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あなたと会社の恋物語

2004/12/05 23:58
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ご機嫌ななめな風神が降臨したひと夜ののちにやってきた、季節はずれの柔らかな陽気。

人通りは何処も彼処もイルミネーションで彩られ、見渡せばそこにある顔はピーカン、木枯らし、陽だまり、五月雨。ワケもなく切ない気持ちになる、出会いと別れの季節。

会社員が自分の勤める会社に、あるいは会社が社員に対して抱く感情の複雑さは、ある人が自分の恋人に抱くそれと同じくらい、機微に満ちたもの。

古くからの同僚が続けて去る今日この頃、そんな切ない気持ちはひとしお。


私が前の勤務先である日本オラクルを辞職しようとしていた5年前の今頃、六本木ヴェルファーレを借り切って行われたXmasパーティで、佐野社長(当時)にこんなことを言われました。

「こちらの女性はお前の彼女か?」

「はい。京都にいた学生時代からずっと付き合ってて、東京にも一緒に出てきたんです。」

「おい江島、お前は会社にはあっさり見切りをつけようというのに、女には一途なんだな。」

そしてあの底抜けに明るい満面の笑み。もう退職についての話し合いには決着がついた後のことでした。

そのときには、ただのジョークかアナロジーの類だろうと思って苦笑い。野心に燃え、自分の手にある未来を確信していたその若者は、仕事とプライベートは完全に区別して頭を切り換えるべきものだと信じ、キャリアというものは精神世界とは別物なのだと思っていました。

あれから数年が過ぎた今、しみじみ思うのは、仕事観と恋愛観をひもづけて問うた、あの一言の重み。


家族や友人に引き合わせて恥ずかしくないだとか、客観的なブランド仕様を重視するあまり、その人と一緒に過ごす時間の質を犠牲にしたり、気持ちをひとつにすることの大切さを割り切ってしまう人たち。

落ち着くことを知らないダメ男に振り回されながら、友人には「もう別れようと思ってるのよ」とこぼしつつ、いつまでも尽くし続ける女たち。

ずっと放ったらかしにされて寂しい思いをして、気持ちが離れてしまっていることに気付かずに、別れを切り出されてあわてて引き留めようとする未練がましい男たち。

誰もが羨む憧れのあの人と結ばれてみれば、その日常はひたすら幻滅の連続、第一印象からのマイナスが目立つあまり、新しい内面的なプラスを発見する努力を忘れてしまった人たち。

恋人に満点は望めないことを知りすぎるあまり、妥協につぐ妥協で根本的な相性の良し悪しを判断するすべを見失い、日常的に高いストレスを抱える道を選んでしまった人たち。

自分のことをわかってくれない相手に愛想を尽かし、「新しい恋人なら今よりもっといい関係になるに違いない」と信じ、自分が変わる可能性など思いもよらず、相手だけを変え続けていつまでも満たされぬ人たち。


自分にピッタリの会社がなかなかない?いい出会いがない?そんなことを言ってるうちは、そんなの当たり前。

いい出会いは突然に天から降ってくることもあるけれど、ほとんどは目の前にあるチャンスを無意識のうちに諦めていたり、変化を求めて行動を起こす勇気が足りないだけ。

そしてチャンスを活かせるかどうか、それをチャンスだと見抜けるかどうかは、いま目の前にある日々をどうポジティブに過ごすかにかかってる。

周りが何もかもダメなものに見えるとき、まずは自分の色眼鏡を疑ってみよう。ひとたびポジティブな視線で見渡せば、今まで盲目に過ごしてきた日常が、いかにチャンスに満ちあふれていたかということに気付くでしょう。

今の相手と過ごす時間がどんなにマンネリに思えても、毎日欠かさず愛の言葉を唱えていますか。おはようのキスをしていますか。ありきたりの儀式にほんの一滴の気持ちを込めるだけで、どれだけの魔法がかけられるか想像を巡らせたことはありますか。コミュニケーションの大切さ、笑顔の大切さをどれほど理解していますか。

どんな相手と付き合っていくにせよ、理解しあう努力なくしては続かない。自分が変わる覚悟なくしては求めるものは得られない。

自分が期待する幸せに合わせて相手や環境を変えようともがくのではなく、今そこにある幸せを感じられるよう自分を変えていく。

それでも別れの時はやってくる。あなたの選択かも知れないし、相手の選択かも知れない。哀しいけれど自然消滅というのもある。そんなときにとる態度には、あなたの生きざまが試されることでしょう。

内心は嵐が吹き荒れているのに、相手を責める気持ちに苦しんでいるのに、「いつか自分たちが成長して変われたら、また再会できるかも知れないね」なんて、ちょっぴり強がって背伸びをしてみたこともあった。そんなセリフが心の底から言えるようになったなら、ひとつ大人の階段を上れたってことなのかも。

ひとつ、またひとつ。いい出会いといい別れ、あるいは努力を伴うカンケイの持続によって、あなたはイイ男あるいはイイ女に近づいていくことでしょう。


さて、あなたは上記に登場する「相手」を、「会社」と「恋人」のいずれのコンテキストで読んだのでしょうか。

生きるということの質を考えるとき、絆と孤独のあいだで湧き立つ喜怒哀楽の豊かさを、もっと大らかに自由なマインドで見つめれば、仕事であるとかプライベートであるとかに囚われない、より普遍的な価値観へ到達するためのヒントが見えてくるのかも知れません。

Faye Wong / Eyes On Me

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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