車のことはまるっきり疎い私だが、新車購入を契機に、自動車業界の話題にも少し興味が湧いてきた。前車購入時は中古車が対象だったため、まず現物ありきとなり、さほどメーカーにこだわりがなかったのは事実。しかし、対象が新車となった途端、目線の高さが変わってくるから不思議だ。よりグローバルな見地から、メーカーの値踏みをしてみたくもなる。
今年は、軽自動車の売り上げが右肩上がりらしい。長引く不況を耐え抜いた消費者は、見た目や装備などの付加価値よりも、経済性や利便性の高い車を選ぶように変わってきたのだろうか。まあ、私にしてみればそれは自明の理で、通勤+街乗り用なのに、わざわざ高額かつ税金の負担が大きい車を買おうという気がしないのである。もちろん、この辺りは、車の用途や個人の趣向と深く関わってくるので、むやみに軽自動車を人に勧めるつもりはない。
『日経ビジネス 2006.12.11』の特集「ヒット連打の新法則」で、ダイハツの躍進ぶりが取り上げられている。この記事が載ったのは新車の購入後だが、読んでみて「ああなるほど」と感じた点がいくつかあった。
それまで、ダイハツの軽はミラ、ムーブなど4車種しかなかった。その後継続的に車種を増やし、2002年以降だけで一気に6車種を投入。今では合計13車種の軽を展開する。車種が3倍になった結果、ほぼ半年ごとに新型車が出るので、店舗に足を運ぶ人が増えた。
確かに、数回つくばのダイハツ販売を訪れたが、休日には客が途切れることはなかったように思う。茨城県限定の格安モデルを用意したり、販促にもかなり力を入れていたこともあるが、実際にさまざまなデザインの車を見たりさわったりできるので、カップルや家族でワイワイと盛り上がれるのだろう。
驚くべきは、車種が増えたにもかかわらず、研究開発費はほとんど増えていないことである。そのマジックの種明かしはこうだ。
最大の理由は、プラットホーム(車台)の共通化を徹底したことにある。車台とは、エンジンや変速機、サスペンションを含むクルマの作りの一番の基本部分。新車開発の中でも、最もコストがかかる。
これは軽だからこそ可能な戦略だが、そこまでの決断をするのがなかなか難しい。技術を一つに結集するということは、つまり最高のクオリティを追求することでもある。失敗は許されない。技術者の立場に立つと、これはとてもやりがいがある仕事であり、プライドを賭けての闘いとなる。「よっしゃ、やってやろう」と士気が高まるのだ。また、ここで浮いた資金をデザインに回すことで、顧客のニーズにあった車を造り上げることが可能となる。まさに、一石二鳥の戦略である。
ヒット連発は、顧客を属性で細かく分けて車種を揃えたからこそ実現できた。もう万人受けは狙わない。
以下、『日経ビジネス』から、車種ごとの主な特長をまとめてみよう。
ソニカ:50〜60年代向けにカッコ良さと走りを追求。
ジーノ:お洒落さを重視する若い女性を狙った。
エッセ:初めてクルマを買う女性に、シンプルな装備で70万円台からの低価格を実現。
タント:子育て世代の主婦向けにワゴンタイプで車内の広さをとことん追求。
ムープ:既婚女性を狙っており、丸みを帯びたボディーと買い物など様々な場面で、使いやすい広さを売り物にしている。
ムープカスタム:男性を意識したフロントが角ばった精悍なデザインで、内装も黒を基調にカッコ良さを追求。
さらに、12月25日に発売となったエッセカスタムは、エッセのシンプルな良さはそのままに、スポーティなスタイルを打ち出している。ターゲットは男性を中心とした幅広い層だ。黒木瞳さん主演のTVコマーシャルにも出てくる新色ブラックは渋い。
これに伴い、従来のエッセもエンジンマウント方式の改良が行われ、室内静粛性が向上している。
詳しくは、ダイハツのオンラインショールームへ。
さて、うちの家族が選んだのはエッセ(しかも抹茶色!)。
(娘)「あ、これかわいい! それに安いし」
(私)「内装がすっきりしていて、使いやすそう」
経済的なエコカーを目指し、徹底的に無駄を省いた造り。それをよりよい方向にシフトすることで、シンプルで快適な室内空間を生み出すことに成功している。ナチュラル感溢れる内装はキュートな外見と相まって、女心をくすぐる。
メーターやオーディオ類は中央にまとめられているため、フロント部はすっきりしている。オーディオは、ボタンが大きくて配置も分かりやすい。操作はとても簡単だ。
とりわけ私が気に入ったのは、リナザウの指定席ができたこと。本来はドリンクスタンドなのだが、底面積が広いのでリナザウがすっぽり納まってしまう。すぐ脇にシガ?ソケットがあるので、電源もばっちり。私はここに、FMトランスミッターをつないでいる。これで、4GBのハードディスクにため込んだ曲を好きなだけ聴くことができるのだ。
娘が乗るときは、いつもiPod(40GB)が一緒だ。しょちゅう操作しているので、膝の上が指定席となっている。何だか危なっかしい..
そうそう、一つだけシンプル過ぎだと感じるのは、リアウィンドウにワイパーが無いこと(ESSE/L標準仕様の場合)。雨の日は、ちょっと見難い。ついでに言うと、灰皿も無し(私は吸わないので全然OK)。
12月22日、ダイハツは今年5〜12月製造のソニカ、ムーヴ、ミラの3車種について、リコールを国土交通省に届け出た。同じ部品を使用していることが裏目に出て、3車種同時リコールとなったのだろうか。もしそうだとしても、部品の共用化という方針は、決して誤りではないと思う。リコールは無いにこしたことはないが、利用者にとって深刻な問題となるのは、発生した量よりもむしろ情報の正確さや対応の早さである。その点、ダイハツは信頼に足る会社であると信じたい。
ダイハツは2007年、創業100周年を迎えるのだそうだ。スズキを抜いて軽自動車のトップの座を奪えるのかどうか私には分からないが、これからも、ますます前向きに、そして顧客よりに、事業を展開してほしいと願っている。
Yahoo!ニュース 2006/12/22
<リコール>ダイハツが2万台 「ムーヴ」「ミラ」など
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