AMDは、サーバ向けCPUのロードマップを変更しました。今回発表されたサーバ向けCPUのロードマップは以下のようになっています。
・Shanghai(出荷時期:2H08,特徴:45nm,L3 6MB増量,HT3.0等)
・Istanbul(出荷時期:2H09,特徴:45nm,6-core)
・Sao Paolo/Magny Cours(出荷時期:1H10,特徴:6/12-core,Socket G34)
AMDのサーバ向けCPUのロードマップは以前は以下のようになっていました。Barcelona→Shanghaiまでは、どの資料も同じです。ついでに2006年以前の資料は今は「Error 404 - Page Not Found」となっていますので、「AMD 2006 Analyst Day 2006/12/14の感想」で書いている内容を確認することはできませんでした。
■2007.07 Technology Analyst Day(Shanghai以降のロードマップ)
・Sandtiger(出荷時期:2H09?,特徴:Bulldozerコア,DDR3)
・
■2007.12 Financial Analyst Day(Shanghai以降のロードマップ)
・Montreal(出荷時期:2H09,特徴:4/8core,DDR3,Socket G3)
Barcelona(Opteron 83xx/23xx)のTLBエラッタのためか、2007.12に発表されたロードマップにはBulldozerコアであるSandtigerがロードマップから退場し、さらに今回の発表でMontrealも退場しました。1年も経っていないにも関わらず、2009年以降のロードマップが2転しています。このあたりは、AMDのサーバ向けCPU開発が迷走しているようにも見えます。
2007年12月に行われたFinancial Analyst Dayでは、8コアのMontrealがアナウンスされていましたが、どのような事情かわかりませんが、たった5ヶ月で6コアのIstanbulに変更されました。
CPU開発スパンが4年かかることを考えると、たった5ヶ月で来年出荷されるCPUの構造を変更ができるわけがありません。それがモジュール方式を採用したAMDのCPUでも無理がありそうな期間です。
このため、Financial Analyst Day時点では両方の開発計画が進んでいたのではないかと予想されます。もしくは、小さな設計変更で対応できる程度の余地を残していたのかも知れません。ではなぜ性能が良いと思われる8コアのMontrealを捨てなくてはならなかったのでしょうか?
いくつか理由が想定されます。
・8コアではダイ面積が大きすぎて、製造コストがかかりすぎる
・ダイ面積が大きすぎて発熱が抑えることができず周波数を向上できないため、コア数を増やしても性能が上げられない(現状のBarcelonaの様に)
・Xeon MP版は、6コアのDunningtonを出すため無理して8コアを出す必要性が無くなった
他にいろいろと考えられると思いますが、このあたりでしょうか。
ただし、今回の発表でBarcelona系のコア(以下K10.5)が、2010年まで延命されることだけわかりました。期待されていたBulldozerコアの登場時期は、完全にわからなくなりました。
K10.5の周波数あたりの性能は、SPECint_rate_base2006で見てみると同じ周波数の2GHzのXeon E5405(86.8)とOpteron 2350(80.0)で、10%も差がありません。このため、両アーキテクチャの性能差は、見かけほどあるわけではないようです*1。
ですが、Intelは2008年末にNehalemコアを投入します。Nehalemコアは、Core MAをベースにHyperThreading、ダイレクトメモリとキャッシュの階層化等の拡張を行うため、Core MAよりも周波数あたりの性能は向上するでしょう。また、2010年には、新しいアーキテクチャのSandy Bridgeが出荷されます。
今でも苦戦しているK10.5のアーキテクチャで、NehalemコアやSandy Bridgeコアと戦えるとは思えません。確かに、ShanghaiではIPCが向上するとアナウンスされていますが、どの程度向上するかはまだ明確な数字が出ていません。
このため、AMDはK10.5系で長く苦しい道のりを選択したように見えます。
この選択が、開発リソース不足や開発キャンセル等によって後ろ向きに選択したのか、それともCPUコアを改造するよりもAccelerated Processing Unit(Fusion)を追加する方がより効果的だと前向きに選択したのかわかりません。
できれば前向きな理由でCPU開発のロードマップを描いたと思いたいものです。また、このような迷走振りは、フィル・ヘスターCTO退社*2の影響が出ているように思えます。とりあえずは、ShanghaiやInstanbul等がロードマップ通り出荷されることを願うばかりです。
*1:ですが両アーキテクチャの性能が非常にかけ離れている様に見える理由は、最高周波数がXeon X5482が3.2GHzで、Opteron 2356は2.3GHzと40%近くも離れているためです。たとえば、SPECint_rate_base2006では、Xeon X5482:Opteron 2356=121.3:89.5と周波数差程度の性能差が出ています。やはり周波数を上げられない問題はかなり致命的なのかも知れません。
*2:退社の理由がわかりませんが。
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