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CNET Japan ブログ

リリースからの一年を振り返って

2007/08/31 11:28
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Lingrをリリースしてからちょうど1年が経ったので、この機会に総括してみたいと思います。

お世話になってるユーザやAPI開発者の皆さんに恩返しをする意味でも、これから自身で何かを開発する際の参考にしてもらえればいいな、という思いから、なるべく具体的な数字を伝えることにしました。

これはデータセンターで計測されたデータ転送量のグラフです。

あとはGoogle Analytics(以下略GA)による統計で、簡単にご紹介できる現状の数字としては、

  • 月間ユニークユーザ:10万人
  • 月間ページビュー:23万PV
  • 絶対ユニークユーザ:26万人
  • 平均滞在時間:10分

といったところです。

なお、GAのデータに関しては、API経由のアクセスは一切カウントされないのと(あとで述べますが、API経由のアクセスはブラウザ経由の2倍あります)、AjaxやCometによるアクセスもページビューにはカウントされないという点に注意が必要です。

たとえば上のグラフ(転送量)で見ると2月のAPI公開直後、および3月末のJustin.tvがLingrを採用していた頃のトラフィックがスパイク状になっているのがわかりますが、これはAPI経由のトラフィックなのでGA上には数字としてほとんど現れていませんでした。

あとAlexaもありますが、中で取ってるデータと傾向が全然一致しないのであまり信用できない印象です。

それから、GAで取得したユーザの言語については70%日本語、20%英語、4%中国語、1%ドイツ語、あたりがメジャーどころとなっています。

ほかにもアラビア語(ar)、韓国語(kr)、オランダ語(nl)、スペイン語(es)、ポルトガル語(pt)、フランス語(fr)、イタリア語(it)、デンマーク語(da)、スウェーデン語(sv)、ノルウェー語(no)、ロシア語(ru)、トルコ語(tr)、タイ語(th)、チェコ語(cs)、ギリシア語(el)、ハンガリー語(hu)、クロアチア語(hr)、スロベニア語(sl)などからのアクセスが少ないながらも定常的にあり、これらほとんどの言語圏の人と実際に会話したことがあります(翻訳ボットをつかって)。特に最近はアラビア語&ペルシア語圏(イラン人・イエメン人)のコミュニティが活発です。

ブラウザのシェアは

  • IE6:45%
  • Firefox:34%
  • IE7:11%
  • Safari:6%
  • Opera:3%

と混戦模様。

アプリケーションレベルのデータとしては

  • 登録ユーザ数:8600人
  • 総ルーム数:5000ルーム(うち3400が非公開and/orパスワード)
  • 同時接続ユーザ数:600人(Browser 200 + API 400)
  • 総イベント数:14,000,000件(発言+入退室)
  • 総発言数:4,800,000件
  • 一日あたりの発言数:25,000-30,000件(うち10,000件が非公開部屋、10,000件がパスワード部屋での発言)
  • 一日あたりのPM発言数:2,000件(部屋のログに残らない1:1のダイレクトメッセージ)

という実績が主たる数字になっています。

登録ユーザ数をどう見るかについては、Lingrの場合にはユーザ登録しなくても使えるので、一般的なサイトとの比較が難しいところではありますが、おおむね経験からいうと登録ユーザ数の3-4倍ぐらいが非登録のまま使ってるのではないかと思われます。この推測を信じるなら、だいたい一般サイトでいうところの3万人ぐらいがサインナップしている状況に近いのではないかというところです。

また、全発言のうち70%ほどが非公開の部屋で行われているところも、当初予想したよりもかなり多い割合です。

さて、以上の数字から、あっさり結論を述べると、

  • どの数字も遅いながらも日々着々と伸びてはいる
  • しかし現在の絶対数そのものは非常に少ない

ということが言えると思います。

さて。

現在はまだウェブを同時的(リアルタイム)に使うというパラダイムにはなっていないが、確実にそちらに向かうので、これらの数字の立ち上がりは遅いが着実に伸びるだろう、というのが当初からの予想でした。

