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ジョン・ギルモアの返答

2003/08/06 10:55
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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ジョンがブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の機上で体験した出来事についてのコメントに返答を送ってくれた。私の見方はこちらにポストしてある。

ジョン・ギルモアより:

寄せられたコメントを面白く読ませてもらった。ここで返答したいと思う。まずはSeth Finkelsteinの「釣り」に触れておくべきだろう(もちろん、そう呼んで私を非難する行為を実際にやっているのは彼自身だ――明らかに馬鹿げた主張を行い、人々がそれを真面目に受け取るさまを見て喜んでいるのだ)。

BAでの出来事から2日後、私はヴァージン アトランティック航空機でロンドンへ飛んだ。襟元に同じボタンをつけていたが、他の乗客、乗員、パイロットの誰もヒステリーは起こさなかったと報告できてうれしく思う。ロンドンにいるときも同じボタンをつけていた。英仏海峡を渡るとき、クルーは私のパスポートにほんの一瞬しか注意を向けなかった。私はパリでも同じ物を身につけた。

このボタンはジョークなどではない。これは人が同意あるいは反対する真剣な声明なのだ。人々が見失っているように思える点は、“テロリストの疑いをかけられた者”と“テロリスト”とは違うということだ。だが、これこそがいま起こっている:全ての市民を容疑者扱いし、全ての容疑者をテロリストとして扱う。

ロンドンとパリでは、新聞がグアンタナモ基地のことを真剣に扱っていた。それぞれの国の市民が裁判もなしに拘留されているからだ。腐敗した合衆国政府は発見された米国人1人は巧妙にも解放したが、他の国の人間は、同盟国として戦争に参加した国の市民であってもいまだに牢に入れられている。審理もなく弁護士もないままに、大統領の命令に服従することを誓った判事によって軍事裁判にかけるためだ。社会と法廷がわれわれのファシスト指導者を野放しにしていれば、いずれアメリカ国民――私自身のような――も同様の扱いを受けることになると私は信じている。

BAの機内に手荷物として持ち込んだ今月号のReason Magazineには、カバーストーリーに同じ「テロリストの疑いありSuspected Terrorist」という見出しと私の写真が使われていた(機上で読む物を検閲しようなどとは思いつきもしなかった私には、きっと政治的再教育が必要なのだろう。Declanの記事も含めてまだほとんど読んでいなかったし、休暇先で会うヨーロッパ人に見せたかったのだ)。BAでの事件のあいだこの雑誌を取り出すことは一度もなかったが、もし手に取っていたら、おとなしく座席に座って本を読んでいるだけでも飛行機から退去させられる理由になったのだろうか(ボタンを着けていたかに関わらず)。

私は(幸運にも!)弁護士ではないが、法律の問題は理解している。鉄道や航空といったコモンキャリアによる乗客輸送はその約款によって規定され、政府によって監督されている。公共性の低い他の輸送手段と異なり、コモンキャリアは好き勝手な理由で乗客を拒絶することは許されていない。その見返りとして、コモンキャリアには乗客の行動(危険な物資の輸送、知的財産の侵害など)に対する免責が認められている。このBAの“乗客規約”も政府に提出された約款の一部だ。第7節に注目しよう。彼らが乗客を拒絶できるのは…7)地上スタッフあるいは乗員による、安全もしくは保安に関わる指示に従わなかったとき。
乗員の権威が認められているのは、乗客に対して安全もしくは保安に関わる指示をだす場合に限られる。読書を止めるようにという命令はこの条件を満たさないだろう。

一部の人々(ミスタ・釣り師も含む)は、機内の誰かが私の小さなボタンに書いてある内容を読んでパニック発作を起こすかも知れないという取るに足らないリスクゆえに、これを安全の問題として扱いたがっているようだ。まるで私が「火事だ!」と虚偽の叫び声をあげることで、パニックに駆られた乗客が暴走を始める危険を冒したかのように。彼らは他者の行動についての責任は私にあると考えているようだ。もし私がその飛行機に乗っていたとしたら、例のボタンを着けているかどうかに関わらず、まず退去してもらいたいのはパニックに駆られて問題を起こす人間の方であって、おとなしく席に着いている人間ではない。

(同様に、一部の人は他の乗客が被った不便について私に責任を負わせたいようだ。ヴァージン アトランティック航空が示したように、航空会社は乗客が不便な思いをするかどうかを完全にコントロールしている。)

自己弁護のためにもうひとつ言わせてもらえば、最近は航空機を利用する機会がほとんどなくなったので、収容所の生活に慣れていないということもある。ボタンを外せという指示を拒否したことで、飛行機をゲートまで戻されるなどとはまったく予想もしていなかったのだ。だが仮に航空機を頻繁に利用していたとしても、同じ行動をとっていただろう――自由な市民を全体主義体制下の奴隷に貶めようとするルールに絶えず反発し続けるために。私はこの国の憲法に定められた権利と、私自身のインテリジェンスとリソースを使って抵抗している。
あなた方読者のあまりにも多くが、威張り散らす抑圧者の命令で自らの暮らすゲットーの周囲にレンガの壁を築いたポーランド人たちに似ている――映画『戦場のピアニスト』で描かれたように(ヴァージン アトランティックのフライト中に見たのだ)。現在、アメリカがその威張り散らす抑圧者の役割を演じている――自国内で、イラクで、そして全世界で。(もし信じられなければ、自由な国々まで出かけて辺りの人に尋ねてみればいい)。

この問題に関連した興味深い出来事をいくつか挙げておこう。

そしてなによりも、Floyd McWilliamsがこの議論のどこが問題なのかという完璧な例をポストしている。

「ギルモアは“テロ容疑者”扱いされたことで侮辱されたという。しかし“人物を特定する”ことを除いて、どうやって航空会社は彼が無害な乗客だと分かるんだ?肌が浅黒くないから低保安リスク扱いを期待しているのか?」

そうではない。私が無害な人間として扱われることを期待したのは、他人に害を与えなかったからだ。私が無実の人間として扱われることを期待したのは、なんの罪も犯していなかったからだ。

[オリジナルポスト 8月2日午後8時34分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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