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警察におけるメディアミックスの展開(2)-標語からYouTubeへ

2007/08/23 22:17
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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(前回「警察におけるメディアミックスの展開(1)-テレビで演出される正義『踊る!大警察』」の話はこちら

(息子)「『イカのおすし』って知ってる?」
おいしいよね?。
(息子)「そうじゃなくってさー。もぉ、子供の安全、心配じゃないの?」
いや、心配してますってば。

『イカのおすし』と言っても、もちろん食べるお寿司ではない。小学生や幼稚園・保育園に通うお子さんがいらっしゃるなら、ご存知かもしれない。子どもへの犯罪を未然に防ぐために考えられた、警視庁防犯標語である。

2005年3月のことなので、何をいまさらと思われる方もいらっしゃるだろう。しかし、防犯活動は持続されるべきものだ。多くの人が知ってこそ、その効果は高まる。一時のブームで終わらせてはならない

「標語」と「キャンペーンソング」の効果

『イカのおすし』のおやくそく

「イカ」 行かない 知らない人について行かない
「の」 乗らない 知らない人の車に乗らない
「お」 大声で叫ぶ 大声でさけぶ
「す」 すぐににげる こわかったら大人のいる方にすぐにげる
「し」 知らせる どんな人が何をしたか家の人に知らせる

標語と言えば、交通標語を思い浮かべる。こちらは子供向けのものから運転者向けまでと、対象は幅広い。「車は左、人は右」「とび出すな 車は急に止まれない」や「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」などは、誰でも知っているだろう。防犯標語では「お出かけは、一声かけてカギ掛けて」が有名だ。

標語は日本独特のもので、スローガンとかキャッチフレーズに七五調が取り入れられ、言いやすく変化してきた言葉である。公募形式で集められることが多いが、人々の頭に焼きついたとしても、誰が作ったのかはほとんど知られぬまま。しかし、大衆による大衆のための言葉であることは確かだ。本と人『標語誕生!―大衆を動かす力』には、次のように書かれている。

しかし、戦時中の国策標語にもつながる「上からの視点」だけでは標語の本質を理解できないとも強調する。ポイントは、副題の「大衆を動かす力」にある。「標語が力をもったのは、募集を通じ大衆自身が作った表現形式だからです。何かの運動に熱心に取り組む人々がいる限り、標語は今後も作られるのではないでしょうか」

これに対し、『イカのおすし』は警視庁生活安全部が考案した標語である。子供への犯罪は、周りの大人が気をつけているだけでは、防ぐことはできない。大事なのは、当の子供たちの意識だ。怖い目に遭わなければ分からないのでは困る。小さな子供にまで防犯意識を植えつけるには、耳と口で覚える「標語」が一番効果的だというわけだ。上からのお仕着せだろうとなかろうと、もはや一刻の猶予もないほどに、日々子供たちは危険に晒されている。実際、小学校から配られる「不審者情報」のプリントは、月に数枚にも及ぶ。しかも、同一人物によるものとは限らないという深刻な状況が続いている。

息子にとって『イカのおすし』という言葉の響きはかなり印象的だったようだ。文字通りの言葉の意味(イカのお寿司)の裏に、本当の意味が隠されているところが面白いらしい。もし、小さなお子さんがいらっしゃるなら、その意味を聞いてみるといい。きっと、自慢げに教えてくれると思う。言いやすい七五調じゃなくても、子供にも通用するような標語ができるのだということに感心した。

標語とポスターだけでも十分子供たちの理解を得られたのだが、さらに、イメージソング『イカのおすし』も作られた。創作童謡歌手グループKiraKira(きらきら)のMakotoさんが作詞・作曲した。かまやちななさんによる踊りもある。KiraKiraの公式サイトでは、歌に合わせて踊っている動画を視聴できる。CDとこの振り付け指導用ビデオは市販されており、好評を博しているという。幼稚園児や保育園児にうってつけの楽しいお遊戯となっている。

 イカのおすし いか いか いかが?
 イカのおすし 大事だよ
   :
 とにかく叫んで 叫んで逃げるんだ
 いかない のらない 誰かたすけて
   :

『イカのおすし』の歌は警察主導で作成されたものではないが、警視庁のお墨付きをもらい、新潟県上越市の防犯キャンペーンソングにも選ばれた。KiraKiraにとってCDやビデオの販売は生活の糧でもあるのだろうが、それだけには留まらない。『イカのおすし』からは子供たちへの慈しみの心が感じられる。「標語」を作るのと同じように、キャンペーンソングや振り付けを考えることだって、情熱がなければできはしない。歌詞にある「とにかく叫んで 叫んで逃げるんだ..」なんてくだりは、かなりリアルだ。

警察によって意図的に行われたかどうかにかかわらず、一つの「標語」が様々なメディアで展開されることによって、相乗的な効果が生まれている

さまざまなキャンペーンソング

警察によるキャンペーンソングは、他にもいろいろある。「標語」から生まれた歌もあれば、そうでない歌もあるが、ようは、どれだけ人々に親しまれているかという点が重要だ。うろ覚えでもいいから、歌詞を口ずさんでもらえたなら、成功と言える

このうち、いくつを知っていますか?ごめんなさい、筆者は一つも知らず..

