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web2.0の未来

2005/10/19 18:59
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例によって時宜を逸したご報告ですみませんが、先日サンフランシスコで開催されたオライリーのweb2.0カンファレンスに参加しました。

web2conference2005

このカンファレンスの感想を一言でいうと、いまもっともホットな業界のオールスターが勢揃いの怪物イベント、でした。

ヤフーCEOのTerry Semel、マイクロソフトのCTOに就任したRay Ozzie、Tim O'Reillyの突っ込みを痛快に切り返して見せたサンCOOのJonathan Schwartz、AOLのCEOであるJonathan F. Miller、IACのCEOであるBarry Diller、AT&TのCTOであるHossein Eslambolchi、さらにはグーグル創業者のSergey Brinが飛び入りで参加するサプライズがあったり、これだけの超大物を一度に拝める機会もそうそうないでしょう。

懐かしい顔ぶれという意味では元マリンバのKim Polese、マクロメディアの元祖Marc Canter、敗者復活に成功したMSDWのMary Meekerなど。

意外なところではSecond LifeファウンダーのPhilip Rosedale、NetflixのCEOのReed Hastings、メディア界の寵児でNBAのバスケチームDallas MavericksのオーナーでもあるMarc Cuban。SocialTextのRoss Mayfieldは、ど真ん中の人物ですが最近SAPから出資を受けたのが意外でした。

Sxip IdentityのDick Hardtは高橋メソッドも真っ青の超絶プレゼンを披露して観衆の度肝を抜きました。(これを見よ!)

本命Web2.0イノベーターからはシックスアパートのMena Trott、テクノラティCEOのDavid L. Sifry、(Safariにも対応して欲しい)JotSpotのJoe Kraus、クールなサービスを連発しまくりで個人的にもお気に入りで使っている37signalsのJason Friedが「Less」哲学を熱く語ったりしたほか(Goodpic金子さんがこのエントリで書かれていることと同じ内容です)、LaunchPodという各社の新サービスの大発表会ワークショップでは、そろそろ公式リリースが近い話題のソーシャルブラウザFlock(私見では期待外れ)、最大の拍手喝采を浴びたZimbra(会社がサンマテオにあるからか、このデモに出てくる住所、ぼくの住んでるアパートです。。。:汗)、ベイエリアのイベント情報アグリゲーション&MashupサイトZvents、日本のフォートラベルのようなUser Generated Contentsを指向する旅行系Blog/SNSのRealTravelなどが発表しました。他にも、何をするものなのかが(ぼくにとっては)よくわからないけれど、とにかくAJAXバリバリでユーザエクスペリエンス面だけでもアイデア満載、というサービスが山のようにありました。まさに黎明期!

グロービス・キャピタル・パートナーズの小林さんがブログに書かれていたVCセッションも、私は裏番組に出ていたので見られなかったのですが、読んでみると大変興味深い内容だったみたいです。

えーと、まだ半分も言及できてない?

イベントの概要を述べようとしただけでこの分量です。

もう無理です。勘弁してください。

■Web2.0 : Data as Intel Inside

web2.0がIT業界ですべりまくっているその他のバズワードと違って本当に素晴らしいのは、それが少なくとも机上の空論ではないということです。Web2.0のプロダクトは、無償で利用できるラインナップが提供されていることがほとんどで、今すぐ使ってみてリアルに手触りを確かめることができるものばかりです。

かのEsther Dysonは

"You can no longer tell people about your brand; you have to let them experience it."(もはや人を説得しようとすることではブランドは獲得できない。ただ体験してもらうしかない。)

と言いましたが、まさにそういうことでしょう。

たとえば、GoogleがGMailやGoogle Mapsでやったことといえば「もうこの分野は大昔にやり尽くした」と誰もが思っていたアプリケーションの再発明です。それも、今までよりもプアかつチープな技術で、それをお試し体験してみるための障壁は限りなく低く、それでいて「おっ?」と思わせるユーザ体験を仕込み、クロスプラットフォームとクロスブラウザとノープラグインという点については妥協することなく徹底したということです。こんな説明しにくいものを、企画書だのグランドデザインだのを先行させて説明責任を尽くしてから始めることは不可能です。とっとと実装して、体験してもらうしかないのです。エンジニアの復権といえるでしょう。

とにかく、もしあなたがソフトウェアやネットの業界で商売している人なら、Tim O'Reillyが挙げたWeb2.0を象徴するキーワードのうち、わからない単語が3つ以上あったら、かなりのビハインドを喫しているという危機感を持っていただいた方がよろしいでしょう。

ここで改めてWeb2.0についての解釈を新たに加えるつもりはありませんが、その革命性を一言で的確に表現しているのは「Data as Intel Inside」というTimの言葉でしょう。これは、もはや単なるメタファーではなく、かなり現実的でリアルな表現と感じます。データがまるでムーアの法則のように級数的に増えていく、そういうデータを生み出させる場をいかに設計するかで競争がはじまっているのです。

Web上にあるさまざまなデータやAPIをリミックスして新しいユーザエクスペリエンスを生み出すことを「Mash-up(マッシュアップ)」というのですが、これがWeb2.0の楽しみ方の中核に位置しています。そして、多くの開発者がMashupしたくなるような一次データソースを握ることができれば、GoogleやAmazonのような盤石のプラットフォームとしてのポジションを獲得できる、というわけです。

