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CNET Japan ブログ

ゴールデンウィーク期間中の主な記事にコメント

2005/05/07 15:54
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そういえばこれまで、いわゆるブログ的なというか、ニュースへのコメント的なエントリってあまりしてきませんでした。

その理由のひとつには単に(私にとって)面白いと感じられるネタがIT業界内に少なくなってきたという悲しい現実もあるのですが、それでも私が普段ニュースを見ながらどのようなことを考えているかを伝えてみるのも意味があるかも知れないと思い、あるいはもしかしたら「業界擦れっ枯らし」になって鈍ってしまった私の感性こそが問題なのかも知れないと思い、試しに5月6日に更新されたCNET Japanの全ヘッドライン記事に強制的にコメントしてみることにします。


■マイクロソフトの「Metro」はPDFキラーになるか

PDFはもはやオーバースペック気味なので、Metroの使い勝手がシンプルで、かつLonghornへのアップグレードが順当に進めば、Metroは一定のポジションを獲得する可能性は高いでしょう。

しかし、驚くような急展開のニオイはまったくありません。

これはマイクロソフト以外には可能でない戦略であり、「キャズム」のジェフリー・ムーアがいうところの"Marginalizing layers not entered"という「ゴリラ(強者)戦略」であって、イノベーション見地からの面白みはないからです。

優秀な技術者を多く抱えているがイノベーションに閉塞感が漂い、手当たり次第に攻撃を始めたマイクロソフトですが、骨太なストーリーのない技術は、いかに素材がすばらしくても調理が不味ければ食えない料理と同じで、ユーザの満足を得られません。

本田雅一の「週刊モバイル通信」:新フォーマット“Metro”は、PDF対抗技術か

一方、アドビは割とコンスタントに要領がよく、ITバブルもおかまいなしに金満経営でやってきました。紙世代のパブリッシングに焦点を合わせてきた製品群、これら金の成る木が熟しきった頃にマクロメディアを買ったりと、地味だが実にタイミングよく波を乗りこなしてきています。

まぁ、理解され広く使われるようになるまでに10年以上をかけてきてたPDFブランドが数年やそこらでは失われることはない、ということです。


■インターネットの最高速度で新記録--3万キロで7.21Gビット/秒

民生用のハードウェアを使うInternet2のテストで最高速度記録を更新したという話。

「日本の研究チームがインターネット速度記録を更新」−記録を大幅に更新−

7.21Gビット/秒といえば10ギガビットイーサ単体の上限値に極めて接近している。そして、ここへきてPCI-Xバスの限界というハードリミットにも到達しつつあると。標準インターフェース規格を超える性能を要求されるようになれば、高利益率の専用デバイス市場が新規に開けてきます。あくまで理論上は。

ただ、スループットを決定する最終要素は人間の情報処理能力であって、一人あたり10Mbps(MPEG2のビットレート相当)以上のストリームは今のところほとんど意味をなしません。従ってそれを超える帯域需要は、主としてWebサービスやRSSなどの「マシンtoマシン」のトラフィックによって作り出されることになるはずです。あくまで理論上は。

と、ちょっとニヒルな言い方になってしまいましたが、それにしても「帯域不足がボトルネックで、構想したビジネスが実現できない」という言い訳を聞かなくなってすでに久しいですから、ファイル共有をするなと言われても他に魅力的なアプリケーションがないので仕方がありません。さてさて。

RIAA、Internet2をファイル交換に利用した学生405人を提訴

もはやトップスピードの性能で勝負する時代は終わっていて、より省エネで稼働するとか、より省スペース・軽量なデバイスで稼働するとか、無線化するとか、そういったルール自体を変えていく方向性でのイノベーションが新たな可能性を切り開くキーになってくるはずです。


■ヤフー、音楽検索エンジンを開発中--数カ月以内に発表へ

検索は、基礎的なテクノロジーの観点からはもはや何も進歩していません。今起きているのはデータのブレークスルーであって、データの囲い込みです。CDDBアマゾンの書評、wikipediaはてなの各種サービスのように、いま興隆しているサービスのほとんどが、コミュニティによる自発的なデータエントリを促す互酬性のフレーバーを取り入れています。

ところで、もはや今では「欲しい情報が早く高精度に手に入る」という検索ユートピア思想のゴールそのものが批判の対象となっていることは知っておいてよいでしょう。100%マッチングレートの検索というのは自動化であって発見ではないのです。業務屋の発想です。

キャス・サンスティーンが言ったのは、「民主制度は、広範な共通体験と多様な話題や考え方への思いがけない接触を必要とする。」ということでした。前もって見たいもの、見たくないものを決めるシステムは民主主義を危うくする。考え方や嗜好の似たもの同士が隔離された場所で交流しているだけでは、社会分裂が起こりやすくなる。というわけです。

