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医療の情報化を目指すMedXMLコンソーシアムの合宿に参加

2005/05/23 23:47
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先週19日(木)から21(土)まで、宮崎シーガイアで行われたMedXMLコンソーシアムの合宿イベント「Seagaia Meeting 2005」に参加してきました。

MedXMLコンソーシアムというのは、京都大学教授の吉原博幸先生を中心とし、日本医療情報学会の分科会として1995年頃より進められてきた「電子カルテ研究会」からの系譜につらなる、医療の情報化を推進する団体です。

なかでも、電子カルテのXML標準規約たるMML (Medical Markup Language)は弊社CTOの北原がアドバイザリーとして関わってきていたこともあり、その動向はちょくちょく耳に入っていました。

■すごいメンツに圧倒される

しかし正直なところ、失礼ながら、今回参加してみるまで「ようするに、お医者サマのマッタリなアカデミックサロンでしょ?」とタカをくくっていました。

いやはや、先入観というのは恐ろしいものです。

またしても私の「タカくくり」は良い意味で裏切られました。

いったい私は、何度同じ失敗を繰り返したら、ちっぽけな経験から構成される我が世界観の小ささを戒め肝に銘じることができるのでしょうか。

ここに参加されてるお医者サマたち、とにかく半端ではありません。私は初日の講演でぶっ飛びました。

たとえば、キワム電脳工務店の高橋キワム先生。TigerKeynoteでクールにプレゼンをしながら、出るわ出るわギーク用語。ご自身で「Wine Style」という電子カルテのソフトを開発されており、アップルのサイトでもMacOS X対応ソフトウェア医療部門として導入事例が紹介されています。何でもNeXTSTEP以来のプログラマーだそうで、Wine StyleはCocoa + OpenBaseで書いてるらしいです。そしてキワム電脳工務店のWebサイトはWebObjects on Xserve。

思わず飲み会で聞きましたよ。

「医者とプログラマー、一体どっちが本職なんですか?」

「気持ちは9割プログラマー、でも収入は9割が医業なんだよね。はは。」

わたしは医者といえば死ぬほど忙しくて仕事が終わったらバッタリ眠るという生活をしているものだと思ってました。

さらにそれだけではなくて、毎週末には逗子・葉山でヨットに乗ってレースにも出てるそうです。たしかに、恐ろしくいいガタイに真っ黒な肌です。じゃぁ残り5割はヨットですか・・・って計10割超えてますって。ありえない。。。

そして、帰宅してからキワム先生のコラムを見させていただいて、闘病生活もされてるということを知りました。こんな先生が、私より約ふた回りも年上、私の父親とあまり変わらない世代だなんて!二日連続で朝5時まで飲んでた、最先端技術を使い倒すバイタリティの塊のようなこの方が!

さらに驚いたのが、初日の演目を締めくくったエンゼルクリニックの是永院長。淡々とプレゼンをするおじいさんだなぁぐらいに思って聴いていると(是永先生すみません)、途中からすごい展開になってきて面食らいました。油断もスキもありません、まったく。

30年前からアセンブラ、C、C++と自力でスキルを身につけてきて、院内の業務システムをすべて仲間内で手作りしてきたという話、そしてシステムを拡張して自前のWebサーバを立てて患者が自分のカルテデータにアクセスできるように「デジカルテ」というWebシステムを開発したり、さらに携帯やPDAにも対応したり、最近ではJavaでSwingベースの管理ツールを開発しているとか・・・細かいところまで伝えきれませんが、とにかく発表が終わる頃には、弊社CTO北原ともども開いた口が塞がりませんでした。九州は大分のイチ医院の院長先生ですよ、そして60歳ですよ、60歳!

DIYにもほどがあります。いったい、こんなにあくせくしてアップアップしながら働いてる、プロのソフトウェア書きっていう立場をどうしてくれるんでしょうか。一瞬、自分たちの存在をすごく小さく感じました。

そして、同じく飲み会では大橋産科婦人科の院長で東京都医師会の理事にしてNeXTユーザ会の代表幹事、大橋克洋先生。サンのワークステーションを個人で購入し、高層階まで宅内LANを引き回した初めての傑物らしく、それを聞きつけたアスキーの西さんが面白がって大橋先生の自宅まで取材にきたとか。

そこで一言、

「いやー、ベンツの代わりにワークステーションを買っちゃってねー。」

ステキすぎます。(感涙)

また、大橋先生は現MML ver3.0のCDA (Clinical Document Architecture) 準拠が複雑性を助長しており、普及の妨げになっているという指摘をされました。僭越ながら小生もいくつかの業界でXML関連の標準化に携わってきた経験から申し上げると、仕様を高機能で網羅的なものにするのはとても簡単なのですが、「Keep It Simple」ということを言い出し、複雑さに「No」をつきつけるのには、ひとまわり大きな経験と「勇気」が必要なものです。こういう忌憚のない意見が交わされ、とても健全な議論が行われていることに、またしても感銘を受けました。だって、これってビジネスパーソンとしてのセンスもあるということなのですから。

さて、弊社CTOの北原がキヤノン時代にNeXTの日本語化をやっていたと知るや、サイバーラボのR&Dヘッドの阿部さんも交えて、上記の豪華メンバーでNeXTテッキートークが尽きなかったのも当然のことでしょう。私は横で指をくわえて話を聞いているしかありませんでしたが。

他にもスゴい人々、面白い人々が沢山いらっしゃいましたが、ご紹介しきれません。日本にはグレイヘアー・プログラマーがいないなどと言ったのは誰だったか、とにかく、スゴい人はいるところにはいるものです。市場だの経済だのマクロばかり追ってると、こういう在野の素晴らしい出会いを逃してしまうのかも知れませんね。

そういえば、あの伝説のゲーム作家、芸夢狂人さんも医師でした。20数年前というのは、そういう時代だったということなのでしょうか。

こんなにも元気でやんちゃな50代をみていると、自分のこれからの30年も生き方次第でこんなにも楽しいものになるのか、という、前途に希望がドーンと広がっていくようなワクワク感が湧き起こってきました。

そして、都会に住んでいることを当たり前のように考えてしまう、鈍り失われつつあった感性を、少しだけ修復できたような気がしました。

■MedXMLの発展を祈りつつ

さて、こんなすごい方々の話を聞いたあとでは普通の話をするわけにはいきません。今回プレゼンしか見せ場のない私は、20分の持ち時間でできる限りインパクトを与えられるようにしようと、二日目の当日になってプレゼンの全面書き直しを決断。「つかみ」で大きく勝負に出ました。結果は・・・ご想像にお任せします。

今回はMedXMLコンソーシアムやMML/CLAIMの実装状況について着々と進展があることを知ったのも収穫でしたが、それをはるかに上回るモノを得ることができた濃密な数日間でした。

他にも地域医療連携システムがソーシャルネットワーキングのような「医者の自己紹介システム」と統合されている事例が紹介されたり、米国HL7の最新動向なども含めて注目に値するトピックはたくさんあったのですが、個別の内容についてはまた機会があれば取り上げたいと思います。

今回はこんなところで。

関係者のみなさま、ありがとうございました&お疲れ様でした!

Lee Ritenour / Inner City Blues (杏里さんオメデトウ!)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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