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「セカンドライフナイト in BarTube」で考えたRMTの現実

2007/06/02 15:50
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プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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5月31日に、渋谷のBarTubeで開催された「セカンドライフナイト」を、私も覗きに行っていたわけだが、その時の模様は、当日の講師でもあり、CNETの読者ブロガーでもあるAberantCorpses Yueさんの「ネットでポン セカンドライフナイト in BarTube 「ボイスチャットなど」に詳しいので、興味のある方はそちらを参照していただければと思う。実に楽しいイベントだった。

で、ここでは、当日のイベントで感じたことを、ちょっと違った観点から書いてみることにする。

当日はネット界での八面六臂の大活躍、BlogTVなどの活動でもおなじみの神田敏晶さんがお見えになっていて、相変わらず人をそらさない、つかみOKまくりのトークで、会場を湧かせてくれた。(神田さんのセッションが始まった時は既に夜も更けており、相当お酒も入っていたようで、トークも相当ドライブがかかっていたのだが)

その中で神田さんが語っていたのが、SecondLife内での「贅沢」のススメ。

彼はすでに43万L$(リンデンドル)だか持っているそうで、(これには「へー」だか「ほー」だか、よくわからない感嘆の声が会場からあがっていたが)、そのL$でいかにSL内で贅沢ができるかというようなことを話してくれた。一概には言えないが、SLのメタバースの中の貨幣価値は体感として、Real Lifeのおよそ100分の1-200分の1くらいであろうか。(例を上げれば、Realでは50,000円程度はすると思われる家具やワンピースが、SL内ではせいぜい500L$=250-300円程度であるという具合)

当然それにリンクして、土地の賃貸料金や価格などもおおよそそれに近い基準となる。神田さんは、SL内のマンハッタン島の一番いいところに「豪華な」部屋を持っているそうで、(これは冗談めかしてであるが)40万L$以上もあれば、現実世界でお金を使うよりも、遙かに「いい暮らし」でリッチな気分を味わうことができる、500L$ずつも配ればみんな手下になっちゃうぞー、アバターがぞろぞろついてくるぞー(笑)などと煽っていた。

すっかりアルコールの回っていた神田さんが、余りに熱心に繰り返すので、隣の参加者と冗談で、「イベントの帰りには全員、BarTubeの出口で、有金全部LS$に強制的に交換させるんじゃないか」などと笑っていた。

しかし実は、この話は相当いろいろ考えさせられる深い話である。

東京で暮らしている場合、40万L$など持っていても、できることは限られる。(これはおよそ20万円弱くらいに相当する。)六本木などで少し広い部屋を借りれば、これは1ケ月の家賃にも満たないであろう。そんな現実世界で空しい金の使い方をするくらいなら、メタバースで使えよという、神田さん独特のアジテーションなのであるが、「何言ってんの。仮想世界は仮想世界、所詮は代償行為、ウソッコでしょ」という向きもあろう。

しかし、現実貨幣$との兌換を許容しているL$の場合、事情はもう少し複雑である。

つまり、欧米や日本よりも、現実の経済の相場基準が著しく低く、生活コストが安い国からのユーザーの場合、笑ってばかりもいられない状況が出てくる。すなわち、我々にとっては、Second Life上の貨幣価値が仮に現在100分の1であっても、それらの諸国にとっては、50分の1だったり、20分の1かもしれない。この差は、今後メタバースの発展によっては、微妙なことになってくるかもしれないことは、想像に難くないのであって、モデルとして、たとえば今後、現実世界の10分の1程度の相場を持つ、経済圏にまでメタバースが成長してきた時のことを想像すれば、これらの非先進国のユーザーは、自国の現実世界で経済活動をするよりも、メタバースでビジネスをしたほうが、利益を生むということになってくるかもしれない。

顧客層の厚みという要素も変数に入るが、商圏人口が、リアル自国の数百倍もあるような経済圏が、その時メタバースの中に出来上がっていれば、リアルの経済との1:10くらいの相場観の違いくらいは、逆転するビジネスを展開できる可能性が出てくる。薄利であるが、数で稼ぐ100円ショップのような店舗モデルは容易に想像できる。つまり顧客が10倍いるなら、そのほうが良いという判断である。(アフリカの奥地やアマゾンに本店を持つ世界最大規模の100L$ショップとか!)先進国のユーザーが小遣い稼ぎで行うその同じ相場で、経済発展の途上にある国においては、その収入をドルに兌換することで、十分以上に生活が成り立つかもしれない。

ネット社会が生むこうした「格差の破壊」=経済のフラット化は、何もことさらに新しいことではなく、Amazonのアフィリエイトでも、グーグルのサービスの与える恩恵の経済的効果のグローバル性だとか、さまざまな形で既に指摘されていることである。

ただ、それが単なる貨幣価値や経済格差の「差益」として語られるのではなく、そして、その経済的リンクの場が、味気ない為替の抽象的なシステムではなく、実態としての仮想現実として、「ニューヨークの高級マンション」のような比喩で、メタバースを通じて色も形も含めて、明確に実感できるようになってきたということだろう。

もちろん、メタバースに注ぎ込まれたマネーは、必ず現実世界に還流してくるはずであるという前提に立てば(いや、実際は必ずしも還流されてこないものもあるかもしれないのだが、それは置く)、その入口と出口2ケ所で、国家の強力な干渉が始まることは想像に難くない。実際米国ではその動きが始まっている。確かにマネーロンダリングやアングラマネー、TAXの観点からも、RMT(リアルマネートレーディング)のもたらす変革は、野放しにすれば、重大で深刻な影響をもたらす可能性もあるが、そうした干渉にも関わらず一方で、こうしたバーチャル社会を介在して、グローバルな経済格差、生活格差は、徐々に浸食され、破壊されていくかもしれないのである。

その時、我々の現実世界はどうなるのだろうか。微動だにしないのか、発展を遂げるのか、それとも致命的な混乱を受けるのか。それは誰にもわからない。否、経済だけの話ではないのであって、人間の生き方にも関わってくるだろう。
しかし、どうあっても、もはやメタバースにおける経済の影響を意識しないことには、どんな経済指標をも予測できない、そんな時代は近くまできている気がする。

僅かな時間の間に、我々は予想もしていなかった世界に、高速で連れていかれようとしているのではないだろうか。

そこが本当に楽しい場所だといいのだが。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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