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若い人たちから学ぶということ

2007/03/17 09:55
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先週はJTPAのシリコンバレーツアーがあって、若い衆と夜な夜な語り合った。

ぼくはベイエリアのこの適度な田舎具合がとってもお気に入りだ。東京のように、どこへ行っても知り合いにバッタリ会ってしまいかねないような、どことなく息苦しい感じというのがここにはなく、といっても、まぁ過去に築いてきた人とのつながりのほとんどをあっちに置き去りにしてきたのだから当たり前なのだけど、とにかく開放的な気候のもと、独りでじっくり考え事ができるこの土地が好きだ。今も、あふれんばかりの陽気の差し込む、パロアルトにあるカフェのテラスでこのブログにエントリしている。

しかし、今度ばかりは人付き合いの悪いぼくも自ら望んででかけていった。もう自分も30歳を超えてしまった。自分の感性が過去のものになりはじめているのに、それに気付くことができずに下の世代との断絶がはじまる、とても微妙な年頃だ。

正直、世の中にわからないことが増えてきた。特に、自分より若い世代の人たちが面白がっているものを、自分が面白いと思えないとき、とても不安になる。昔から割と年上のエラい人に気に入られるのは得意で、誰とはなしにオヤジキラーだなどと言われていたぼくだけど、自分より年下の子たちと共感できる感性を維持することは本気で難しい。

年上のエラい人との付き合い方というものにはあるパターンみたいなものがあって、割と地頭がよくてカンのいい子ならお利口ちゃんになるのは簡単で、あるツボを押さえてしまえば割といつまでも応用が効くんだけど、ってまるでどっかの水商売のホステスみたいなことを言ってるけど(笑)、年下の世代っていうのは流行廃りが激しく、そこで通用するセンスを維持するのは終わりなきラットレースであり、ムービングターゲットだ。

だからぼくは、若い子たちにぼくが知りえた何かを教えてあげようというような気持ちよりもまず、自分自身をアップデートするために、彼らからなにがしかを学びたいという利己的な動機から、このツアーに押しかけていった。

そしてその目論見はおおよそ正解だったと思う。自分が時代から取り残されつつある気配に、すんでのところで気付くことができたからだ。

彼らは、ぼくがこれまで自分の全能力をかけて必死で体験し反芻を繰り返しながら少しずつ学んできたウェブ社会の法則みたいなものを、当たり前のものとしてごく自然に体得していやがる。

もう現代はパンを食うにも困るというような時代ではない。街中では大量の残飯が捨てられ、悩みごとといえばこのもてあます暇をどう潰すかということで、自分たちの生活よりも地球環境のことを考えよう、なんておめでたいことを言っていられる時代なのだ。こんな社会のなかでは、やりがいのあること、意義のあることを見つけるのは、とても難しい。

生きていくために最低限必要なもの、誰からも感謝されるような仕事なんて、ぜんぶ事足りている。そういう社会の中では、誰が何を望んでいるのか、または望むようになるのか、どこまでも真剣に考えて考えて考え抜かなければいけない。消費者天国、供給者地獄の、とても厳しい時代なのである。

「困ってるからこれ欲しい」よりも「面白いからこれ欲しい」の時代なのだ。こうして世の中は娯楽にあふれ、新しい技術も娯楽のフレーバーをまとってやってくる。頭が良くても娯楽のセンスのない者にはフィールドに立つことが許されない、とても厳しい時代なのだ。

でもツアー参加者の彼らは、そんなことは所与の条件として織り込み済みで、ごく自然に生きている。ぼくがそんなたわいのないことに考えをめぐらせている間にも、彼らはその条件のもとでどんどん先に進んでいる。いつか、彼らの世代が世の中の主流を占める時代がくる。そのときに、彼らのセンス、娯楽的なツボを理解できないというのは、命取りだ。

ぼくが彼らに勝っているといえるのは、彼らにはまだ自分の人生や進路に迷いがあるが、ぼくはもうふっきれていて、様々にあった選択肢をぜんぶ捨ててただ一つ好きなことにフォーカスを絞っているという点だけだ。彼らが本気で好きなことを見つけてしまったら、そしてそれがもしたまたまぼくと同じ分野になってしまって、ガチで勝負することになったら、負けてしまうのではないかという予感がある。

だから、ぼくはそういう不利な状況に先手を打つために敵情視察をしてきたのだ。体力的にも知力的にもしんどかったけど、おかげさまで色々と自分の中にバグが見つかり、パッチをあてることができました。

そんな不純な動機のぼくに付き合ってくれたツアーメンバーの皆さん、本当にありがとう。これからもよろしくね。それから最後に一言、君たちもいつか知らず知らずのうちに年寄りになるっていうことをお忘れなく。

さて、あと1時間ほどでJTPA梅田望夫サロン(リベンジ版)開催です。来られる方は、そちらでもお会いしましょう。

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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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