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警察におけるメディアミックスの展開(1)-テレビで演出される正義『踊る!大警察』

2007/08/20 00:53
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プロフィール

寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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(ただし、更新の頻度は空き時間がどれ程確保できるかによる。後は、本人のやる気次第ってことで..)

概 念

そもそも、メディアミックスとは何か?
ウィキペディアには、以下のように記載されている。

メディアミックス(Media Mix)は、広告業界の用語で商品を広告する際に異種のメディアを組み合わせることによって、各メディアの弱点を補う手法のことを指す。

もちろん、警察は商売をしているわけではないが、広報という業務がある。近年、様々なメディアで、警察(Police)の姿を見かけるようになってきた。その規模はマーケティング におけるメディアミックスには到底及ばないかもしれないが、具体例を挙げて述べていこうと思う。

広報の役割は、例えば「佐賀県警察の広報に関する訓令(PDF版)」によると、以下の定義されている。このうち、人々に警察活動について知らしめ、指示と協力を仰ぐための手段としてのメディアの重要性に着目したい。

この訓令において警察広報とは、警察活動の実態を正しく県民に知らせるとともに、警察に対する要望、意見、苦情、問合せ等を適正に処理し、それを広く警察運営に反映させ、もつて県民の理解を深め、その支持と協力により総合的な警察目的を達成するための次に掲げる諸活動をいう。

(1) 広報活動 (2) 広聴活動 (3) 警察相談

また、一概に警察と言っても、その組織は複雑である。ここでは、警察庁を筆頭に、警視庁、県警等を含めた、いわゆる広義の警察を対象とする。

では、メディアにはどんなものがあるだろうか。思いつくままに書き出してみよう。

1.広報誌、ポスター、チラシ、パンフレット
2.官公庁、各種団体が発行する広報誌
3.掲示板、立看板、懸垂幕、広告塔などの掲示物
4.ラジオ、テレビ等のメディア
5.音楽/CD
6.映画/DVD
7.インターネット上の動画サイト
8.インターネットサイト

1〜3は伝統的なメディアであり、交番や官公庁、街角、駅などで見かけることもある。4もおなじみかもしれない。5から先は近年になって、よく見られるようになった。もちろん、戦略として横断的なキャンペーンを行うこともあるため、メディアごとに厳密に線引きできるわけではない。まあ、各種メディアで展開されてこそ、メディアミックスと呼ぶのに相応しいのではあるが。

今回の特集では、主に4以降に焦点を当ててみたいと思う。

テレビで演出される正義

テレビの特番として、番組改変期などに、警察を対象としたドキュメンタリー番組が放送されることがある。「密着」とか「激録」といった言葉が頭に使われており、いわゆる『警察24時』いう一ジャンルを形成している。

TVドラマ&映画『踊る!大捜査線』シリーズにちなんで、「踊る!」という言葉を付けた番組まで存在する。昨年10月11日には、『踊る!大警察24時〜熱血刑事はつらいよ 逮捕の瞬間100連発〜』が放映された。しかも、この題名は映画『男はつらいよ』のタイトルをも、もじっている。いずれもTV版はフジテレビが制作しており、題名中の「踊る!大警察」は一般視聴者に向けて、「熱血刑事はつらいよ」は年配の方に向けてアピールしたものだ。

番組中では、おなじみスリーアミーゴスがストーリーテラーを務め、BGMには『踊る!大捜査線』の曲を流すという念の入れよう。青島刑事に憧れて、刑事になったという巡査も出てくる。『踊る!』の人気を、そのまま特番に活かすつくりとなっていた(かくゆう筆者も『踊る!』の大ファンではあるが)。

 フジテレビ『踊る!大警察』シリーズ
 2004年5月、11月『実録!踊る大捜査線 凶悪犯もビビる!これが日本の名刑事だ』
 2005年12月『踊る大警察24時・汗と涙の新人刑事物語』
 2006年10月『踊る!大警察24時〜熱血刑事はつらいよ 逮捕の瞬間100連発〜』

そして、この『踊る!大警察24時』に限らず、『警察24時』シリーズに登場する警察官たちは皆、情熱を持って悪に立ち向かう。その姿は見るものの胸を打つ。また、人に対する優しさを持ち合わせた、人情味あふれる警察官も登場し、視聴者の共感を呼ぶのである。

番組を制作しているのは、あくまでテレビ局ではあるが、一方的な取材で生まれるドキュメンタリーではない。警察の全面的な協力を仰いでいる、というより、番組自体が警察広報として機能していることは明らかだ。

ただし、その対象は交通・刑事・外勤のみで、警備・公安は取材されていない。これは、警察側の協力を得られないためであろうと推測する。そもそも広報としての役割は前者のみで達成されるので、後者のような機密性・重要性の高いセクションを表立てる必要性はないのかもしれない。

演出される正義の警察官」によると、『警察特番』にはお決まりのシナリオがあるという。

1.犯罪による被害の悲惨さ
2.犯罪捜査に対する警察の情熱と犯罪者への強い姿勢
3.名物刑事や警察官による強調された人情味
4.新人警察官の初めての職場へのハツラツとした期待感や汗と涙

まさに、これこそが演出された警察官のあるべき姿(=正義)であり、その対極には、犯罪者の象徴(=悪)が存在する。警察官が体を張って市民生活の安全を確保しているという構図である

それはあながち間違いではない。崇高な志を持って、警察官になる方もたくさんいらっしゃるだろう。そして、日々努力を重ねて、日本の治安を維持しておられる。そのご苦労には、頭の下がる思いがする。

一方、警察の不祥事が後を絶たないのも事実。犯罪と対峙する警察官には、誘惑もまた多いという。サラ金やパチンコ業界、暴力団との癒着などが、よく取り沙汰されている。その負のイメージを払拭するため、一般大衆への広報が重要なのだ

テレビというメディアは、一時に大量の視聴者を対象とするため効果が高く、広報活動にはうってつけのメディアである(それはテレビ広告が成立していることでも証明されている)。それを利用しない手はない。

視聴者はその政策に「踊らされる」ことなく、警察の良い面・悪い面を見極めることが肝要である。再び、「演出される正義の警察官」から引用してみよう。

このようにニッポンのテレビでは、「警察は正義の味方です」「警察のすることに間違いはありません」というドキュメンタリーや刑事ドラマばかりが放映されている。そして従順な日本人は、こうした番組を素直に受け入れてしまっているようだ。

しかし、「安全は警察が守ってくれる」というのは、テレビ番組のフィクションとプロパガンダが作った虚像にすぎない。そして、これらを心底に信じてしまうことによって、自己責任が放棄されているようだ。

『警察24時』を見るのは自由である。しかし、警察官とて完全ではなく、結局、最後に頼れるのは自分自身である。そのことを肝に銘じておきたい。

PBI 交通行政監察官室 2006/03/25
演出される正義の警察官

連載『警察におけるメディアミックスの展開』

警察におけるメディアミックスの展開(1)-テレビで演出される正義『踊る!大警察』
警察におけるメディアミックスの展開(2)-標語からYouTubeへ
警察におけるメディアミックスの展開(3)-警察庁サイバーフォースは『ダイ・ハード4.0』並み?
警察におけるメディアミックスの展開(4)-GyaOで情報提供を呼びかける『世田谷一家殺人事件』

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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