先週の土曜日、モデリングパターンの分析設計手法を学ぶ機会があり、渡辺幸三さんにお会いしました。参加する前は、「参考程度に聞いておくか…」と思っていましたが、実際に講演を聞いてみると目からウロコでした。渡辺さんは業務システムを専門とされているプログラマで、実践的な設計手法である「三要素分析法」の提唱者です。その手法に基づくモデリングツールやレファレンスモデルを自ら考えて無料で公開されています。著書も多数出版されています。DBマガジンでも連載されていたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
世の中にはオブジェクト指向、UML…いろんな設計手法がありますよね?本を読んで、「なるほど、このコンセプトはすばらしい!」と思っていざやり始めてみると、最初は面白いのですが、少し細かく進めていくと「細かい部分をうまく表現できない」とか、「難しい」とか、挫折してしまうのはよくあることです。私もたくさんの手法を試したことを思い出します。
また、手法を実務に落とし込むとイメージしにくいのも事実で、例えば、オブジェクト指向の「オブジェクト」を動物や車で説明された本を読んで、なんとなくわかったような気になっても、実際に設計しようと思うとできない、プログラムを書こうとすると書けない…。そして、「やっぱりわからん、私にはできない…」そういうジレンマをご経験された方も多いのではないでしょうか?私もその一人です。私がオブジェクト指向を理解したのは、他人が作ったソースを引っ張ってきて、マネして実際に書いてみて、動かしてみて「なるほど〜」と思ったのですが、今覚えば腑に落ちるまでに結構時間がかかったような気がします。
渡辺幸三さんは、「レファレンスモデルライブラリー」という考え方をされています。プログラムをゼロからコーディングするようなことはあまりありませんし、実際には何らかの既存のコードを組み合わせてプログラムは作られていくものです。けれども、システム設計では「○○手法」という概念が先行で、その中身や実態がなかなか見えにくく、それが本当に優れた手法なのかを評価しにくいものです。ですから、システム設計もプログラミングと同様、手法や概念だけでなく参考になる設計セグメントを組み合わせて発展させつつ、複雑膨大な業務システムを設計する。設計事例を抽象化してライブラリ化すれば、みんなが参考にできるリソースになるじゃん…ということなんですね。みんなで持ち寄っていいものを作る。レファレンスモデルだけでなく設計ツールまで開発し無償で提供されているんですからすごいことです。
渡辺さんはの講義は「私はプログラムを作ることが大好きなので、先生ではありません。渡辺さんと呼んでください。」という言葉から始まりました。講義中に自然と出てくる「技術者のうれしさ」とか「このモデルを組んでいるときが一番楽しいんです」「私はココにこだわっているんです」という言葉を笑顔で使う渡辺さんを見て、「渡辺さんはプログラマ・SEということに誇りを持ち、この仕事が本当に好きなんだな」という思いが伝わってくると同時に、「好きなことを仕事にするのは大切なことだな」と、改めて思ういい機会になりました。
そして、モデルやツールだけでなく思想がすばらしく、レファレンスモデルがもたらす恩恵として、「多重下請け構造の瓦解」「設計技術の優位性」をあげられていて「これからは企業ブランドの時代から個人の技術の時代になる」とおっしゃっています。私も個人で活動いますが全く同感です。10年ほど前なら個人で活躍する場は限られていましたが、今は個人の技術力があれば企業を超えて個人が活躍できる時代になりました。情報発信も容易ですし、無料で使えるサービスもたくさんありますよね?オープンソースのコミュニティに参加したりするのもいいかもしれません。
個人が活躍していく上で、技術力もさることながら対人関係やコミュニケーション能力も重要ですし、自らを売り込んでいく営業能力も重要だとおっしゃっていました。それはそうですね。自分が楽しいことを実現するための手段です。
「SI業界を適正化したい」「僕ができるんだからみんなできる…」この言葉が印象的でした。一人ひとりが幸せなITエンジニアになっていけば、自然に業界も適正化していくのではないでしょうか?
「できるか/できないか」ではなく「やるか/やらないか」…「やる」を選択し、実践されている渡辺さんと直接お話して、私も自分の仕事を通じて「やる」を選択しようと決意を新たにした次第です。
モデリングパターンの分析設計手法…参考にしてみてはいかがでしょうか?
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