AMDは2008年の第2四半期の業績発表において、11月のアナリストカンファレンスにIntelのAtom対抗製品のロードマップを公開予定だと発表しましたがすぐには製品を出さないようです。
AMDが省電力CPU(Bobcat)に関して言及したのは、2007年6月に行われたCOMPUTEX TAIPEI 2007が最初です。そのときは2008年に製品を出荷すると発表していました。
ですが、戦略の変更かはたまたBarcelonaのバグ問題対応にリソースをかけすぎたのか、省電力CPUの発売は今のところなさそうです。ただし、ロードマップの公開やこのカテゴリには注目していくようです。
私は今回のAMDの決断に関しては好意的な判断しています。それは、3つの理由からです。
1つ目は、すぐに準備できそうなものではコスト的にAtomに対抗することは難しいからです。
たとえば、もうすぐ出るTurion X2 Ultraをベースに簡易に省電力CPUを設計したとします。デュアルコアのTurion X2 Ultraのダイサイズは150平方mmと言われています。これをシングルコアにしても75平方mmです。また、L2をAtomと同じ量(1024KB→512KB)に減らしてもせいぜい11平方mm程度しか削減できません。65nmプロセスルールでは、がんばって64平方mm前後しか小さくできないでしょう。また、45nmにシュリンクできても32平方mmです(ここまでシンプルにシングルコア化やシュリンクはできないでしょうが)。
K8コアでは、45nmプロセスルールで25平方mmのAtomに対してコスト競争で勝てるとは思えません。このため、簡易に作るCPUではIntelに対抗は難しいでしょう。
2つ目は、AMDの開発リソースがライバルのIntelよりも不足していることです。
K8をベースに省電力CPUを作るにはコスト的に対抗できないとなれば、Intelと同じく一から設計する必要があります。ですが、売り上げ規模が7倍も違うライバルと同じ製品ランナップを準備するのは容易なことはではないでしょう。また、Barcelonaのバグ問題や消費電力を減らすことができない状況を考えると、AMDのリソース不足は明白です。この様な状況下で、新たなCPUを設計していては主力のOpteron/Phenom/Turionの設計にも影響が出ます。
このため、リソースの集約の意味でも新しいカテゴリに進出をあきらめのも一つだと思います。
3つ目は、省電力CPUにはそれにふさわしい省電力&省スペースチップセットも必要なことです。
AtomはPoulsboと呼ばれるチップセットがいますが、それは通常のチップセットから比べれば幾分か省スペースを実現してます。このおかげで、非常にコンパクトな筐体にも収めることができています。
AMDはATIを買収後にチップセットも製造できるようになり780G等は高評価を得ていますが、省電力&省スペースの経験は豊富ではありません。Intelは、このカテゴリに進出してからMenlow(現Atom)で3世代目で、ここまで持ってきました。AMDもこのカテゴリに進出すれば同様な苦労を伴うでしょう。
いくら良いCPUを製造できてもチップセットが省電力&省スペースを実現できなければ、Menlowプラットフォームに対抗することはできません。
このような理由により、余力がないAMDが無理にAtom対抗製品を出荷してさらに業績を悪化させるよりも、メインの業務に注力し体力回復後にNetbook系市場に進出したほうがベターだと思われます。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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