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「そろそろ書いてもいいですか」---DoCoMo2.0のプロモーションに思うこと

2007/05/17 00:03
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殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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この時期に「そろそろ反撃してもいいですか?」とドコモに言われて、何のことだかわからない人は殆どいないだろう。その次元だけでは成功と言えるのかもしれない。

「そろそろ反撃しちゃおうか」?ドコモ山口氏が新サービスに言及

さらに、「904iのテーマは、『そろそろ反撃してもいいですか?』。MNPで我々はかなり苦戦したが、そろそろ反撃しちゃおうかなということ。今年の 90Xiシリーズの変化は今までとは違う。驚きを与えるケータイになっている。プロモーションも大きく変えていきたい」と語り、2007年がドコモの反撃の年になるとした。(NTTドコモのコンテンツ&カスタマ部 コンテンツ担当部長の山口善輝氏)

ナンバーポータビリティにおける、ドコモの苦戦を背景に、満を持してプロモーションで攻勢に出ようという、同社の決意表明とも言えるメッセージが、10日から展開されているわけだが、正直苦笑を禁じえない。

この種のプロモーション、つまり明確にコンペティターを意識した対抗プロモーションの手法は、従来日本の広告市場では、比較的敬遠されてきた。米国の徹底した比較広告は、日本になじまないとして、競合する他社の弱点をあげつらうような手法は控えられてきたのだ。しかしながら、状況は近年急速に変わってきていると感じられる。
ネットという新しいメディアの登場により、消費者は容易に、競合する複数の製品やサービスを比較検討することが可能になった。こうした状況の変化を背景として、テレビCMや新聞広告などの旧来メディアでも、露骨ではないが、他社製品への優位性を露骨にほのめかすものが増えてきた。消費者も企業も、こういった手法に対する心理的抵抗が以前より弱まってきているように見える。

しかし、

「そろそろ反撃してもいいですか?」

というメッセージは、こうした他社やその商品への比較広告ではない。触れられているのは機能でもデザインでもない。敢えて弁護的に言えば、ここしばらく劣勢を強いられた自社の状況へのアイロニーと、軽いユーモアを込めたメッセージで、今後の904i製品やコンテンツパワーを増強する姿勢を印象付けようという狙いだろう。
おそらく複数広告代理店のコンペの末に決まったコピーだろうと思われるが、それなりに冒険的なものだとは言えるだろう。

それにも関わらず、私の感じるある種の不快感は何だろうか。

まずCMの構成があげられる。真の意味を隠して、挑発的なメッセージのみ投げつける「ティーザー(じらし広告)」に分類されるものだが、メッセージを投げつけた後、今後起用されるとみられる、多くのタレントのフラッシュバックが使われている。(浅野忠信、長瀬智也、妻夫木聡、瑛太、吹石一恵、土屋アンナ、蒼井優、北川景子の8人)
杞憂であれば許してもらいたいが、これでもかと言わんばかりの、キャラクターイメージ優先のやり方を見ると、メッセージの挑発性にも関わらず、サービス面・機能面での圧倒的優位を遡及することは、今後展開される続編でも望み薄なのではないかという危惧が浮かぶ。

「DoCoMo2.0」という、「Web2.0」をベースにしたと思われるテーマも、こうなると不安が浮かぶのであって、イメージ先行の空虚な訴求にならないかという連想となるのだ。果たして「DoCoMo2.0」というテーマにふさわしい商品によるプレゼンテーションが、今後できるのだろうか。

そもそも少々理屈めくが、消費者として、「反撃してもいいですか?」などと問いかけられる筋合いこそないのであって、それは企業と企業とのシェア争奪戦の次元の問題、そっちの事情でしかない。必死になる企業側の事情にも関わらず、それは消費者にとって「次元の低い」問題であって、優先されるべきテーマではないのである。このあたりに企業の空しい一人良がりやある種の楽屋オチ根性を感じるのは私だけであろうか。

広告である以上、ある種のイメージやメッセージを打ち出さなければならないのは、避けられないことであるが、もしもそれが商品に直結しないメッセージであるなら、ある種の価値観を私たちに提示するものであるべきだと思う。この場合の価値観とは何も硬いものだけとは限らないのであって、ある種のユーモアやアイロニー、ブラックジョークも含まれるだろう。

しかし、「そろそろ反撃してもいいですか?」と問われて我々に浮かぶ笑みは、どうも苦笑としか表現のしようがないものであり、この笑みが決してこの広告のクリエイティビティを讃えるものにならないのはなぜだろうか?と考えるに、ある種の幼稚さがこのメッセージに拭いがたくつきまとっているからであると思えてならない。で、その幼稚さは結構根が深いように思うのだ。

むしろ、こちらで紹介されていた「DoCoMo2.0=ドコモに移転ゼロ」という揶揄のほうが、レベルとしては遙かに拍手したくなるというものである。

おそらくメッセージの幼稚さを救うのはセンスだけなのだ。たぶん。

【5/17追記】
このCMは、業界でここ数年賞を総取りしているTUGBOATの作品だそうだ。一応追記。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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