一応システムエンジニアでありながら、このブログの内容は、いわゆるオタクネタがほとんど(痛ッ)。CNET読者の皆様から「一体、どうなってるんだ!」と、お怒りのコメントを頂戴し(いや、するのではないかと不安になり)、一念発起することにしました。
たくさんの人が書いているようなネタでは面白みがないので、最近話題になることが少なくなってきた、SVGというネタを取り上げてみたいと思います。今年後半から来年にかけて、再びWEBを沸かせるであろうと期待される標準化仕様であり、高等な画像表現テクニックでもあるSVG。そんなSVGを取り巻く世界についてご紹介します。
SVG(Scalable Vector Graphics)とは、XMLによって記述されたベクター形式の画像フォーマットである。XMLの文書構造が、どのようなグラフィックス表現をするものなのかを明確に規定している。テキストエディタで編集することが可能な言語の一種と言い換えてもいい。
ラスターデータ(点の集まり)であるPNG・JPG・GIFなどとは異なり、ベクターデータは拡大/縮小しても画質の劣化が起こらないという特徴がある。もちろん、PNGなどのビットマップ・グラフィックスを、ハイパーリンクによりSVG内に埋め込むことも可能だ(当然ながら、ビットマップ部分は拡大や縮小で画質が変化する)。
レイヤーを持つことも、大きな特徴の一つである。ベクターデータである図形や文字(アウトラインフォント)、ビットマップデータである写真や画像などの個々の要素を、レイヤー構造で保持する。元来 XML自体が階層構造であるため、ごく自然にレイヤーを記述できるようになっている。これにより、図形や画像の重ね合わせや、グループ化した要素への処理を行うことができる。
また、要素の回転や拡大/縮小、アニメーション機能、フィルタ効果等を備えている。JavascriptやCGIを介すことで、入力されたイベントに対し、何らかのアクションを起こすことも可能だ。例えば、クリックしたら色を変える、図形をドラッグする、などといったインタラクティブな操作を実現できる。
SVGを閲覧するには、Webブラウザ(ネイティブに表示できるものとプラグインが必要なものがあるが、詳しくは後述)や、単独アプリケーションとしてのSVGビューアーが必要となる。また、SVGフォーマットのデータを出力可能なSVGエディタもある。メジャーな製品としては、Adobe IllustratorやMicrosoft Office VisioがSVGの読み書きに対応している。
誰が何と言おうと、SVGは W3C(World Wide Web Consortium)標準勧告を受けた、オープンスタンダードな規格であることは間違いない。XMLがその下地となっているため、例えばDOMやスタイルシートといった既存の技術を利用できる点にも価値を見出せる。
現在は、Web上に氾濫する様々なアプリやプラグインに押され気味ではあるが、徐々にその包囲網を狭めつつあると筆者は思う。
2001年9月 SVG1.0のW3C勧告
2003年1月 SVG1.1のW3C勧告
2003年1月 SVG Tiny(携帯電話向き)のW3C勧告
2003年1月 SVG Basic(PDA向き)のW3C勧告
2006年8月 SVG Tiny1.2のW3C勧告案公開
現在 SVG1.2を草案
WebブラウザのSVG対応状況を見てみよう。
Operaは2005年4月 Opera V8.0でSVG Tinyに、V9.0でSVG Basicに、ネイティブ対応している。
Mozillaは、2005年11月のFirefox1.5から、ネイティブなSVG対応を開始した。
ACCESSは2006年2月 NetFront Browser V3.4以降から、SVG Tiny1.2のネイティブサポートを始めた。
Mac OS X標準のSafariブラウザは、Nightly buildsでSVGをサポートしているという。Leopardに搭載される次期バージョンのSafariでは、SVGにネイティブ対応すると予想される。
しかしながら、Internet ExplorerやNetscape Navigatorでは、AdobeやCorelが提供するSVG Viewerというプラグインをインストールしなければ、SVG画像を表示することができない。これが、長らくSVGが敬遠され続けた一因だと思う。また、Adobe SVG Viewerを仕事などで使ってみると分かるのだが、データが巨大化するにつれ、表示が極端に重くなる。
話を戻そう。筆者は、Microsoftは昔から独自路線が好きだったからなぁなどと軽く考えていた。だが、これは MicrosoftとMacromediaがVMLを推進していたという経緯による。結局、VMLはW3Cでは採用されず、Adobe SystemsのPGMLと統合され、新たなSVGという規格で勧告されるに至った。
昔に比べると、Microsoftの標準化に対するスタンスはかなり変わってきた。来たるべきオープン化を見据え、一歩先んじて意思を決定し、行動を起こすようになったのだと思う。MicrosoftはW3CのSVGワーキンググループのメンバーでもあり、SVG MAPコンソーシアムに賛同・協力する企業でもある。では、このSVG MAPコンソーシアムって何なのか?という話となるわけだが、その話は次回に取っておきたい。
本格的にSVGに取り組み始めたMicrosoftと入れ替わるかのように、Adobeは 2008年1月1日に Adobe SVG Viewerの顧客サポートを終了する、とアナウンスしている。また、2009年1月1日には、ダウンロードエリアを削除するという。以下、Adobeサイトよりの引用である(筆者による稚拙な訳のため、間違っていたらご指摘ください)。
Adobeは、Adobe SVG Viewerのサポートを中止すると決定しました。他のサードパーティ製のSVGビューアーの実装が市場に存在し、多くのWebブラウザはSVGのネイティブのサポートを含んでいます。SVG言語、及び、市場でのその採用は共に、AdobeがSVGビューアーを提供するのがもう必要でないポイントに熟しました。
原文は次の通り。
Adobe to Discontinue Adobe SVG Viewer
Adobe SVG Viewer End of Life Frequently Asked Questions(PDF)
一つの役目を終えたAdobe SVG Viewer。お世話になっていた筆者としては、感慨深いものがある。
Microsoft Internet Explorer 7対応のSVGビューアーは、gコンテンツ流通推進協議会により現在開発中とのこと。
「IE7.0対応 神速のSVGビューワ見てまいりました」というブログに、「むちゃくちゃ速いSVGビューワでした」という感想が載っている。ただし、これはSVG Tiny1.2対応のブラウザ用プラグインであるようだ(未確認情報)。gコンテンツ流通推進協議会については、次回、説明したい。
「重い」「遅い」「使われない/使えない」と負の面ばかりが強調されてしまった感のあるSVG、どうやら日の目を見る日もそう遠くなさそうだ。
連載『SVGの夜明け』
SVGの夜明け(2)-SVGマップコンソーシアムで驚速SVGビューアーを見た
SVGの夜明け(3)-国土地理院のSVG地図データ公開、Googleマップではダメなのか?
CNET Japan 2005/04/21
「Opera 8」登場--セキュリティや音声関連の新機能を搭載
CNET Japan 2006/02/13
ACCESS、AJAXにも対応した情報家電向けブラウザ「NetFront Browser v3.4」
マイコミジャーナル 2006/11/30
OS X ハッキング! Leopardを先取り(2) - SafariでSVG
ここギコ! 2007/03/05
IE7.0対応 神速のSVGビューワ見てまいりました
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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