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SVGの夜明け(2)-SVGマップコンソーシアムで驚速SVGビューアーを見た

2007/05/09 01:37
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寺本由美子

本名とタイトルのペンネームが異なっているのはご愛敬(話せば長~い物語あり)。IT系の話題からゲームのレビューまで、自由気ままに発信します。iPadやiPhoneなど、大好きな電脳小物についても熱く語りたいですね。Twitterにも出没中。ブログへのコメントも、@kirifue へどうぞ。
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(前回「Adobe SVG Viewerサポート終了-IE7対応驚速SVGビューワー登場への期待」の話はこちら

前回は、AdobeがSVG Viewerのサポートを終了すること、また、Internet Explorer7対応のSVG Viewerの今後の見通しについて、SVGの概要を含めて簡単にまとめた。今回は、SVGマップコンソーシアムの代表幹事をなさっている株式会社セックの櫻井氏にお話を伺うことができたので、実際に Windows Vista上で IE7のプラグインであるSVGビューアーを使って地図を表示する様子などを交えて、ご紹介したい。

これまで世の中にはほとんど出たことがなく、謎のベールに包まれていたWindows Vista対応のSVGビューアー、その全貌が今ここに明らかになる

左から、西田氏、櫻井氏、湖海(こかい)氏
Photo

これが驚速SVGビューアーだ

まずは、セックの西田氏に、神速と噂されるSVGビューアーSVG Toolkit(名称未定)」を見せて頂いた。KDDI研究所で開発したSVG Tiny1.2準拠である「goSVGビューアー」を、セックで製品化したものが「airSmartG」であり、その「airSmartG」をIE用プラグインとして移植したものが「SVG Toolkit」である。元来、モバイル向きに開発されたため、パフォーマンスはかなり高い。

KDDIでは携帯電話に組み込む目的でSVGの研究を始めた。その後セックも加わり、共に研究開発を進めてきた。auでサポートしている「EZドキュメントビューアー」は、内部的にはSVGを使用しているらしい。Word、Excel、PowerPoint、Adobe PDF等のデータをサーバー側でSVGに変換し、端末側でBREWアプリケーションであるSVGビューアーを用いて文書を閲覧するしくみだ。現在、KDDI研究所の研究成果は、実際の開発を担当したセックに、販売権、改版権をライセンスする契約を締結しており、セックでは、SVGエンジン部分全てのソフトウエア構成管理を一任されているという。

ここで、日本地図データ(14MB)の描画を見せて頂いた。地図情報に特化したSVG データである。
Japan_map

日本全図の表示にかかった時間は以下の通り。

「SVG Toolkit」で表示 - 約5秒
「Adobe SVG Viewer」で表示 - 約15秒

その差、実に3倍の処理速度である。ここまで速いとは思っていなかったので、正直、驚いた。セックは、ユビキタスネットワーク研究所の高木氏(KDDI研究所時代のgoSVGビューアーの産みの親)から、「SVG Toolkitのポテンシャルはこんなものではない。まだ遅い。もっと速くできる」と叱咤激励を受けているらしい。実際に、上記の表示時間は1秒以下を目標にしているという。

もちろん、拡大/縮小は自由自在。同様の SVG データを用いた経路検索 Webサイトのサンプルもあり、そこでは2地点をクリックして、最短経路の検索もできるようになっている。

次に、ゼンリン製のSVG地図を見せて頂いた。
Zenrin_map

これはデモ画面だが、実際に、ゼンリンのサーバーで処理を行い、Ajax技術を用いて、バックで通信をしながら処理結果を表示するといったことも可能らしい。ある特定の範囲を指定すると、その地図情報をSVGデータとして返すしくみである。

ビューアーの実物を見たいなら、渋谷の駅前(ハチ公口、宮益坂口)に4台設置してある、タッチパネル式の「デジタル地図案内板」を触ってみるといい。SVG地図表示モジュールには「airSmartG」を採用している。365日24時間、野ざらし雨ざらしなのだから、とっても高価そうに見える。
Photo_2

