巨大グラフィックスチップメーカー誕生--AMDのATI買収、背景と影響
今回の買収による、AMD/ATIには、どのような変化が訪れるのでしょうか?買収によるAMD/ATIのメリットの点から考えて見ました。
AMDは、CPU以外を生業としていません。ライバル(?)であるIntelは、PCをトータルで構築できるチップを提供しています。GPU付きNorthBridge(965等)、SouthBridgeやワイヤレスチップ類がそれに該当します。AMDは、それらのチップ類を提供できていません。チップ類を提供できれば、収入のアップや、チップ類を製造するサードパーティのコントロールに力を注ぐ必要もありません。AMDが、ATIを手にいれることによって、これらの問題を解消できます。さらに、AMDは、Intelが持ち得ない高性能なGPUさえ手に入れることができます。これは、Opteron以外にもIntelに対するアドバンテージになります。
Fabレスメーカは、最新の半導体を製造できません。このため、GPUは、CPUと比べて1世代、もしくは半世代遅れたプロセスルールを使用してきました。これが、IBM・AMDの最新Fabを使用する事ができるようになると一変します(と、言ってもすぐには無理でしょうが)。そうなれば、今まで一進一退で拮抗していたライバルのNVIDIAに対して、一歩先をいける可能性があります。
最近GPUは、GPGPUとして汎用的に使用することを試みられています(ゲームの物理計算など)。さらにAMDは、コプロセッサをCPUに接続するTorrenzaを提案しています。このシステムが、普及するかどうかは、卵が先か、鶏が先かの問題になり、現時点では、成否は予見できません。今回の買収により、AMDは、卵(ATIのGPU)を作ることが出来るようになりました(うん?鶏か?)。Torrenzaのエコシステムが、成長するかどうかは、コプロセッサ、マザーボード、PCの各種メーカや、ソフト(特にキラーアプリと呼ばれるもの)の対応(当然ユーザの渇望する声も!)などが必要ですが、これでスタートだけは、切れそうです。
近年は、AMDは、攻撃的とも言えるほどFabを増設、もしくは計画していますが、増設とCPUのシェアが合わなくなるリスクもあります。その場合にも、余剰のFab生産力を、ATIのGPUが補うことができれば、Fab増設のリスクも軽減できます。
また、多くの人の疑問である「なぜ、ATIの代わりにNVIDIAでは無かったのか?」の回答は、後藤氏の「AMDとATIのプロセッサは1つに融合する」の中で、以下の様に説明しています(より詳細に知りたい場合は、URLをご参照ください)。
Unified-Shader化したGPUは、真にベクタプロセッサと呼ぶにふさわしい汎用性を持ち、CPUに統合して汎用コンピューティングに応用しやすい。
NVIDIAは、次GPUもUnified-Shaderを採用しないと言われています(蓋を開けてみないとわかりませんが)。早急に、コプロセッサ(ベクタプロセッサ)を必要とするAMDの買収先は、ATIの方がベターな様な気がしました。私は、安易に買収金額の差だと思っていました。
この様に考えると、今回の買収は、AMDとATIお互いに好影響をもたらすのではないかと思われます。次回は、AMD/ATI以外のメーカの変化に関して、考えて見ます(二部構成です)。
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