たとえば、今から10年後を想像してみてください。さまざまな流行が生まれては消えるこの世界で、10年後も確実に残っているといえる本質的な分野はそうそうありません。ウェブの世界で、検索はずっとキラーアプリケーションでしょう。ブログやウィキなどのCMSもずっとキラーであり続けるでしょう。チャットもまた、何らかのかたちで10年後も確実に需要が広がっているだろうといえる、数少ない分野のひとつだと考えました。

あらゆるアプリがウェブ化していく昨今にあって、まだまだSkypeだのLimeChatだのMSNメッセだのクライアントアプリが全盛で、明確な勝者がおらず「小さな市場に群がる多数のプレイヤー」状態のウェブ・チャットも、市場が全体として小さくなることはないと考えています。

ひとつこだわりがあるのは、いま市場が小さいということは、グーグルやヤフーのようなシリアスな競合がやってこないという意味で、矛盾するようですがとても重要な意義を持っている、という考え方です。大手は需要が証明済みのマーケットに後から参入してくるので、それよりも後に参入したのでは絶対に勝てません。挑戦者にとっては、存在しない市場を自ら創造して証明者になることが唯一にして最大の正攻法だと思います。

成功しているアプリを見てインスパイアされ、すでに存在する市場で模倣品や改良品を作るのは精神的には楽だし、技術を鍛える良いトレーニングにはなりますが、それと「いまは存在しない新しいモデルを作る」という決断の間には超えられない壁があるように感じます。

たとえば、Cometという技術について、ブログで解説してみたり実験的に実装してみました、という人はかなりの数いると思うのですが、実際に腹をくくってCometをプロダクションレベルで使うアプリを作った人というのは、あれから一年経ってみてもほとんどいないみたいで、ちょっぴり残念です。(しかし、公平のために、あれから登場したいくつかの実装はとても面白いものだったし、勉強になった、とも言っておきたいと思います。)

時代はまだまだブログだのウィキだの非同期メッセージング全盛。ようやくTwitterのような半リアルタイムのアプリケーションがようやく先進的ユーザの間でブレイクしているという時代ですから、純リアルタイムで複数人がコラボするようなアプリケーションの時代は徐々に近づきつつあるとはいえ、まだまだ遠いと感じます。

結局のところ、ビジネスはタイミングが全て。モノの善し悪しはともかく、残念ながらLingrは時代にドンピシャではまるタイミングで登場したとは言えない、というのが現時点でのぼくなりの総括です。

果たして、このまま伸びればLingrがクリティカル・マスを迎える時代は来るのか?くるとして、いつ?

時代のモメンタムというものは、小さなベンチャーごときが「おれたちが動かして見せる」と威勢のいいことを言うには手に余るものです。

一方で、プロダクトというのは手を加え続けるとどんどん複雑怪奇になっていき、使いにくくなっていくものです。Lingrにとって、シンプルさと使いやすさは最強の武器ですから、そのメリットを減じるような新機能追加をどんどんやることは、「真に進むべき方向が見えてくる成長期」をまだ迎えていない現段階では自殺行為です。

かといって、時代が追いついてくるのをただ寝て待っているわけにはいきません。技術者のエネルギーをくすぶらせておくわけにもいきません。

では、どうするか?

長らく悩んでいたこの問いに、やっと答えが出ました。

「Lingrの反省を活かし、もっと時代に即した新しいアプリケーションをつくる」

これです。Lingrと同じビジョンを共有しつつも、もっと早期に立ち上がるアプリケーションをスクラッチから作る、という方向性がこの夏、ようやく出てきました。もう道筋は見えていて走り出しているので、内容については書ける時期がきたら書きたいと思います。

長くなってきたので、今回はここまで。次回はもっと掘り下げて「Lingrから学んだ反省点のまとめ」みたいなのを書く、かも。

p.s.
あと、9月7日に東京でITpro Challenge!というイベントで講演やります。募集はすぐに締め切られましたが、プレゼン資料は後日入手できるので、なるべく具体的に書いておくようにしたいと思います。ぼく以外の講演が全部面白そうなので、一人の観客としてすごく楽しみです。

♪ Kelly Clarkson / Behind These Hazel Eyes

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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