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寄付事業2.0となるか? kiva.orgの挑戦

2008/01/21 18:12
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「寄付2.0となるか?kiva.orgの挑戦」

「募金にご協力ありがとうございました!」という言葉をいただくと、いい事をしたという気持ちで、心が非常に清々しくなる。しかし、その募金がどのように使われているのかには、実はあまり注意が行き届いていなかったように思う。そしてそれから先、預けた寄付金の行方は寄付団体に委ねるしかなかった。

2004年、サンフランシスコのソーシャルアントレプレナーが、ふとしたアイデアで始めた慈善事業は、それらの寄付にまつわるいろんな問題を解決するアイデアに満ちていた。

■2004年、Kiva.org設立

Tivo社(米国のPVRメーカー)で勤務していたマットが妻のジェシカとレストランで食事をしていた時のことだ。ジェシカがふと、「貧しい国の人に単に寄付するだけでなく、お金があれば自立できそうな人に、寄付で集めたお金を無利子貸してあげ、それらが返却されたら、また、次の人へと貸していければ、もっとたくさんな人を助けられるのに…」と相談したことがkiva.orgの創業のきっかけだ。

http://www.kiva.org/

マットはジェシカの願いを実現し、kiva.orgを2004年にスタートさせた。2005年にはマットはTivo社を辞職し、Kiva.orgのCEOとしてフルタイムで働きはじめた。

まるで、eBayの創業者ピエールが恋人から「ペッツをインターネットで集めたいの」というリクエストされ、eBayを作った話に似ている。リクエストの高尚性は問わないが、eBayのネットオークションによって、消費されるだけの製品が永遠のリサイクル構造となったことは偉業ではないだろうか?それだけではなく、新たな流通の形体が生まれ、購入時点で再販価格を考えて購入するという全く新しい消費行動を生みだした。これはネットという特性による新しい「作用力」といえるだろう。

kiva.orgの目のつけたポイントは「寄付」ではなく、「レンド=貸し付け」という仕組みである。発展途上国でも、資金があればなんとか自立し、事業を起し、雇用を作れるという社会的影響だ。それはマイクロファイナンスと呼ばれる、無担保小額資金融資のシステムをネット上でいつでも「可視化」できるようにしたことによって、「マイクロファイナンス」の理想形が見えつつあるからだ。

マイクロファイナンス
http://www.ide.go.jp/Japanese/Research/Theme/Eco/Mic/

さらに、現地のフィールドパートナーとしての慈善団体からも貸借状況のレスポンスがもらえ、貸借状況をレンダー(貸付け者)がいつでもウェブで確認できる点が、新しい形体の慈善活動サイトとなっている。

■発展途上国に寄付ではなく、レンドするという発想

発展途上国では、資金援助を申し出ている人たちの大半が、1000ドル(US)もあれば事業を起こせるというところにレンドの意味がある。しかもそれらを40人程度で負担するところによって一人あたり25ドルで参加できるのが、このkiva.orgの特徴である。貸す側も寄付感覚で貸せるわけだ。

kiva.orgでは、写真付きのビジネスプランをkivaの「LENDページ」で読み、この人に貸す(レンド)という人を見つける。ワンショットは25ドル単位で受付けされる。レンドといっても、貸し主には一切資金は戻ってこない(ここもポイントだ)。しかし、帰ってきた資金をほかの人に貸せるというところが重要だ。考え方を変えてみると、ポイントを購入し、そのポイントを寄付すると、そのそのポイントが回りまわって、人を助けるという仕組みである。しかし、満足度は単に寄付をして、一度だけ清々しくなるのと違って、運がよければ清々しい思いを継続して体感できるはずだろう。

ウェブサイトでは、いつでも自分がレンドした人の事業の進捗状況がわかり、同じ人にレンドしている人が、他にどんな人にレンドしているのかなどを、まるでSNS的な要素で知ることができる点も、援助している人同士の顔がつながって見えるという連帯意識という相乗効果を生み出している。

発展途上国の事業を個人的に支援できるSNSにもなっているわけだ。同じ人に投資をしているだけなのに、なぜか連帯感があるのも不思議なネット上の感覚だ。

さらにレンドした人にメールを送ったりして精神的に支援することもできる。運がよければ返事が届くかもしれない(途上国では、英語がわかる人は非常に少なくボランティアが翻訳して支援しているからだ)。

ライバル関係を超えたパートナー企業たち

しかし、せっかくの寄付的行為でありながらも、送金に手数料がかかっていては仕方がない。そこでeBay傘下のPayPalが資金の手数料を全くなしでパートナーとして参加している。しかも、ライバルであるGoogle、YouTube、Yahoo!、facebook、Myspace、 Microsoft、lenovoといったIT企業が、kiva.orgのパートナーとしてそれぞれの立場で支援しているのも異例の状況だ。
http://www.kiva.org/about/supporters/

kiva.orgの基本的な収益構造は、25ドルのうちから2.5ドルの寄付を促すサイトからの運用益である(払わずにSKIPすることもできる)。促すだけというゆるやかな寄付の提示は見事である。