それでも、出会いサイトでついつい「身長180cm以上、年収1000万円以上、30〜40歳」なんて条件つきでフィルタリングしてしまうのが人情です。思いがけない出会いがありうることが頭ではわかっていても、「同じ手間暇をかけるなら、より条件のいい方が」の誘惑にはなかなか勝てない。本当に「欲しい情報が早く高精度に手に入る」のがいいことかどうか、「今の自分が欲しいモノが将来の自分にとっても欲しいモノだろうか」と立ち止まって迷い始めたら一歩前進というワケでしょう。

このように考えてくると、コミュニティーベースのデータサービスでは中央集権的に一部の人間がデータの管理を担うのでは得られない「思いがけなさ」がたびたび挿入される、という意味で、味気ない検索技術の閉塞感を突破する長期トレンドであるといってよいでしょう。

と、そういえばまったくヤフーの音楽検索の話をしてませんが(笑)、音楽の属性データはあるていど集中管理に向いた面もあるので、何のことはない普通のデータベースサービスなのでしょう。ただし、ジャンル分類のように議論百出するところに関しては(例えばGreenDayはメロコアなのかパンクなのか、とか)コミュニティの力を借りた方がよいのは間違いないのですが、そういうサービス設計が行われるような記述はありませんでした。というかCDDBのジャンルデータがあまりに使えないので誰か面白いことをやってみませんか?


■グーグル、ウェブアクセス高速化ツール「Web Accelerator」を公開

まぁようするにプロキシ(代理キャッシュ)サービスなわけです。かつてAkamai株で損した私のような人間がバイアスがかった意見を述べてもよければ。。。

もともとWebのアーキテクチャでは、ヘッダで更新状況のみを取得してから実体データをダウンロードするというお作法が織り込まれていました。

しかし、そんな面倒なことは誰もやりたくないし、とか思っているうちに帯域幅も満足なものになってきたので、やっぱり毎回全力でロード、となし崩し的に現在に至るわけです。

そんな中、グーグルは例によって後発の利を最大限に活かし、グーグルキャッシュでのノウハウも活かし、差分管理サービスに乗り出してきたわけです。

この手のサービスが有効なのは、人間が手でポチポチとアクセスするブラウザベースの世界よりも、暴走したら怖いマシンエージェントが定期的にポーリングするRSSの世界の方が有効ではないかと考えられます。

Windchase : Microsoft blogの事件にみる,RSSのスケーラビリティの問題

いずれにせよ、あまり資産効率のいいサービスではなさそうです。


■BluetoothとUWB、互換性実現へ--関係者が共同の取り組みを発表

こういう記事って、規格の政治紛争だけを取り上げたワイドショー記事なので、もともと関心の薄い人にはおもしろさが全く伝わらないものです。

でも、無線関係のテクノロジーはとても熱いです。とくに「ZigBee」は、詳細はさておき、「単三乾電池2本で数年ほど駆動できる無線ノードになれる」という一言で、その可能性がわかる人にはわかると思います。大きな設備投資が必要なわけではなく、斬新なアイデアとニッチ戦が道を切り開く分野なのに、「ZigBee」ベンチャーが立ち上がった、という話を耳にしないのが不思議です。

ITmediaエンタープライズ:近距離無線の新規格「ZigBee」の可能性

ともあれ、RFIDからUWBまで、無線技術は百花繚乱の様相を呈しています。

いずれロボット技術などにもコンポーネントとして取り込まれていくベース技術なので、こういうのを押さえられないと、日本製のクールなロボットにまた "Intel Inside" みたいなステッカーを貼ることになっちゃいますよ。


■米軍の機密情報、「コピーアンドペースト」操作で流出

よくWebでも、文字を背景色と同じ色にして見えなくしておいて、マウスで範囲選択して反転させると文字が浮かび上がるような仕掛けをすることがありますが(例えばこんな感じ→白い背景に白い文字で書いています。←マウスで選択してみてください)、それと同じことをやってデータを見えなくできたと思いこんでしまったようです。

以前にもSCO事件のときに似たような話がありました。警告文書をしたためたWordファイルの履歴に他社の名前が入っていて(つまり同じ文書を使い回していたということ)、どこにどういう警告文書を出したかがバレたというものでした。

セキュリティの問題は往々にしてリテラシーの格差によって生じます。どんなに他から見て危なっかしい使い方でも、リテラシーが同程度に閉じた範囲でのデータ流通ならセキュリティが問題にはなりません。そういう意味で、インターネットにデータを出すということには相当のハードルがあります。

が、今回の事件は漏洩の実害もたかが知れてますし、トップシークレットのデータには多重チェックが入りますから、効率性とセキュリティのトレードオフにおいて想定の範囲内のトラブルであったように思います。


いかがでしたでしょうか。

では、今回はこんなところで。

♪ The Brand New Heavies / Dream On Dreamer

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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