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ビルゲイツの怒号

2005/11/11 10:25
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先日、ビルゲイツから社員あてに、「インターネット時代のサービスビジネスに備えよ」という号令が発せられたというニュースが飛び込んできた。

CNET Japan : 「サービス化の波に備えよ」--ビル・ゲイツによる話題のメモを全文公開

ビルゲイツの洞察力は全く衰えてない。

2000年に「.NET」が発表されたときには、こんなんブレイクするはずがないよな、というぼくの当時の予言は現状をみれば見事に当たったわけだけど(失礼)、たったいま2005年に出されたこのメッセージは、いよいよ相当するどい。ビルゲイツ大復活、面目躍如といったところ。

ここではようするに、広告がソフトウェアの主たる収入源になりうるという可能性を言っているのだ。今はまったく賛同できない人も、広告ビジネスというものがそもそも生理的に嫌いという人(こういう自分を相対化して見られない自己変革不能タイプが一番危険)も、その多くが2010年には考えを改めていることだろう。断言できる。しかも、論理的に説明できる。その背景は、いつか述べたいと思う。

マイクロソフトは、ソフトウェアライセンスに完全に依存したビジネスモデルの上に成り立っている。つまり、サービスビジネスや広告ビジネスを小バカにする社風(「Googleなんて、色々騒がれてるけど、しょせん広告屋だろう?」ということを言ってしまう人が何割いるかが一つの指標)に染まっている。これは一大事だ。果たしてこの破壊的、いや宗教的とも言えるほどの変化を乗り切れるのか。。。?

ビルゲイツが社員に向けて強くメッセージを打ち出し、「広告=是」と言い切ったことで、第一関門は突破というところだろう。同時にWindows Live / Office Liveなんていう大胆なものまで添えてリリースすることで、本気度をアピールしている。

Windows Live / Office Liveは、対外的なメッセージとか実ビジネスとしての収益性よりも、むしろ自社の社員に向けての変革のメッセージであることは疑うまでもない。「「こんなものが成功するわけがない」ことをビルゲイツが自覚してない」わけがない。誇張であること、ビジネス的には失敗に終わるであろうことをわかった上で、SMB(中小企業)市場を攻略するにはこのアプローチしかないのだと社員にわからせるためだけに打ち出している。確信犯なのだ。

今のぼくにはビルゲイツのそういう気持ちが痛いほどわかる。

長年、ソフトウェアで商売してきていると、その成功体験ややり方が社員の骨身に染み込んでいる。ぼくは、この今書いているエントリと同じ趣旨の内容を何度も何度も手を変え品を変え、社内ブログにもエントリしてきたり、面と向かって話し合ったりしてきているが、多くのインフォテリア社員には全くといっていいほど理解されていない。

昨日など、この話をするためだけに、ぶっ続けの16時間を、トイレに行く暇すら惜しんで、入れ替わり立ち替わり、経営幹部とのビデオチャットに費やした。これでも、まだまだ十分ではない。もっともっとコミュニケーションが必要だろう。

ぼくのように、自分の人生のなかで「あちら側」と「こちら側」の両方に足を突っ込んできて、「こちら側」にいる人間を「あちら側」へ連れて行こうと布教活動をする者は、180度異なる価値観の両方がわかり、両者ともに共感できるだけに、分裂症になるか、鬱になってしまうのは必然ではないかと思えるほどだ。そのぐらい重たい変化なのだ。

ひるがえって、マイクロソフトのような売上げ4兆円の会社で、たかだか数十億円の予算のプロジェクトに対する思い入れと本気度を示すには、ビルゲイツの採ったような方法しかなかったろう。

しかし、問題は第二関門、そのビジョンの遂行者がなぜ今さらRay Ozzieなんだろう。。。?ということだ。web2.0カンファレンスのときのRayの話は、あまりにもつまらなかった。夢とか野望とかいうものを感じられなかった。どうも、彼はweb時代の文法が理解できてない気がする。おそらく、会場にいた若い世代の多くは、同じことを感じたはずだ。広告ビジネスへのシフトを後押ししたのは彼だという話だが、そのディティールの部分では彼にはさほどビビッドな感受性がないのは明らかだ。

マイクロソフトは、こうしてまずビジョンの提出には成功したけれども、その実行という面で、Rayに指揮権を集中させるという形では成功しないと断言できる。平たく言えば、いよいよ「世代交代」が必要な時期なのだ。果たして、ビルゲイツの取り巻きからは、そのような尖った若手がいなくなってしまったのだろうか?

このことは、ソフトウェア業界で下克上を目指すチャレンジャーたちにとっては千載一遇のチャンスだ。

さて、あと5年。。。

我が身を振り返って、我々はその時代の変化に間に合うだろうか?

すでに一足先に「あちら側」に行ってしまって、水を得た魚のようにするするとナチュラルに仕事をこなしていくネットベンチャー先輩諸氏の背中を見ていると、同僚の考え方を変えさせるためだけに大量の時間を浪費しなければならない自分の境遇が情けなくなることもある。

これを、人生の浪費だから身の振り方を考えた方がいいよ、とアドバイスしてくれた先輩もある。しかし、そうは思ってないからこうしてジタバタしているのだ。

そういう先輩たちの背中を、羨望と同時に「見てろよー」という思いで見つめながら、単なる後追いではなく、まだGoogleの他にはほとんど確立していない「テクノロジーのイノベーションをアイデンティティとしたネットビジネス」という願いを実現すべく、もがきつづけていこう。

信念はいつか通じると信じて。

♪ Police / Message In A Bottle

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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