私はかつて某自動車メーカーに勤めていた。以前は車を自分で改造し、ずいぶんとお金をつぎ込んだものだ。
今も車は好きだし、本屋に行けば車雑誌も立ち読みする。車の情報にはついつい目が行ってしまう。
こんな記事を見た。
クルマとITの密接な関係と未来--東京モーターショー 2007 開幕
「お、GT-Rもいよいよ発売かぁ。乗ってみたいなぁ。」
そんな思いで読み進めた。そこで、一つの文章に引っかかった。一部を引用すると、
クルマの動作を電子制御するだけでなく、ロボットがカメラでドライバーの顔の様子を分析。その結果をもとに、状況にあわせて元気づけるための言葉を自動的に発したり、車内をなごませる語りかけをしたりする。日産が「パートナーのような存在」と表現する、知的生命体デザインをコンセプトにしたコンセプトカーなのである。
パッと表面だけ読むと、近未来の鉄腕アトムやドラえもんをイメージする。なんだか、あたたかい感じになる。
けれども、一歩踏み込んで考えてみると・・・違和感がある。
人間が補えないような電子制御は大歓迎だ。
例えばアンチロックブレーキシステム(ABS)。ABSは言い換えれば「スーパーポンピングブレーキ」だ。滑りやすい路面で車内の人間の感覚では瞬時に察知しにくいタイヤのロックを検知してブレーキ操作を補助するのは人間を補うものだ。人間にとってブレーキのON/OFFには物理的に短期間に何回もブレーキのON/OFFはできないわけで、これは大歓迎。
けれども・・・
状況にあわせて元気づけるための言葉を発する・・・。これって人間の役目じゃないのか?
人間の暗黙の認知能力は、何万人の中から一人を見分けるほどの認知能力がある。学生時代の友人が、何年も経過しているのに偶然街で見かけても区別ができるわけだ。すごい能力だ。
それから考えれば、ITにできることを想像してもたかが知れている。人間の暗黙値をロジックに置き換えることが難しいからだ。もし、これができるのなら、何万人の中からなぜ友人を見分けることができたのかを言葉で説明できるということだ。言語化したら、「目と、鼻と、口があって、目は細めで、鼻はやや大きく、唇が厚い」。せいぜい、言語化できてもモンタージュ写真が書けるぐらいだ。「気分がどうか・・・」までの状況を理解するロジックをどこまで組めるか、ある意味興味深くはある。
でも・・・
本当は血が通った人間同士がしなければならないこと。
人間がITに元気付けられる時代。人間は、そこまでITにやらせるのか?
批判はできない。なぜなら、メーカー、開発者は悪気があるわけではない。むしろ、良かれと思っているはずだ。その思いに加えて、少しだけ考えて欲しいと思った。
人間ができないことはITに頼るのは大賛成。けれども、「人間にしかできない底力」「人間のこころ」だけは、忘れちゃいけない。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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青木陽介さま
コメントありがとうございました。
人それぞれかもしれませんが、私の場合は、ABSが作動したことを知ることでスピードを控えるサインになるので、振動はありがたく感じています。