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需要サイドへシフトするITエンジニアの雇用

2004/09/02 11:43
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村山さんのゲストブログが面白い。

ベンダーサイドだけがITのキャリアではない

ここで論じられる村山さんの主張の基本的な流れとしては、ITエンジニアのキャリアパスとして供給サイドと需要サイドで考えた場合、需要サイドへのシフトが起きているのではないかというもの。

私もかつて「Interlude」というエントリの中でも同様の主張をしたし、この中で引用した梅田さんの以下の論考も、今もって非常に貴重なものであると思う。

雇用なき景気回復とITエンジニアの雇用をめぐる大転換

問題の次元が人間に近づけば近づくほど、技術的に解ける問題というのはどんどん少なくなっていく。あっちをフタしたら次はこっちを修理し、という風に、進化論的な傷だらけの解決策、言い換えれば技術者にとっては決してエレガントではない奇妙なフランケンシュタインになっていく。(現存する「手に馴染んだ実用的なソフトウェア」を思い浮かべてみるといい。OS、ブラウザ、ワープロ、スプレッドシート、etc...)

「ソフトウェアの価値はビルドされた実体にあるのではなく、メンテナンスのプロセスによって生まれるものである」とは誰の言葉だったか、これに付け加えるならば「メンテナンスしていないけれども使われているソフトウェアは、もはやインフラである。メンテナンスの継続が価値を生むソフトウェアはアプリケーションである」ということも言えよう。

反復型開発やプロトタイピングというアプリケーション開発の方法論は、このようなアクション&フィードバックの学習回路のようなコミュニケーションスタイルを論じるモデルであると言える。反復型開発のようなパラダイムに対する私の解釈は、こういったアプローチは今も昔も無意識に行われてきていたはずである、ということである。

従来は、システムの開発期間が十分長くあったため、ウォーターフォールのような方法論がガントチャートなどによって可視化され管理性を向上する成功体験を生んできた。しかしそのようなケースでも、水面下ではじっくりと需要サイドと供給サイドの間でコミュニケーションが蓄積されていたはずである。もっとありていに言えば、付き合いが長くなれば仲良くもなり、ツーといえばカーというような関係になれる、ということでもある。

ところが、開発期間がどんどん短くなるにつれ、失敗談が山のように積み上がり、その原因を分析する過程でこのようなコミュニケーションの重要性がクローズアップされ、この種のコミュニケーションをより意識的に行わなくてはいけなくなった、ということなのであろう。例えば、需要サイドと供給サイドが1ヶ月やそこらの短期間で友達になれなくてはいけない。そうやってどんどん期間が短くなっていくうちに、どこかで人間関係の成熟プロセスの限界がひょっこり顔を出す、という次第である。

このような限界は経験的には理解されており、よって供給サイドとしては一見さんからの短納期の仕事はお断りする。と、そういう構図なのではないか。

この点を逆手にとると、システム開発に求められるスピードへの要求が高まれば高まるほど、需要サイドにプロパーのエンジニアを抱えることが有利に働く、ということである。

先ほどの村山さんの文章に

ユーザーサイドで「ITの使い方を考える」仕事というのも選択肢として十分魅力的かつ、情熱の持てるものではないだろうか

とあるように、ITの実体がユーザーにも理解されるようになるにつれ、ユーザーサイドには様々な「ITの使い方」のアイデアが湧き出し始めている。それをフィルタリングして良質なRFPを書こうという一発狙いではなく、とっとと作っては試し、作っては試しで小さいタマをたくさん撃ち、進化論的に育てていく方がいいのではないか、という筋書きである。

反復型開発の世界で認められているような「密なコミュニケーション」の価値は、「大きな境界」の外(例えば違う国、違う会社、違う派閥)にいたのでは維持することが難しい。また、期間が短くなればなるほど突発的なリスクに対処するバッファがなくなる。だからこそインハウス、すなわち需要サイドに所属することが暗黙的なコミュニケーションの価値を説明するコストを極小化してくれ、突発的なリスクに対しても柔軟な対応ができるのではないか(例えば、「妥協する」や「諦める」という判断は供給サイドではできない)、という仮説である。

繰り返す。短納期化のトレンドが続く限り、需要サイドに所属するITエンジニアの価値が高まっていく。そして私の本業は、そんな彼らに使ってもらえるツールを提供していくことであるから、この長期トレンドが信ずるに足るものであるかどうかは死活問題である。今後も引き続きウォッチしていきたい。

Extreme / He Man Woman Hater

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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