私はパソコンの講師だが、
もともとは文学部出身という変わった経歴である。
それゆえか、初心者でWebプロラマー、もしくはWebデザイナーを目指す方には、
「片岡先生は初心者の目線で、噛み砕いてくれるので説明がわかりやすい」
と言っていただけることが多い。
しかし、それは私は表面的なITのことしか知らないので、
自分なりに解釈したイメージのようなもので
説明しているというもろばの剣であることも分かっている。
Javaを教えるときも、
変数の値が入っている番地などを
いきなりメモリのアドレスで説明すると生徒さんの大部分は混乱するので、
図説でクラスのコピーの絵を描いて説明したり、と
初心者でもイメージしやすく、大きな違いではないくらいの解説をすると、
生徒さんにもよろこばれるし、就職にも結び付きやすい。
C言語をやっていたような方には、
メモリとかポインターと説明したほうが喜ぶし、
そちらのほうが正しい説明だと思うのだが、
「私の仕事は、Webプログラマー、Webデザイナーを
短期間で養成して就職させること」であり、
学者を養成したいわけではないので、
厳密に正しい説明ならばよしとはかんがえていないところがある。
そこらへんは批判の対象になりそうなところだと自分でも思う。
経験者で正しい知識を知っている方には、
「初心者の方が理解できるような説明をするので、
厳密には正しくない説明なんだけど、目をつぶってね」とお願いすると、
生徒さん達は空気を読んでいい意味でスルーしてくれる。
厳密に正しい説明でないといやな生徒さんもいるので、
そういう方には個別で厳密な説明をしたりする。
また、厳密な説明ができる人には、
「あなたはちゃんと理解できているので、今度はワンランクアップを目指して、
初心者の方がわかるような説明で、みなさんに教えてあげてくださいね」
というと、話すのに慣れていないできのいい理系男子・女子たちは、
どうやれば正しくてわかりやすい説明になるのか、
頭をフル回転させてくれる。
そうなれば、教えようとする子も、説明を聞いた子も、
お互いに理解し合おうとがんばるし、
コミュニケーション&Javaの勉強になるので、
こちらとしては一石二鳥である。
IT業界の方はエンジニアとしてのスキル は高いのに、
説明したり、お客様とのコミュニケーションをとったり、
交渉がいまいちだったりするので、
生徒のうちからコミュニケーションスキルが高まるように
講師としてはいろいろと日々種まきをするわけだ。
というわけで、お互いに生徒同士で考えさせて説明し合わせたりするわけだが、
初心者の方はイメージしやすい形で説明しないと混乱しやすい。
なので、初心者向けに説明しうようとすると、
ちゃんと理系で高専や専門学校や大学で
情報処理をやっていた方から見れば、
うそつきな説明の場合もありうるだろう。
そこが難しいところである。
ただ、初心者の方に理系の方々が習うような難しいコンピューターの原理を教えると、
拒否反応が出て、挫折してしまうので、難しいところである。
私が大した技術力もないのに、
私がパソコン講師としては意外に生徒さんに喜ばれるのは、
「初心者の人が理解しやすいような、
イメージしやすい説明を簡単な言葉だけでするから」
ではないか?と自分で推測している。
はっきりいって私より知識も技術もすごい人は世の中にたくさんいるのだが、
意外にも、「名選手がかならずしも名監督になるとは限らない」の例に漏れず、
優秀なエンジニアほど、「他人への説明がうまくない」と感じることがおおい。
もちろん、優秀なエンジニアの方の一部には、
説明も教え方もうまくて、技術力も高い方が多いのだが、
普通に優秀な人はあまり説明・教育がうまくなかったりする。
「なぜなんだろう???」 と思い、
そのような方々と話をしてみると、
自分を基準に話し・説明をしていて、
相手のレベル・目線に合わせた説明をされない方が結構いた。
「エンジニアは、他人に教えてもらわなくても、
自分で学べるような人じゃないとつぶれちゃうから、
あえて部下や後輩には教えない」
と堂々とおっしゃった管理職の方もいたが、
その方の部下などからは上司批判を結構きいた。
なので、「あえておしえない」 というスタンスを取るならば、
それを部下に納得させるだけの説明をしないといけないのでは・・・、
と感じたことがあった。
また「あえて教えない」のであれば、
自学自習するための方法くらいは上司として伝える必要があるのではないか?
と私は感じてしまう。
「何の道具も渡さずに、無人島で生活しろ」 というくらい無茶ぶりなのではないかと
私は思うのだ。
まあ、エンジニアとして一流になるならば、
自学自習できるくらいの人材でなければ大成はできないんだろうと思うのだが、
(ついでにストレス耐性も)
まったく野放しで天才になれる人がどれだけいるのか、
はなはな疑問だったりする。
というわけで、私見ではエンジニアに対する教育はもっと真剣に取り組まれてもいいはずなのだが、
3ヶ月くらい新人研修で詰め込んだ後は、
OJTという名のもとに、現場で見て覚えろと放り出されるのが多い気がする。
見て覚えるだけでは限界があるのだから、
部下の資質が伸びるような仕事の振り方、アドバイスが必要だと思うのだが、
まわりのエンジニアの話を聞いている限りだと、
なかなかそうもいっていないように感じられる。
私の周りの人がたまたまそうなっているだけなのかもしれないけど、
よい人材を育てて、世界のIT立国を取り戻すには、
もっと教育に力を入れてほしいと思う今日この頃。
なのに、パソコンインストラクターの時給は驚くほど安いし、
パソコンの講習会もパソコン教室も月謝が高いし、
なんなんだろうね。この落差は。
最近はエンジニアの勉強会は盛んだから、
IT勉強会にじゃんじゃん参加して、
お金をかけずに自学自習のコツをまなぶのがいいのかしら?
