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匿名でいられる権利

2005/10/11 07:25
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kondo

人力検索やダイアリー、アンテナなどユニークなサービスでおなじみの「はてな」。そんなはてなを率いる近藤淳也氏が、ネットのコミュニティやサービスのあり方について独自の視点で切り取ります(このブログの更新は2006年2月9日で終了しました)。
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社内での議論や方針をなるべくオープンにしていこうという方針がありながら、それをうまくできなかったのが昨年末の住所登録問題でした。

住所登録問題とは、はてなに登録しているユーザー全員に住所を登録してもらうという方針を発表し、ユーザーや外部から様々な意見を頂いた後、結果として住所登録を撤回したという一連の出来事です。

はてなではユーザーが自由に発言や写真などを登録し公開することができますが、その中には違法性のあるものが含まれる可能性があります。しかし、違法性のある情報を登録したユーザーが誰なのか、ということをはてなが正確に把握しているわけではありません。メールアドレスやIPアドレスから捜査を行っても、正確に特定することが困難な場合もあるでしょう。

そうした事態に対応できるよう、ユーザーに住所を登録していただき、もう少し個人を特定したいと考えたのが事の発端でした。

特に事前にユーザーとの対話などが無いまま住所登録の方針を発表すると、たくさんのユーザーから質問や批判的意見、失望の声などが寄せられました。その後、多数のユーザーや法律専門家、セキュリティ専門家などと協議を続け、約1ヵ月後にこの方針は撤回しました。

一連の出来事を終えて強く感じたのは、十分に社内で議論を行ったと思っていても、時としてその内容が多くの一般ユーザーの意識から大きくずれたものになり得るということでした。社員全員で同意をしたとしても意見が足らない可能性がある事、誤った判断を行う可能性がある事を受け止めなければいけないと感じました。

大きな問題が発生しない期間がしばらく続くと、広く様々な意見を聞こうという意識が低くなっていたのかもしれません。

住所登録に反対する意見の中には、はてなの情報管理体制への質問や様々な内容が寄せられましたが、その中で実際に意見を頂くまで深く考えられていなかった内容に「匿名でいられる権利」がありました。

家庭内で夫には見せられない自分の一面をはてなダイアリー上で書いているのに、ユーザーの住所確認の手紙が自宅に届き、はてなを利用していること、日記に書いている内容が家族に知れたらと思うと二度とはてなを使えなくなる、といった意見がいくつもありました。

これらの意見を読んで、インターネットでの活動を実生活に結びつけずに居られる権利、というものが存在するのだなと強く感じました。インターネットの中だけで別の人格を形成して活動したり、普段は見せない自分の一面を吐き出したりできることもまた、インターネットの大きな可能性の一つだと思います。

住所登録問題は結果としては何も制度の変更も無く、ただ多くの方々に心配やお手間を取らせて終わったわけですが、せめてこの経験から学んだことを今後に最大限活かしていこうと考えています。自分たちの頭は万能では無いことを、いつも忘れずにいたいものです。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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