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    カードゲームで人間を知る

    2005-08-11 08:01:33

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    kondo

    人力検索やダイアリー、アンテナなどユニークなサービスでおなじみの「はてな」。そんなはてなを率いる近藤淳也氏が、ネットのコミュニティやサービスのあり方について独自の視点で切り取ります(このブログの更新は2006年2月9日で終了しました)。
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    合宿の話が出たところで今回は少し脱線して柔らかいゲームの話題に触れたいと思います。(そろそろお盆休みですしね)

    僕は「大富豪」というゲームが好きで、合宿に行くとよくこれで遊びます。大富豪(大貧民)はご存知の方が多いと思いますがカードゲームの名前です。持ち札を順番に切っていって、最初にカードがなくなった人が勝つというルールです。買った順番に「大富豪」「富豪」「平民」「貧民」「大貧民」といった名前で呼ばれ、「大富豪」は常に勝ち続けないといけません。勝ち続けることができなければ「都落ち」して大貧民に転落してしまいます。貧民は富豪に対して一番強いカードを年貢のように納めなければなりません。ゲームの途中で「革命」が起こることがあり、カードの価値が逆転してしまったりします。

    少し前にとある高校で「起業家として授業をして欲しい」と頼まれたことがあり、どんな授業をしたものかと考えた挙句に、生徒に5人ずつグループを作ってもらって事前に1時間大富豪で遊んでもらう、ということをやりました。

    わざわざ高校生にカードで遊んでもらったのにはわけがあります。ゲームを通じて、色々なことが分かると思ったからです。

    高校で授業をやる前に僕がお願いした条件は以下の通りです。

    • カード交換は少し多めで2枚(大富豪⇔大貧民)と1枚(富豪⇔貧民)
    • ジョーカーを2枚入れること
    • 革命は有効で、ジョーカーを使っても可能にすること
    • 都落ちを行うこと
    • 真剣に遊ぶこと

    つまり、なるべく格差をつけた上で、波乱が起きやすいセッティングを要求しました。(なるべく現実社会に近くして欲しかったのです)

    ゲームを進めていくと、プレーヤーには色々なタイプの人間がいることが分かってきます。勝利を収めると雄叫びを上げて喜ぶ人、悪いカードが来ると「なんでこんなカードしか来ないんだ」とぼやく人、いきなり勝利宣言をする人や、勝っても負けても表情ひとつ変えない人、良いカードが来すぎて手元が震える人…などなど。

    真剣に勝負をしてみると、こういうことが分かって本当に興味深いものです。別にどれが良くてどれが駄目だというのでは無いのですが、アントレプレナーの授業で僕が話したのは以下のような話です。

    まず、平民や富豪で居続けられるのが一番落ち着くという人。こういう人は起業家には向かないかも知れません。起業はハイリスクハイリターンの勝負の世界ですから、そもそも勝負を好む性格で無いと厳しいのではないかと思います。

    それから「こんなのは単なるゲームなんだから真剣になるのは馬鹿らしい」と真剣に取り組めない人も起業には向かないかも知れません。そもそも人生に目的なんて無いのですから、真剣に取り組めるゲームを各自が探さなくてはなりません。

    起業家に向いているのは、大富豪と大貧民を両方楽しめる性格の持ち主だと思います。大富豪になって勝っている時は楽しいけど、大貧民に転落したら一気にやる気をなくしてしまったり、逆に、大富豪になったはいいけどプレッシャーや緊張ですぐに失敗して負けてしまう、という場合には心を鍛える必要があるでしょう。

    大富豪にのし上がっても適度な緊張感を持って勝ち続けられるタフさと、大貧民に転落しても必ず這い上がってやるという粘り強さを鍛えましょう。

    勝っている状態と負けている状態の両方をどれだけ具体的に想像できて、自分がその状態に置かれるていることをどれだけ好きになれるか(負けている状態もです)が、大事だと思います。

    といった話をしました。聞いてくれた高校生たちに少しでも言いたいことが伝わっていれば良いなあと思います。

    ところで最近、小学校の徒競走であらかじめ順番を決めて競争をさせない学校や、徒競走を廃止する学校が増えている、という話を聞きますが、こうした教育方針にはとても疑問を持っています。

    勝負からは色々なことを学ぶことができます。勝つためにどうすれば良いかという方法論や勝つために努力することの重要性、その分野への向き不向きや人間のタイプ、勝負の美学などなどです。勝負には美しい勝ち方と汚い勝ち方があることを、勝負をせずにどうやって学べばいいのでしょう。

    子供から競争を取り上げるのではなく、むしろ色々なゲームを用意してあげて、一人一人の子供が「この勝負なら自分でも勝てるかもしれない」というゲームを発見することを手助けすべきだと思います。もちろん、勝負を好まない子供のフォローも大事ですが、全員がそういう子供ではないはずです。

    得意なゲームを見つけられたら、例えば自分は徒競走なら勝てるからスポーツ選手を目指そうとか、味覚なら負けないから料理人を目指そうとか、社会に出て何を職業にしていくかを探す手がかりがつかめるのではないかと思います。

    実社会では競争が多様化して、自分がどの競争に参加するかを見極め、どれくらい真剣に勝負できるかが問われようとしているのに、ゲームすること自体を取り上げてしまうのはおかしいように思います。

    050811card.jpg
    (1週間ほど更新をお休みします)

    ※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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