ここで一言付け加えておかなければいけないことは、単にスケールが直線的に増えていくような技術は、仮にそれが右肩上がりを続けたとしても革命的なイノベーションとはいえない、ということです。PCやネットの発展を下支えしたムーアの法則やメトカフの法則がまさにそうであったように、自乗からベキ乗のスケールでグングンと、しかも持続的にコア要素を成長させる技術こそがイノベーションの核なのです。

その「級数的に増えていくもの」が、論理回路の集積度であろうと、データであろうと、エコノミクスの観点からみれば本質は同じことです。新しい時代のルールでは、もはやイノベーションの核はデータへとシフトしつつある、ということなのです。

違いは、論理回路はサイエンスやエンジニアリングの領分であったのに対し、データは人間がアウトプットすることで生み出されるものです。したがって、データを自乗やベキ乗のスケールで増やすには、そういうインセンティブをいかにしてユーザに対して与えるか?という、インターネット以前の時代にはまったく例のなかった主題と向き合わねばならない、という点がチャレンジなのです。

既存の概念にとらわれて、技術とは「既存の」コンピュータサイエンスやソフトウェアエンジニアリングの頂点を極めることであるという理解枠から出られず、「新しい」サイエンスやエンジニアリングの萌芽が誕生しつつあることに気づけない人たちは、この大転換期を乗り越えることができないでしょう。

■びっくりしたティーンネイジャーの生態

あぁ、あと、これには言及しておかねば。

プログラム最終日である3日目、17歳ぐらいの高校生4人を集めてWebのある生活、という切り口で様々なインタビューを試みるという趣向のパネルセッションがありました。

これが衝撃でした。

もう記憶もおぼろげですが、たとえばモデレータが「Amazonで本を買うか?」と問えば「たまに買う」と応えるとか、そういう受け答えをするのですが、

Q:iTunes Music Storeで音楽を買うか?
A:高いから買わない。音楽データベースとして使うけど、実物はファイル交換ソフトで手に入れるよ。(あまりの素直さに会場爆笑)

Q:インスタントメッセージングは何を使う?
A:(AOLをメインに使っている率高し。携帯に組み込まれているから?)

Q:CDプレイヤーはどこで買った?
A:CDプレイヤー。。。?(数秒の沈黙、会場ひたすら大爆笑)

Q:Skypeはどう思う?
A:(4人ともあまり興味ない様子)

いやー時代は確実に変化してますよ皆さん!

うまく雰囲気を伝えられていないかも知れませんが、この一連のインタビューは、ぼくにとっては大ショックでした。

もうCDプレイヤーなんて家電製品カテゴリは絶滅したも同然なんだね?IPフォンで革命を起こしたと思っていたSkypeすら、実は高校生にとっては革命でも何でもなくて(これはちょっと説明が必要でしょう。米国のケータイは無料通話が500分ぐらいあるので、すでに電話というものは事実上定額で使い放題であり、いまさら固定電話が無料になったぐらいのことで彼らにとっては何のインパクトもない、ということ)、ぼくらの世代がうっかり当たり前のこととして考えていたことが、実は過去の常識とか歴史的なコンテキストによるものでしかなくて、この高校生たちが大人になる頃には今とぜんぜんちがうルールで動く世の中になるんだな、と骨身に染みて実感しました。

■まだ水面下のマイクロエコノミクス

Web2.0的な小粒のハックが世の中で流通するときには、まずはそれが無償で提供されるというのは大前提です。直接的にお金を払うという行為は、それがどれほど少額であれ、サービスの普及を阻害します。データが級数的に増えることが第一原則であるという「Data as Intel Inside」の考えに矛盾してしまうのです。データが資産に化ける時代だというのに、プログラムを売ろうとしてデータの増殖を妨げるのでは本末転倒です。いつの世も、新しい技術は新しいビジネスモデルを必要とするのです。

このギャップを埋めたブレイクスルーは、GoogleのAdSenseや各種アフィリエイトなどの仕組みでした。まだ実際にはこれらから収支がバランスするほどの収入を得ることはかなり難しいのですが、少なくとも「自社で広告営業を雇って云々・・・」というリスクの高いビジネスプランを書くことは回避でき、ギークがスーツに頼らなくとも多少なりとも収支のソロバンをはじけるようになりました。この手のマイクロエコノミクスは現在も急成長を続けており、Web2.0がどこかで単体のビジネスとして帳尻が合い、その分水嶺を乗り越えた後は強固なビジネスモデルに化ける可能性があることを示唆しています。これは非常に期待の持てる展開です。

しかし、Web2.0ハックに取り組むエンジニアには、オープンソースと同じように金銭的・形式的な尺度に還元できない心理的な報酬原理がはたらいています。このエンジニア心理を見抜けなければ、マネジメントは不可能でしょう。性急なMonetizationを求めることは間違いなくプロジェエクトを失敗へ追い込むに違いありません。

SiliconValleyWatcherとかSignal vs. Noiseで書かれていることからも、Web2.0時代のスタートアップは従来の資本政策やビジネスプラクティスとは異なるルールで動き始めていることがわかるでしょう。

従って、この新しいエコノミクスは、並大抵のビジネスプランナーでは太刀打ちできません。

だからこそ、面白い。

さて、ここまで書いている以上、自分もプレイヤーとして参加するぞーという意志を持っているわけです。Ningのようなサービスが出てきたことで焦りもありますし(謎)、まだ何もかもが手探りの状態ですが、何とかこの闇を晴らしたいものです。

♪ K.M.F.D.M. / Free Your Hate

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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