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日払派遣の労働力を利用する側について考える

2007/06/13 21:51
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殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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ネットカフェ難民などを生む温床とも言われている、日払い登録システムだが、登録する人たちの不安定な生活がメディアに取り上げられることは多いが、利用する側の企業の意識の問題については、あまり話題にならない。

私の会社などの例でも、周期的にこれらの業者から、セールスのメールやダイレクトポスティングなどによる勧誘がある。
ある業者の場合、チラシによれば、急な人手不足があった場合、午前10時までに申し込めばその日の午後から、ほとんどあらゆる職種に関する人の手当てがかなりの人数の規模で、可能であるという。対応する職種も、単純作業から専門度を要する業務まで幅広い。都内であれば、インターネットで申し込んでから、最速で1時間程度で人を派遣することが可能であると書かれている。登録している多くのワーカーに対して、一斉携帯メールが配信されることによって可能にしているわけであるが、基準に満たない人がやって来た場合、チェンジもできるようになっていた。まさに、「危うい業界」並のフォローの細かさである。

急な人手不足企業に悩む企業にとっては、これほど便利なシステムはない。ワープロ打ちから、書類の袋詰め、データの入力や肉体労働など、必要な日だけ必要な人数を確保して、翌日には後腐れなく「解約」できる。意に染まない人材への対応は派遣会社がやってくれるし、人材をチェンジしてもいくらでも新しい登録者がやってくる。先にあげた教育機関のように、急なハプニングで人の手当てができなくなった企業にとっては、必要な時だけまさに願ったりかなったりのシステムなのである。ただし、働く側の事情に思いを配らなければ、である。

もちろん登録している人材も、すべてが、不安定なその日暮しをしているワーカーばかりではない。たとえば家庭の主婦などが、あいている短い時間を有意義に使って仕事を探すには最適である。要は募集する側と応募する側、そしてそれを利用する側の三者における、ある種のモラルが必要になるのであろうが、この峻別は容易ではない。

景気の回復と雇用環境の改善にも関わらず、これら日払いの派遣労働者数は減るどころか増える傾向にあるという。
いたずらに登録者のプライバシーや、生活面への審査制度などを導入するなら、それもまた職を探す側にとって、単なる障害にしかならないかもしれないし、一層の生活不安に繋がる危険性もある。また、モラル面で問題があるからといって、企業側がそうしたシステムを回避すれば済む問題でもないだろう。つまり、そう簡単に割り切って解決できる問題ではないのだが、その日暮らしのワーカーが陥りやすい罠に対して、行政や企業側が全く目をつぶっていることは、今日許されないように思う。

そこで一例としての提案だが、これらのシステムを利用する企業側の登録制度を整備し、登録時に微細な費用を徴収し、それを財源として、業界を横断して日払い派遣登録労働者の、失業時の補償や一時低利融資など、生活安定に充当するシステムを構築するというのはどうだろうか。もちろんこれは大きな次元ではセーフティネットの拡充ということで、国や自治体がなすべきことではあるが、行政の足は遅い。失業保険などに加入できるチャンスも乏しい短期派遣労働者にとっても、安全弁の一つにはなるはずである。雇用システムの恩恵を受けている利用側の企業の協力を得ることで、敏速な改善が図られるなら、業界をあげて検討してみたらどうだろうか。

短期の単純労働へのニーズは、これからもなくなることはないだろうし、あいている時間を有意義に使って働きたい「健全な」労働へのニーズも、今後なくなることはないだろう。であれば、事業者が集合してNPO法人などの形式で組織を構築し、これら短期労働者の総合的なサポートに尽力していくことも、短期の安定した労働力の確保という社会的ニーズにかなっていくように思う。

【6/16 加筆】
一部文頭表現を削除しました。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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