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セカンドライフの億万長者は、武漢で暮らすドイツ国籍の中国人、アイリン・グラエフ。
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週刊東洋経済8月4日号では、「世界がまた動き出した!!セカンドライフ仮想革命」と題された、セカンドライフ特集を組んだが、単なる楽観的な予想記事だけではなく、厳しい見方も含めて多面的にセカンドライフの「明日」について考察する記事を載せている。CEOのフィリップ・ローズデルだけではなく、同社の幹部やセカンドライフ内の「キーマン」の横顔などもかなり詳しく紹介している。
だが、出色だったのは、日本のメディアでは初登場といわれる、セカンドライフ内の「億万長者」アンシェ・チェンと、そのリアル世界の「実体」アイリン・グラエフを2ページにわたって紹介したことであろう。特に「リアル」のアイリン・グラエフは謎に包まれた存在とされており、一時はリンデンが話題づくりのために仕立てた「純粋アバター」ではないかと(つまりリアルの実体がないという意味)とさえ噂する声もあっただけに、顔写真付で登場した彼女にインタビューを行っている同誌の記事は、スクープと言ってもいいだろう。
それによれば、リアルのアイリンはドイツ国籍の中国人女性。(グラエフは夫の姓で彼はドイツ人である)2004年からの「古株ユーザー」で、北京の大学を卒業後、ドイツに留学、そこの地方都市で結婚、非常勤の語学教師の傍らオンラインゲームを楽しんでいた女性である。セカンドライフを始めて、多くのアバターが「居場所」を見つけられないでいることに気がついた彼女は、SIMをテーマ性のある区域に分割して開発、売り出すことを思いついたという。有名なところでは日本人ユーザーに人気のある「桃源郷」も、彼女が日本人アバターと知り合ったのをきっかけに開発したSIMである。
現在彼女は「数百の」SIMを抱え、100万ドル以上の富を手にし、「セカンドライフのロックフェラー」とまで言われるようになった。
彼女のビジネスの基本は、「不動産売買」だが、ショッピングモール運営やリンデンドルへの交換市場など仮想社会を支える社会的インフラを次々と作り出している。2006年1月からは、中国の武漢に夫と共に「アンシェ・チェン・スタジオ」を設立している。
記事によれば、彼女が武漢に拠点を持っていることは、セカンドライフ内の成功とは無関係ではないという。武漢は高学歴・低賃金のワーカーが「無数に」いて、手のかかるSIMを労働集約的に作り、さまざまなサービスを24時間体制で維持する仕組みを作り上げた。現在は社員も100名以上だという。ここはおそらく、中国それも北京や上海ではなくて、武漢というところがポイントだったということだろう。仮想社会と言えども、社会インフラの1つ1つを構築して維持運営していくためには、相当の手間が「リアル」にかかる。そのためにリアル世界の中で非常に好都合な立地を彼女が占めており、その前提にたっての成功であると考えると、納得できる。もちろん、労働力が安価であっても、体制や情報、通信インフラなどの総合的な適正値が得られなければだめであって、ここでも現実世界の経済格差が、仮想世界を支えているのである。実際彼女はドイツにも居宅があるが、現在は1年の大半を武漢で過ごしているという。
Wikipediaによれば、
「武漢(ぶかん、ウハン)は中華人民共和国湖北省の地級市であり、省都。また華中地域全域の中心都市である。長江をはさんで、武昌、漢陽、漢口の三鎮が並立し、江城の異称がある。面積8,467平方キロ、総人口781万人(2003年)。経済的重要性から大幅な自主権をもつ副省級市に指定されている。」
とある。
副省級市とはいささか耳慣れないが、
中華人民共和国の地方行政区画の一種であり、とくに重要な地級市(二級行政区)で大幅な自主権が与えられる都市。副省級市の市長は副省長と同列である。1994年2月24日、中央機構編成委員会で制度が新設された。地級市として省の管轄下にあるが、経済・財政と法制の面で省クラスの自主権をもつ。中国語では「副省級城市」と言う。城市とは都市の意味である。
ということだ。現在、以下の15地級市が副省級市に定められている。省都が多いが、そうでない都市もある。
* 省都
o 哈爾浜(ハルビン。黒竜江省)
o 長春(チャンチュン。吉林省)
o 瀋陽(シェンヤン。遼寧省)
o 済南(チーナン。山東省)
o 南京(ナンジン。江蘇省)
o 杭州(ハンチョウ。浙江省)
o 広州(コワンチョウ。広東省)
o 西安(シーアン。陝西省)
o 武漢(ウーハン。湖北省)
o 成都(チョンド。四川省)
* 経済特区
o 厦門(シィアマン。福建省)
o 深圳(シェンチェン。広東省)
* 経済技術開発区
o 大連(ダーリェン。遼寧省)
o 青島(チンダオ。山東省)
o 寧波(ニンポー。浙江省)
南京、深圳や大連、青島などは日本からも相当数の企業が経済進出していることで、知られているが、彼女の仮想社会での大成功は、今後武漢にもより一層の注目を集めることになるかもしれない。
さて話を戻すが、写真で紹介されたチャイナ服に身を包んだリアルの「アイリン・グラエフ」は、アバターの「アンシェ・チェン」よりも少し丸顔で温和な印象。アンシェに漂う切れのあるオーラは、リアルの彼女では少し薄められている。多忙なために、現在はアバターのアンシェはほとんどセカンドライフには姿を見せなくなったというが、今後よりセカンドライフが発展したとすれば、間違いなく伝説の1人となる人物(かつアバター)であることは間違いないだろう。
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