ただの地図ではなく、さまざまな付加情報のついたマップが価値を持つようになってきた。Web2.0と呼ぶにふさわしい、マッシュアップコンテンツが求められている。これらを実現するために、SVGの標準仕様とそれを取り巻く基盤技術の重要性が増してきている。「SVG Toolkit」は地図情報の救世主となれるだろうか。

gコンテンツ流通推進協議会とSVGマップコンソーシアムとの関係

そもそも、SVGマップコンソーシアムとは何なのか。gコンテンツ流通推進協議会との関係はどうなっているのか。その辺りがあいまいで見えてこない。

まずは「gコンテンツ」について説明しよう。「g」は Geographicの頭文字で、位置情報に関係したコンテンツを「gコンテンツ」と呼んでいる。従来、このようなコンテンツは事業者ごとの独自の仕様で提供されていた。これではいつまでたっても、相互利用など実現するはずもない。その縦割りの事業者間の流通を図り、「gコンテンツ」をオープン化するためのツールとして、G-XML(地図情報プロトコル)の標準化が進んでいる。

gコンテンツ流通推進協議会は、G-XMLの委員会に関連している財団法人データベース振興センターの中の一つの協議会である。「協議会設立の背景」を引用してみよう。

発足会においてご説明しましたとおり、わたしたちは"位置情報に関係したコンテンツ"を"gコンテンツ"と総称し、制度的な問題や技術的な課題を解決して"gコンテンツ流通の利用環境"を整備するため、また"gコンテンツ"の普及促進のためのコンテンツ事業者とGIS産業、コンテンツ事業者と利用者等あらゆる関係者をつなぐブリッジ役、さらには"gコンテンツ"に関わる新規産業創造におけるコーディネーターとして、去る平成15年3月14日付で"gコンテンツ流通推進協議会"を設立致しました


このgコンテンツ流通推進協議会のワーキンググループとしてLBCS/SVG委員会がある。IEブラウザ用プラグインに関する仕様、仕様書のレビュー、実装テスト。また、それらを活用したサービスモデル等の検討を行っている。

SVGマップコンソーシアムは、このLBCS/SVG委員会のメンバーで構成されている。

──SVGマップコンソーシアムを作られたきっかけは何ですか?

櫻井「誰でもが自由に使えるSVGブラウザを作れないかという話が、去年の春ぐらいに出ました。SVGが地図の標準としてJIS化されようとしているという背景もあり、時期的に旬な状況にあると思いました。また、Adobeからもうサポートしないよというメッセージも出たので、じゃあいい機会だから作ろうか、ということで話がまとまって。契機は、仲のいい顔見知りがグループを組んでコンソーシアムを作って、ブラウザを製作したわけです。セックだけでやっても地図がないし、サイトもない。単独での実現は難しいですが、メンバーがそれぞれ得意分野を担当することでSVGビューアーを作ることができました。また、財団法人日本情報処理開発協会 データベース振興センターの『インターネットによるコンテンツ開発・流通及び技術開発促進事業』の申請も受理され、コンソーシアム体制で対応することにしました」

SVGマップコンソーシアム構成メンバーの担当は以下の通り。

株式会社セック 代表幹事・SVGビューアー開発
株式会社カイ・ソフトウエア SVGビューアー開発
株式会社ゼンリン SVG形式の地図データの開発
インディゴ株式会社 SVGビューアーを配布するサイトやSVGマップコンソーシアムのブログの運営等

マイクロソフトはサポーターとして参加している。今後、メンバーが増える可能性はあるという。

SVGMapコンソーシアム設立について

SVGビューアーがサポートするOSとSVGの仕様

──SVGマップコンソーシアムのブログにある「Our Activities」という文章の中に、「私達は今年の夏までにWindows VistaをサポートするSVG Viewerを配布するつもりです」(筆者による和訳)という部分がありますが、このスケジュール通りでしょうか。

櫻井「まだ、はっきりしたことは言えませんが、夏か秋頃になると思います」

対応するOSと、Internet Explorerのバージョンは以下の通り。

32ビット版Windows Vista、Windows XP、Windows 2000
Internet Explorer 5 6 7
(ただし、Windows XP / 2000では、追加OSコンポーネントが必要)

──これらは無償で配布されるのでしょうか?

櫻井「そのつもりです。ただ、ある程度のビジネスモデルはきちんと考えていかなければなりません。基本的にSVGデータやコンテンツというのは、高度な機密情報である場合が多いんですね。データの解析結果とか建築のCADの図面とか、地図のコンテンツもそうです。そういった機密扱いではなく、インターネットで自由にSVGデータを流通させてよい人は、無償バージョンをお使いください。作ったコンテンツについては、みんなが利用できちゃいますよ。それが問題なければどうぞ、ということです。これは SVGのコンテンツを広めるのには有効です」

──では、どのようなビジネスモデルをお考えですか?