パトちゃんのラブコール
パトちゃんのラブコール(YouTube)

宮城県警仙台南署。小さい子供に110番の正しい通報の仕方とイタズラ電話防止を教える歌だそう。伝説の日テレの番組「ブラックワイドショー」の人形劇「パトチャンラブコールプロモ板」はかなりシュールだ。ちょっと演歌のノリだと思うのは、筆者だけだろうか..

Hand to Hand アルバム「三枝夕夏 IN d-best〜Smile & Tears〜」収録曲
U-ka saegusa IN db - Hand to Hand(YouTube)
愛知県警察防犯キャンペーンソング。ラブリーな唄。「さあ、手を繋ごう ひとつに繋がろう 喜びも悲しみも分け合える僕らは..」。三枝夕夏がひたすら爽やか。

「飲んだらのれん」あぁ大後悔! 演歌バージョン
「飲んだらのれん」ぶじにかえってね おとうさん! キッズバージョン
大分県警察ホームページ(視聴可)
演歌バージョンはちょっと物悲しい。着メロ・着うたもある(ドコモ機種のみ)。まったく違う歌なのに、対をなしているのが特徴的。

みんなの防犯音頭
警視庁東大和警察署ホームページ(音が出ます)
盆踊りの季節こそ、本領発揮でしょう。もちろん振り付けあり。

マンボDEマンボー
宮城県警察ホームページ(音が出ます)
ノリノリです。これで万引き防止できるかどうか。

オレオレ詐欺撲滅ソング
宮城県警河北署ホームページ(音が出ます)
宮城バージョンなので「いやいや まいったなまずー」という台詞も入って、何だか暖かい感じ。でも、オレオレ詐欺には騙されちゃいけません。

交通安全ゴー!ゴー!ゴー!
山口県警ホームページ(視聴可)
募集した交通安全標語に交通警察官が曲を付けたという、子供たちによる子供向けの一曲。

ふれあいわが街(地域安全)
群馬県警察本部ホームページ(視聴可) 地域密着型防犯ソング。吹奏楽での演奏も聴ける。

活き活き安全ひらく街(地域安全)
栃木県警察ホームページ(視聴可)
昔のアニソンっぽい。

防犯GOレンジャーの歌
北海道警察札幌北署ホームページ(PDF)
男の子向けのレンジャーもの。視聴ができず、残念。

仙台南署防犯ソング
宮城県警仙台南署ホームページ
愉快な歌詞だが、視聴ができなくて残念。

どうしてなのですか?(交通死亡事故撲滅)
スミルノフ教授公式ウェッブサイト」より
北海道警察。「気をつけてねと言って送り出したのに あの人は帰らぬ人になりました..」という、悲し過ぎる詩。視聴できず、残念。

まとめ

広く世間に知らしめるためには、もっと、警察広報を活用しなければならない。YouTubeやニコニコ動画への投稿は、むしろ歓迎すべきだ。首尾よくランキングの上位に入れたなら、数十万以上もの視聴数を稼げる。皆さんも、チャレンジしてみてはいかがだろうか。

筆者なぞは、ニコ動で「パトちゃんのラブコール」を観すぎたせいか、「パト パト パトカのパトちゃんは いたずら電話が 大きらい〜」と、鼻歌が出るようになってしまった

警察もお堅いことを言わずに、「YouTubeキャンペーン」とか「ニコニコ動画キャンペーン」とか、開催したらいいと思う(ニコ動はさすがにキツイが)。元ネタを公開するマッシュアップ部門と、一から作りあげる創作部門の二本立てで、ぜひ! 「標語」を公募するのと同じ、いや、若い世代とってははるかに効果的かもしれない。大衆自身が創り上げたものこそ、大衆に根付く文化となりうるのだから。

連載『警察におけるメディアミックスの展開』

警察におけるメディアミックスの展開(1)-テレビで演出される正義『踊る!大警察』
警察におけるメディアミックスの展開(2)-標語からYouTubeへ
警察におけるメディアミックスの展開(3)-警察庁サイバーフォースは『ダイ・ハード4.0』並み?
警察におけるメディアミックスの展開(4)-GyaOで情報提供を呼びかける『世田谷一家殺人事件』

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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