実際の運営は企業からの寄付であったり、ボランタリースタッフなど、いろんな人、企業、慈善団体がkivaに関わっている。

■慈善団体の評価軸としての可能性

実際に発展登場国側では、フィールドパートナーとして慈善団体やNGOが活動している。現地の慈善団体などの力量にゆだねられ、その団体がどれだけ融資することができ、回収できているかも数値で評価している点が最も目新しい。

しかも、いつからkiva.orgに参加しているのかなども表記されているので、慈善団体の新たな評価制度がもしかするとできつつあるのかもしれない。
http://www.kiva.org/about/partners/

このようにeBayがネットオークションによっておこした思わぬ作用力を、kivaにも、どの慈善団体活動を支援するのかというような新たな作用力が生まれるのかもしれない。

 

■kiva.orgの特徴と特性

それでは、例えとして創業者のマットのレンドしている人たちを見てみよう。
http://www.kiva.org/lender/matt
レンドをするとこのようなURLが与えられる。

PaidBack(完済)とあるのはお金を返し終え、その返却された資金をマットは新たな人にレンドできる。自分には返却されないのがいい仕組みだ。PaidBackの数は、レンドする額よりも、名誉のある数であろう。なぜならば、そのお金が生かされているからだ。
Paying Back(返済中)とあるのは、現在の返済状況である。レンダーは、この数字が上がってくるだけで、豊かな気分になれる。

妻ジェシカのサイトを見てみよう
http://www.kiva.org/lender/jessica

Refunded(貸し出したまま)という、つらい状態の人たちが見られる。しかし、考えようによっては今までこれは普通に「寄付」している状態と一緒で本当はつらい状態ではないのだからだ。このようにPaidBackで活かされるレンドがあると寄付だけでは何かもったいない気がしてくるから不思議だ。

実際にレンドを体験してみないとわからないことだろうが、たったの2500円で第三世界や発展途上国のビジネスに興味を持ち、アフガニスタンで農業に投資したり、ガーナの食料品店に実際に資金援助をし、ウズベキスタンでタクシーを開業したり、リアルな世界で、負担の少ないマイクロファイナンス(無担保小額資金融資)による支援活動が個人で可能な時代になっているのだ。

kiva自身、まだまだ改善の余地はたくさんあるだろうが、大きな組織になりうる可能性は非常にある。しかも、現在の社会は、石油の高騰や、とうもろこしの値上がりの要因のうち、投機的な発想やマネーゲームによるところが少なくない。FXで自分の身の丈を超えた投資も可能となり、危険な富が巡回している。しかし、個人の欲による金儲けによって、世界が不幸になるという負のジレンマに陥ろうとしているのも事実だ。

少なくともkivaでは、のんびりと彼らの希望金額が達成されるまで、レンダーを待ち続け、知人に勧めたりして、彼らがゆっくりと返済をはじめ、完済になった時には、寄付した金額以上の何かが必ず我々の心の中に残っているのが理想だ。寄付のトラッキング(追跡)や可視化が可能となっただけに、このようなネット活用は、不透明な社保庁の年金問題などにも活用できるはずだ。

言葉も生活環境、社会、文化も違う彼らとkivaと現地慈善団体を経由してつながっている感覚は、もしかするとSecond Lifeのアバターの住人のようにさえ思えてくる。自分がコントロールするアバターではなく、困っているアバターをより多く助けるというミッションを持ったSecondLifeなのかもしれない。しかし、これは仮想社会でなくリアル社会なのだ。
ネットワークで結ばれた人たちは、仮想感覚であってもリアルな社会にも影響を与え始めている。

ネット上だけで知り合いになることは今までも十分にできたが、ネットにアクセスできなかった人や、英語がわからない人までも、インターネットはリンクしはじめている。
先進国の善意と途上国のヤル気をうまくマッチングさせてくれるのかもしれない。これが、本当のリアルとネットが歩みよるウェブ3.0型の社会なのかもしれない。

ぜひとも、日本のIT企業のサポートで日本語サイトも構築してもらいたいものである。

ボクも少しは彼らの力になってみたいと思い参加した。
http://www.kiva.org/lender/toshiaki3531
メキシコのエラスモもアフガニスタンのノラーラムも、もうすぎ希望している金額に達成しそうだ。1年、2年かかるかもしれないが彼らの成功次第で、また他の人のやる気を支援できることだろう。

あなたが、タクシーに乗る一回分、豪華な夕食の一食分、音楽CD一枚分で、世界をすこしだけ、本当にリアルに変えられるのかもしれない。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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