最終更新時刻:2009年11月10日(火) 19時46分
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日米のメディア比較から探るコンテンツの価値 2/2

公開日時:
2007/06/26 01:56
著者:
木場 雄一郎

前回はヤフー動画やGyaOといったテレビ型動画配信サービス(プロが制作しきちんと権利処理されたうえで番組供給されるサービス)についての環境分析で、日米のコンテンツホルダーと、メディアの多様性について述べた。
 →『日米のメディア比較から探るコンテンツの価値 1/2』

今回は日本市場において、テレビ型動画配信サービスが成功するための条件を考えてみたい。もちろん良質なコンテンツを数多く継続的に配信できることが、成功の大きなポイントとなるのは間違いないが、問題はその調達方法である。
そこで、コンテンツの調達先別に優位性と課題を検討してみたい。

1. 在京キー局を中心としたテレビ局
最新のテレビ番組から過去のライブラリーまで、消費者に馴染み深いコンテンツを膨大に保有するテレビ局とのパートナーシップは理想といってもよい。問題点はテレビとネットとの圧倒的な媒体力の差である。ネットでの動画配信サービスがテレビ視聴と競合以上は、テレビ放送ほどの収益が見込めないネット配信へ、コンテンツ提供するとは考えにくい。更に映像コンテンツを配信するだけなら、テレビ局自身でもできてしまう。
この場合ネット配信サービスが採るべき戦略は次の二つが考えられる。
一つ目はテレビ放送と競合しないサービス作りである。テレビの至上命題は24時間という限られた放送時間の中でできるだけ高い視聴率を稼ぐことである。最近週末に平日夜のドラマのダイジェスト版を放送し、これまで見逃した人でも次週から追いつけるようにしている例が見られるが、これも媒体フィーの高い平日夜9時台の視聴率を上げるための戦略である。
これと同じような役割をネットサービスが果たせるのであれば、テレビ局にとってもコンテンツ提供のメリットが大きくなり、協業の可能性が見えてくる。
二つ目はネットサービス企業が、サイト全体で高い収益性を確保する(PVあたり売上を高める)ことである。動画配信以外のサービスも含めてサイト全体で高い収益を確保できれば、それだけコンテンツ獲得の原資が確保でき、競合サイトおよびテレビ局サイトと比較して有利な条件提示が可能となる。検索連動広告において、GoogleはYahoo!と比較してPVあたりの売上が高く、ツールバーなどのディストリビューションにおいてDellやAdobeとの大規模な契約締結に成功している。

2. 地方、CATV、CS放送局
地方のテレビ局やCATV、CS放送局をパートナーに選ぶ場合でも、基本的には在京キー局と同じ役割や収益力が必要とされるであろう。しかしこれらのコンテンツホルダーは、在京キー局ほど財務面で安定している企業は少なく、全国のユーザーへアクセスを持つネット企業が魅力的なパートナーとなれる可能性は高い。

3. 独立系制作者、プロシューマー
これまで見てきた二つのパターンは、いずれもメディア企業がコンテンツを保有するパターンであった。一方コンテンツ制作専門でメディアという流通機能を持たないコンテンツホルダーも多い。また最近では編集機材の低価格化により、アマチュアでもプロ並みのコンテンツを制作する、いわゆるプロシューマーと呼ばれるコンテンツ制作者も登場してきた。
彼らは流通機能を自身で持たない故に、ネットメディアをパートナーに選ぶ可能性は高いと考えられるが、コンテンツのクオリティ担保が課題となる。

こうして見てみると、在京キー局が多額の予算をかけて制作するような価値の高いコンテンツを獲得するためには、ネットメディアにも相当の機能と収益性が求められることが分かる。しかし現時点において、ヤフー動画もGyaOもその機能と収益性を実現しているとは言いがたい。サービスの再ポジショニングやマネタイズ強化が求められる。

4. 海外のコンテンツホルダー
前回のエントリでも述べたとおり、海外においては制作会社がコンテンツの権利を保有している場合が多い。またテレビ局も日本と比較してネットメディアの利用に積極的である。このような背景から海外コンテンツの調達は比較的容易であると考えられるが、日本の消費者に受け入れられるコンテンツを発掘するのは容易ではない。

日本においては送信可能化権をはじめとする現行の著作権も、ドラマなどのコンテンツの2次利用を阻害する大きな要因となっていると考えられるが、本稿ではコンテンツ調達とメディア特性に焦点を絞った。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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