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エンタープライズシステムで採用されるハードウェアの意外な真実

2003/10/16 23:25
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さて、記念すべき公開第一号エントリは、市場情報といこう。
企業システムで採用されるサーバ系ハードウェアの市場調査データである。

普段からインターネットテクノロジーにどっぷりで最先端を自負していたり、LinuxのカーネルをハックしているようなGeekたちにこそ、これらのデータに一度はじっくり目を通して欲しい。世間ですでに滅んだかのように言われているレガシーシステムというやつが、どれほど世の中にはのさばっているか。自分の感覚とのギャップの大きさに驚いてもらえたなら、今回の私の狙いはとりあえず成功。今後、このBlogで扱っていくテーマの大きな素材であり伏線であると予感してもらえるだろうから。

ちょっと古いが、電子情報技術産業協会(JEITA)が2003年5月22日に発表した統計データから。

平成14年度メインフレーム・ミッドレンジ・ワークステーション出荷実績

上記データに関するより詳細な分析資料

概要としては、2002年度(2002年4月〜2003年3月)のメインフレーム/ミッドレンジ/ワークステーションの国内出荷実績は、特に大型投資が控え目だったことの影響で全ての分野で金額・台数が前年実績を割り込んでいる。しかし、これらの中で比較的堅調だったのがより低価格クラスのものであった。なお、ワークステーションは今となってはニッチ分野であるため、この文脈では取り上げない。

メインフレームの概況

メインフレームの平成14年度国内出荷は、金額で3,702億円(前年度比78%)、台数で1,305台(同83%)となっている。半期別にみると、下半期の方が金額・台数ともに冷え込んでいるのがわかる。また、価格帯別にみると、大型クラス(2億5千万円以上)では金額で2,593億円(前年度比76%)、台数で357台(同75%)、中型クラス(4千万円以上2億5千万円未満)では金額で1,043億円(同85%)、台数で741台(同86%)、小型クラス(4千万円未満)では金額で65億円(同69%)、台数で207台(同90%)となっている。

ミッドレンジの概況

ミッドレンジコンピュータの平成14年度の出荷状況は、金額で6,192億円(前年度比86%)、台数で185,037台(同97%)となっている。また、UNIX系サーバおよびNOSサーバ、いわゆるオープンシステムのサーバ合計では金額で5,460億円(前年度比88%)、台数で178,760台(同98%)となっている。

ミッドレンジの金額クラス別出荷状況

出荷状況を金額クラス別に見ると、100万円未満では金額で1,318億円(前年度比108%)、台数で135,010台(同115%)。100万円〜300万円未満では金額で734億円(同67%)、台数で17,799台(同48%)。300万円〜1,000万円未満では金額で1,643億円(同99%)、台数で25,003台(同92%)。1,000万円〜4,000万円未満では金額で1,273億円(同74%)、台数で6,104台(同88%)。4,000万円以上では金額で1,225億円(同83%)、台数で1,121台(同64%)となっている。

ミッドレンジのOS別サーバ機の出荷状況

出荷状況をOS別にみるとUNIX系サーバは、金額で4,002億円(前年度比87%)、台数で58,610台(同96%)。NOSサーバ(WindowsやNetwareなどのPCサーバ)は、金額で1,457億円(同91%)、台数で120,150台(同98%)。独自OSサーバ(OS/400やACOSなどのメーカー独自OSを用いる汎用機など)は、金額で706億円(同74%)、台数で4,339台(同72%)。OS別に構成比を金額ベースでみるとUNIX系サーバが全体の65%、NOSサーバが24%、独自OSサーバが11%となっている。

また、UNIX系サーバおよびNOSサ−バを価格帯別にみると次のようになっている。

(1) UNIX系サーバ
UNIX系サーバの100万円未満は金額で150億円(前年度比144%)、台数で22,255台(同216%)。100〜300万円未満は金額で375億円(同67%)、台数で7,962台(同39%)。300万円〜1,000万円未満では金額で1,399億円(同111%)、台数で22,381台(同97%)。1,000万円〜4,000万円未満では金額で1,070億円(同74%)、台数で5,138台(同89%)。4,000万円以上では金額で1,008億円(同83%)、台数で874台(同69%)となっている。

(2) NOSサーバ
100万円未満では、1,168億円(同105%)、台数で112,755台(同105%)。100〜300万円未満では金額で208億円(同59%)、台数で6,436台(同51%)。300万円〜1,000万円未満では金額で56億円(同53%)、台数で837台(同50%)。1,000万円〜4,000万円未満では金額で25億円(同85%)、台数で122台(同59%)。なお、平成14年度からパーソナルコンピュータ統計に含まれる「サーバ」と、ミッドレンジコンピュータの統計に含まれている「NOSサーバ」を、「IAサーバ」として出荷統計調査を開始しているが、これによるとIAサーバの平成14年度国内出荷は台数で281,420台(前年度比94%)、システム金額で2,700億円(同88%)となっている。

感覚とのギャップ

さて、すでにお腹一杯という状況だと思うが、これらのデータとの睨めっこを通してどういう感想を持っただろうか。

驚いたことに、売上金額ベースで比較すれば平成14年度のビジネスとしては、メインフレームは3,702億円、UNIXサーバは4,002億円、IAサーバで2,700億円なのだ。メインフレームの売上がWindowsサーバとLinuxサーバを足した金額よりも大きいって本当?このカラクリはどこから来るのだろうか?

それは、人間の感覚は普及率・台数のような物理的で目に見えるファクターには強く反応するが、暗黙の決定プロセスを持つ価格という属性的なファクターには鈍い、ということに他ならない。

判りやすく説明しよう。台数ベースで比較すれば、メインフレームは1,305台、UNIXサーバは58,610台、IAサーバは281,420台なのである。どうだろう、こちらの数字こそが我々の「実感値」ではないだろうか?(なお、平均単価を計算すれば、メインフレームは2億8千万円、UNIXサーバは680万円、IAサーバは96万円となる)

つまり、メインフレームの導入プロジェクト(といってもほとんどがリプレース需要だろう)は、年間高々1000件程度しかなかったのだ。それに関わるエンジニアの絶対数が少ないのは当たり前のように思われる。ところが一方、メインフレーム導入プロジェクトの方が平均して規模は大きい。そのことは、実は金額から読み取れる。成熟市場では無意味なハイ・マージンは許されない。つまり、導入単価の高さはシステム規模の大きさを意味している。従って、結論としては「メインフレームに関わるプロジェクトの数は少ないが、関与しているエンジニアの数は相当数いる」ということになるのだ。

世はJavaや.NETの時代だというのに、いつまで経ってもCOBOLのプログラムやシーケンシャルファイルがなくならないのは、こうした強力なマーケットの下支えがあるからだということが理解してもらえただろうか。

以後、このデータは何度も振り返ることになると思うので、是非消化しておいていただきたい。
今日のところはこれまで。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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