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CNET Japan ブログ

情報の私物化を禁止する

2005/07/27 11:11
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kondo

人力検索やダイアリー、アンテナなどユニークなサービスでおなじみの「はてな」。そんなはてなを率いる近藤淳也氏が、ネットのコミュニティやサービスのあり方について独自の視点で切り取ります(このブログの更新は2006年2月9日で終了しました)。
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前回は各個人のコミュニケーション能力について触れましたが、社内での情報共有を活発に行うにあたって他にどういう問題が発生するかを、自分自身の起業からの出来事を振り返りながら考えてみたいと思います。

まず、はてなでかなり初期に表面化してきたのがプログラムのコードの共有についてです。特に、受託開発案件の開発を主に行っていて、各担当者が別々の案件を担当していた頃には、それなりに意識的に努力をしないとプログラムコードの共有は実現できませんでした。何もしなければ、各プロジェクトの担当者が自分のクライアントと直接やり取りして、自分のパソコンにコードが全て入っている、という状態になってしまいます。同じプロジェクト内でも、各開発者の担当箇所を別々に作り、お互いのコードがどうなっているかは知らない、という状態になってしまいがちです。

しかし、よくよくコードを見比べてみると同じような仕組みを別々のプロジェクトが別々に作っていて、汎用的なライブラリを1つ作った方が効率的だった、とか、ある案件のプログラムはコードの品質が低くバグが入りやすい構造になっているが、誰も全くそれに気付かなかった、といった問題がしょっちゅう起こります。

こうした問題を回避するために、「プログラムは個人のものではなく、会社のものである」という意識を徹底してきました。

こういうときに社内では、「情報の私物化をしない」といった言葉を用いています。ソフトウェア開発会社にとって情報は重要な資産であり、その資産の有効活用こそが会社全体での生産性の向上に不可欠です。プログラムコードは、その情報の中でも製品を形作る重要な資産なのです。

会社のサーバーを勝手に個人用途に使ってはいけないのと同様に、会社の重要資産であるコードを自分のPCにだけしまっておくというのは、資産の私物化に他ならないと考えています。

実際には、共有ファイルサーバーを立ててプロジェクトごとのファイルを共有したり、CVSサーバーにリポジトリを作成してコードの共有を行っています。

コードだけではなく、社外との打ち合わせ内容やメールの内容も同様です。例えば受託案件を請け負っていて、担当者がクライアントからの無理な要求をのんで見積もり外の作業をしてしまっている、といった状況があった時にどうすれば他の社員が気付くでしょうか。

社外とのやり取りのメールや打ち合わせの内容についても、コードと同様、守秘義務契約などに違反しない範囲でなるべく社内で共有をしています。メールはメーリングリストに転送を行っていますし、会議の議事録は社内グループウェアにアップします。

こうしていれば、「なんだかおかしいな」と思った時に少し情報を調べれば、すぐにおかしい原因が分かるようになります。

ここで大事なのは、「その情報を出すべきかどうか」を情報発信者が判断するのではなく、全ての情報を出しておいて、情報閲覧者が「その情報を読むべきかどうか」を判断すればよい、と考えることです。

ですから、「まるで興味の無い話をこんな場所に書くな」みたいな話が出た時には、どうすれば興味のある話だけを読む仕組みが作れるか、と考えるべきで、どうしたら興味の無い話を書く社員の口をふさげるか、を考えてはいけないと思います。

「情報の私物化の禁止」、「情報の取捨選択は閲覧者が行う」といった原則を継続的に徹底していくには、注意深く日々の業務を見直し続ける努力が必要です。

こうした努力を継続的に行っていくには、各社員の中に情報共有に対する前向きな姿勢や理想像が必要ですが、自分自身、こうした姿勢がどこから来たのかを考えてみると、このブログの最初の頃に触れた少年時代の情報の隠蔽への嫌悪感に近い意識や、オープンソースプロジェクトに対する感動などが影響していると感じます。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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