櫻井「セキュリティをきちんとガードして、パソコンには落とせないようにするとか。元々SVGはテキストデータなので、流す瞬間にデータをバイナリ化して、更に圧縮をかけて送ると、データも守れるし転送効率もいい。そういった機能を実装したものを、エンタープライズバージョンとして提供したいと考えています。地図屋さんとか、CAD屋さんとも組んだパッケージ化の可能性もあるかもしれません。いろいろな立場の人と、win-winの関係が構築でき、SVG技術を世の中に広げていくことで社会の発展に貢献でき、ビジネスが成り立つ道を模索したいと思います」

──SVGの仕様について、お伺いします。「SVG Map Profile 1.0 概要」に以下のような記述があります。
「SVG Mapプロファイルは、SVG1.1の Tiny仕様に基づいていますが、地図サービスへの適用性を高めるために以下の限定と拡張を行っています
  地理的な座標による空間参照
  タイリングされた地図データの記述方法
  場所に応じた地図データ取得のためのプロトコル
  図形要素のための地理的なメタデータ
  部分的な仕様変更(SVG Tiny 1.2 との整合を含む)」
──つまり、完全なSVG Tiny 1.2準拠ではないのでしょうか?

櫻井「『SVG Mapプロファイル 1.0(案)』は、SVG Tiny 1.1バージョンの『goSVGブラウザ』時代からある拡張ですが、SVGの仕様を乱すものではありません。ですので、『SVG Toolkit』は SVG Tiny 1.2準拠と言って頂いてよいかと思います。ただし、100%準拠ではなく、実現されていない機能もあるので、開発者向け公開ドキュメントで、詳細を公表する予定です(SVG Tiny 1.2仕様との比較)。単純にSVGをレンダリングするのはもう問題ないですが、特にスクリプト系に関しては、難しいところもありますね」

SVGプラグイン リファレンスマニュアル
Svg_manual

──既存のSVG資産がいろいろな所にあるので、それらがうまく動くかという点が気になります。

櫻井「我々がリリースを出した直後から、何件か企業から問い合わせがあるんですよ。Adobeのビューアーでこういうことをやっているんだけど、おたくのブラウザで動くかとか。ビジネスのニーズとしてはかなりありそうです」

──今まで、SVGに関する日本語の本や技術系のサイトがほとんどなくて、スクリプトの実装に苦労してきました。例えば、ツールチップ一つを表示するのにも、海外のサイトで情報を探し回らなければなりません。「開発者向け公開ドキュメント」では、地図の表示方法に限らず、もう少し一般的なスクリプトの実例なども載せて頂けると嬉しいのですが。

櫻井「はい。検討します。我々も同じ苦しみを味わって来ました。我々は、SVGを優れたテクノロジーと考えています。これを国内で普及させることが、我々にとっても、利用者にとってもメリットがあるものと信じています。一方通行なデモサイト、サンプルコード掲載ではなく、対話方式のサイトに育てたいと思っています。可能であれば、FAQ形式で、我々以外の技術者もコードがポストできるような仕組みができるといいですよね? 今年の9月には、SVG Open 2007 が日本で開催される予定です。いろいろなことが、この時期に間に合うように頑張りたいと思います。応援、よろしくお願いしますね」

「Adobe SVG Viewer」はWindows Vistaをサポートしていないため、インストールすることすら困難であるらしい。強引に動かすことも可能だが、文字の表示ができない等の不具合がある。すでに「Adobe SVG Viewer」は、Vistaの選択肢には存在しない。ならば、「SVG Toolkit」に運命を託すしかないだろう。筆者はこれからも「SVG Toolkit」を応援していこうと思う。

「SVGビューアー+地図コンテンツ」は国産Google Mapsとなり得るか

SVGビューアーは、国産のGoogle Mapsとして期待されていると聞く。Google Mapsに追いつくためには、どこかが公開用の地図データを提供しなければならない。それができるか否かは、Googleと同じような資金力を持ち得るかという問題でもある。最後に、櫻井氏は次のように締めくくった。

櫻井「SVGがそういうビジネスモデルまで行き着くかどうかは、まだ、我々も疑問。しかし、ビジネスをやる上では、比較分析対象となるベストプラクティスをちゃんと設定して、そこを目指してやっていきなさいという点では、我々が目指すのはあくまでもGoogle Maps。これはもう、間違いないですね。その中で、SVGデータを便利だと感じてくれる方々の利便性が向上し、SVGビューアーを活用する企業にとっても、我々にとっても、ビジネス的に旨みがあるしくみが見つかるということが、特に大事になってくるでしょう。SVG技術の素晴らしさを世界に示し、その恩恵をみんなが受けられることを目指したいと思います」

連載『SVGの夜明け』
SVGの夜明け(1)-Adobe SVG Viewerサポート終了〜IE7対応驚速SVGビューワー登場への期待
SVGの夜明け(3)-国土地理院のSVG地図データ公開、Googleマップではダメなのか?

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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