれは5万枚のコピーだが、それはユーザーが既に所有している音楽へのアクセスを可能にするためのものだった。

mp3.comがサービスを開始してから9日後、RIAAに率いられた5大レーベルはmp3.comを相手に訴訟を起こした。mp3.comは5つのうち4つのレーベルと和解した。9カ月後、連邦裁判所の判事は、残る1社の著作権に対する意図的な侵害についてmp3.comの有罪を宣告し、1億1800万ドルの罰金支払いを命じた。MP3.comは残る1社ビベンディ・ユニバーサルに5400万ドルを支払うことで和解した。

カリフォルニア州民から90億ドルを騙し取っても100万ドル払えば済む。だが、人々がすでに購入したはずの音楽へのアクセスを容易にする新しい技術を開発すれば、5400万ドル以上を支払うことになる。

これがわれらの時代の価値観というものだ。

[オリジナルポスト 9月2日午前11時25分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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