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「暴力的ゲーム」が今更どうしたって!

2008/05/15 01:44
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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CNETの記事に「暴力的ゲーム」についての興味深い調査結果が載っていた。これを読んで、一部のマスコミや似非科学者によって煽られた、いわゆる「ゲーム脳」問題について(今更という気もするのだが)、考察してみたくなった。

ハーバード大学の2人の研究者によると、暴力的なゲームを体験した子どもは日常世界でも暴力的な振る舞いをするということを示すデータは得られなかったという。
150万ドルの予算で2004年に開始したこの調査は、約1200人の子どもを相手に「Grand Theft Auto」などの暴力的なゲームと、「The Sims」などのそれほど暴力的ではないゲームを体験させ、その後の振る舞いを調べた。

結論はこうだ。

ほとんどの子どもにとって、暴力的なゲームをプレイすることはストレス発散に過ぎない。

まさに、その通りだと思う。
今私の横で、姉と弟が仲良くWiiの『ドラゴンボールZ スパーキングメテオ』をプレイしている最中である。アニメとは言え、十分に暴力的なんじゃないだろうか。もちろん、これは「CERO A」のレーティング、つまり全年齢対象のゲームとなっているので何の問題もない。
しかし、小学生の息子は『メタルギアソリッド ポータブルオプス』なぞもやっている。こちらは「CERO C」であり、15歳以上対象のソフトである。

「年齢別レーティング制度」については、2006年6月に「18禁ゲームの波紋」で紹介したので、詳しくはそちらを参照してほしい。青少年の保護と健全な成長の観点から取り決められたのが「レーティング制度」であり、保護者の判断の拠り所となるものだ。とりわけ「CERO Z」に関しては、18歳未満は規制対象となっているため購入することすらできない。これは当然だろう。

だが、保護者の立場である私は、10歳の息子に「CERO C」のゲームをやらせることにあまり抵抗はない。「CERO D」くらいまでは「フィルタリング」と同じように、個々の保護者まかせで良いのではないかと考えている。無論、これは対象ゲームをよく知っているからできることで、詳しくなければレーティング通りに与える方がいいとは思う。また、肝心なのは、そのゲームが子供にどういう影響を与えたかを見届けることである。そもそもゲームには向き不向きもあるので、うちの子供は大丈夫でも、そうでない子供もいるかもしれない。例えば、推薦図書に指定されているようなたわいのない怪談ばなしだって、全然平気な子供と極端におびえてしまう子供がいるのだから。

うちの息子を観察するに、「CERO A」の戦闘ゲームでも「CERO C」の暴力的と言われるゲームでも、同じような反応を示している。多少言葉は乱暴になったようにも感じられるが、それはゲームのせいばかりではない。むしろ、接する機会の多いテレビ番組や友達との会話の影響の方が大きい。ややゲーム依存の傾向は見られるものの、プレイ後の爽快感は何物にも代え難いようだ。ゲーマーというほどではないがゲーム好きな私には理解できる、というより、共感できる(蛙の子は蛙!)。

Kutner氏とOlson氏を含め、心理学者の中には、ビデオゲームは脳にポジティブな影響を与えると主張する動きがある。

これについては、あちこちで研究が進んでいる。「18禁ゲームの波紋(5-最終話)」でも紹介したが、CESAのサイト「ゲーム研究データインデックス」に「テレビゲームのちょっといいおはなし」という分かりやすいコーナーがある。また、ゲーム研究者へのインタビュー記事も掲載されているので、興味のある方はぜひ一読してほしい。以下に、インタビューの見出しを抜き出してみた。

馬場 章教授インタビュー
(東京大学大学院情報学環教授、日本デジタルゲーム学会会長)
⇒第1回 ゲームには大きな魅力と可能性がある
⇒第2回 教育におけるゲームの効用は大きい
⇒第3回 ゲームは心を豊かにするもの

養老 孟司先生インタビュー
(東京大学名誉教授、解剖学者)
⇒第一回 テレビゲームと脳と文化
⇒第二回 テレビゲームと人の健全な関係を築くには

藤川 大祐 助教授インタビュー
(千葉大学教育学部助教授、NPO法人企業教育研究会理事長)
⇒第一回 テレビゲームはインタラクティブメディア
⇒第二回 テレビゲームにもリテラシー教育を

斎藤 環先生インタビュー
(爽風会佐々木病院 精神科医)
⇒第一回 テレビゲームと社会的ひきこもりの関係
⇒第二回 テレビゲームはコミュニケーションツール

坂元 章教授インタビュー
(お茶の水女子大学文教育学部人間社会科学科教授)
⇒第一回 テレビゲーム研究
⇒第二回 テレビゲームの有効活用
⇒第三回 作り手側にできること、保護者にできること

ゲームの功罪について研究している学者は、日本にもたくさんいるのである。「今更」という気がしたのはこういうわけだ。
ただ、この中にはゲームが影響を及ぼす「暴力性」について、必ずしも肯定的とは言えない意見もあるのは確かだ。かと言って、悪影響があると断定してはおらず、むしろ、どうすればゲームとよりよい関係を築くことができるかとか、ゲームによってどんな可能性が開かれるのか、といった有効性についての前向きな研究に取り組んでいる方が多い。

もし「ゲーム脳」なるものが仮にあるとしても、それは個人の資質や環境によるところが大きいのではないだろうか。誰にだって得手不得手はあるし、何かに依存する度合いも異なる。また、薬はうまく利用すれば人のためになるが、使い方を誤ると毒にもなり得る。

ゲームに限らずあらゆるメディアにおいて、内的要因や外的要因による様々な危険が存在している。テレビやインターネットもしかり。だが、これは規制すればよいという問題ではないと思う。昨今話題の「青少年ネット規制法」についても、ただ闇雲に規制してそれに頼るのではなく、保護者自らが子供の安全を守るんだという意識を持つことが重要だ。プラス面を拡大するために何ができるのか、そこまで考える時期に来ている。「規制」によって被害や悪影響を最小限に留めることは可能だが、「規制」からは何も生まれはしない。

CNET Jpan 2008/05/13
暴力的ゲームは子どもに影響なし--ハーバード大心理学者が調査

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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