パソコンインストラクターとして、
現在のIT教育は知識を詰め込む傾向があるのが不満なのだが、
せっかくIT教育をするなら、ロジカルシンキングのトレーニングや
プレゼンを含むコミュニケーショントレーニングにもっと力を入れてほしいものだ。
以上、パソコンインストラクターの私見でした。
追記
私が好きなリューズというメールマガジンで、
大変良いと思う名言を発見したので、
以下に引用します。
◇『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子著/理論社刊
の言葉なのですが、西原さんのこういうものの考え方は、
エンジニアとして働く上でも参考になりそうな予感です。
「最下位の人間には、最下位の戦い方がある!」など、
目標設定の仕方はかなり重要な気がしました。
‥‥‥………━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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● Make a move !
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● デイリー・マガジン【Ryuzu:リューズ】。
●
●
● [Ryuzu vol.3649 6/29/2009]
● ● http://ryuzu.net
●●
━━━━━━━━━━━━…‥ ワタシの戦い方 ‥…━━━━━━━━━━━━
◇『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子著/理論社刊より
- Today's Phrases / 07007 ------------------------------
そもそも、わたしの目標は「トップになること」じゃないし、
そんなものハナからなれるわけがない。じゃあ、これだけは
譲れない、いちばん大切な目標は何か。「この東京で、絵を
描いて食べていくこと」。だとしたら肝心なのは、トップと
自分の順位をくらべて卑屈になることじゃない。最下位な
わたしの絵でも、使ってくれるところを探さなくっちゃ。
最下位の人間には、最下位の戦い方がある!
― 西原理恵子 ―
-- Today's Phrases / 07008 ------------------------------
結局、わたしが予備校時代のまる一年をかけて学んだのは、
自分の絵がどうダメなのか、うまい人と、どこがどうちがうのか
ということを、冷静に判断できる力をつけたことだった。
絵の技術はおせじにも上達したとは言えなかったけど、自分の
絵を客観的に見る力を養えたことは、そこから道を切り開く
ために、すごく大きなことだったと思う。 ― 西原理恵子 ―
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
片岡麻実 on 2009/07/12
「難しいことがらを難しい言葉で伝えることは、実はそんなに難しいことじゃない。ホントに難しいのは、難しいことがらを、易しい言葉で伝えること。」
私はそう思います。
確かにエンジニアには、特にプログラマーには、職人肌っぽい部分もあり、「俺の背中見て憶えろ!」という名ばかりOJTもあるでしょう。私はIT系が本職ではありませんが、いろいろ業務上関わったことなどもあります。これじゃ、なかなか若くて意欲のある人も萎えてしまうな、と思ったこともあります。もっと教育は大事なことだと思います。
とかいう私も、もともと文科系の大学出身で、IT関係は大半が独学だったりします。そのせいか自分は厳密な理解ができていない(そういうものだと憶えこんでいた)と痛感することも多々ありますが、低レベルには、低レベルのやり方がある!には筆者の意見に妙に共感しました。長文失礼します。
yanaka2009 on 2009/07/07
人にわかりやすくかみ砕いて教えたり、本やナレッジとしてアウトプットに出す技術は別の技術、習慣だと思います。
<商品企画の人がパワポでまとめて部長とかお客とかに説明する技術
とかに近いかも
そうする事により、自分の中の曖昧な知識が整理されたりするのですが、底まで面倒くさがってやらない人が多く感じます。
結局自分の為になるのですけどね。
OJTに関しては、ろくに教えないのに
「Aさんに仕事を与える事によって、勉強させて遣ってる」
とか考える上の人が多いので無理でしょうね。
「やる気があるなら、給料安くても高いスーツ化って身だしなみを整えるし、高い技術書も自腹で買うだろうし、自腹で資格も取るはずだ。会社の固定資産じゃないからね」
って論理。
人材とか言う言葉ありますが
「どっかで育ってきた単価安い人いないかな OR
コネで高い仕事取ってくる人いないかな」
って安易に考えてる雇用する側もおおいからでしょうね。
仕事を新規に創りだせるとかいう視点ではなく。
きむこう on 2009/07/03
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きむこうさま、yanaka2009さま
先日はコメントをありがとうございました。
お礼と、お返事が遅れてしまってすみません。
日頃、人材教育をしていて思うのですが、
ろくに自分で学ぶ独習の仕方を指導しないのに、
部下のせいにしていたり、
賃金の単価を切り詰めて安い給料で
ろくな教育もせずに、会社の生産性を下げているような
会社が多いんではないかな・・・と
疑問と不安感を抱いていたので、
上記のような日記を書きました。
ただいま不況なので、
教育はコストカットの対象になりやすいですが、
こういう時こそ教育に力を入れて、
より会社にとって利益・売上が上がるような
人材とシステム・仕組みを作ったほうがいいと思うのですが、
私のような考え方のほうがマイノリティーらしく、
残念な限りです。
教育って大事だと思うんですけどねえ・・・。
まあ、私は西原さんの「最下位には最下位なりの戦い方がある」をモットーに人生を納得した生き方で働いて生きていきたいです。
なんだか独り言めいてすみません。
それでは。(^^)