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楽天vsTBSバトルの再燃に思う---誰が退屈なのか、何が新しいということなのか

2007/04/21 22:30
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殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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●信頼関係崩壊、TBS社長激怒 楽天、株買い増し(ITmedia)

この国では、公開されている株式を買おうとしても、市場における「談合」が崩れると、激怒されてしまうのか、という突っ込みはともかく、長らく膠着状態にあった、TBSvs楽天の攻防が、久しぶりに動き出している。
楽天は、TBSに対して20%超の株買い増し通告を行い、説明書を提出した。その説明書に対するTBSの井上社長の反応を評したのが、冒頭のエントリーのタイトルであるが、楽天は20%超の買い増し勧告と併せて、6月の株主総会で三木谷浩史社長と、楽天社外取締役の増田宗昭氏(カルチャア・コンビニエンス・クラブ社長)の、TBS社外取締役への選任を行うことを提案している。

「激怒」したTBS側は早速防御処置の検討に入ったようだが、株式市場は、楽天の「強気」に対してはそれほど好感していないようで、発表後には楽天・カルチャア・コンビニエンスクラブ共に株価は下降し、一方のTBSは上げている。現在株式を手放せば、楽天の年間営業利益に匹敵する数百億円の売却益が入ってくるにもかかわらず、TBSとの「事業提携」にこだわる楽天・三木谷氏の執念は、市場を見る限りはそれほど好感視されていない。

右手に剣を持ちながら、絶えず落とし所を探る展開となるのは、市場の常。こうした楽天のTBSへの強気が、本気なのかポーズなのかは、まだわからない部分があるが、どうしても重ね合わせて比較してしまうのは、「ネットと放送の融合」の先駆的事例というか、失敗事例として記憶に新しい、ライブドアとフジテレビの1件である。

ライブドアの「本気」は、その後のライブドアの失墜と結末があまりにお粗末であったために、もはや霞がかかってしまっているのだが、堀江氏も少なくともネット企業と放送会社が「提携する」ことによるメリットを、本気で、あるいは本気に見せる形で社会にプレゼンしようとはしていた。しかし、ライブドアの「不始末」を横においても、あのときのライブドア・フジテレビ「融合」案とは、楽天・TBSの場合根本的に異なる点がある。

それはその後のYouTubeの「成功」に見られるように、ネットでの動画配信が十分にリアルなモデルとして感じられる時代に入ったという点である。ライブドアの「融合」案にも、フジテレビの番組コンテンツの一部を配信するプランは盛り込まれてはいたが、それほどリアリティのあるものではなかった。むしろ堀江の提案の中心は、テレビ番組とサイトのアフィリエイトを組み合わせたり、タレントを共有するといった程度の話が多く、フジテレビの女子アナをライブドアポータルで狂言回しのように使うなどといった冗談のような話が、本気で盛り込まれていたのである。

こうしたライブドアの「トンデモ」ぶりは、今となってはいくら言われてもしょうがないのであり、それが「金のための金による買収」として批判をされたわけであるが、今回の楽天では、明らかにコンテンツの動画配信を現実的なプランとして考えていることが窺える。

三木谷という人は、周知のとおり、異端児の堀江とは異なり、良くも悪くもエスタブリッシュメントなフィールドに属する人であり、そうした意味でも、オーソドックスに、「ネットと放送の融合」=楽天がネットにおいて番組配信を行うことによって、商機を広げることを、大真面目に考えているのではないかと思われる。それが、ライブドアの時代と楽天の時代の差であり、堀江と三木谷の差である。

しかしながら、こうしたモデルの進め方は、ビジネスの成功不成功は別として、私としては実に退屈なモデルであると思わざるを得ない。つまり、膨大な映像コンテンツの権利を持つTBSの番組資産を、ネットで流し、そこでいくばくかの広告や通販の新たな展開があったとしても、基本的には古いネットモデルを踏襲してその延長をちょっと拡大しているようにしか思えないからである。仮に万が一楽天とTBSの「統合」がなったとしても、ビジネスモデルとしてそれほど画期的なものを三木谷氏が作り出すことができるようには思えない。もちろん、ビジネスにおいては刺激的なモデルが成功し、退屈なモデルが失敗するわけではないから、それはそれなのであり、三木谷という人はもともと「画期的とはいえない」モデルを地道にオーソドックスに進めてきた人であるから、当然であろう。

ところで、ご存じ西村ひろゆき氏の関わる「ニコニコ動画」というサイトがある。開設3ケ月で1憶回の再生数を超え、YouTubeから接続を拒絶されるなどしながらも、γ版では、専用の動画投稿サイト「SMILE VIDOEO」を開始、さらにβ版で人気の出た「レッツゴー!陰陽師」を親会社のドワンゴが着うたとして配信したり、動画の一部に広告を挿入するなど、一部にビジネス化の兆しが見えている。

●ニコニコ動画「γ版」で復活 「陰陽師」は着うたに(ITmedia)

ニコニコ動画は、他サイトの動画をマッシュアップすることで、新たな価値や面白さを追求しようというもので、相変わらず西村氏の姿勢は、のらりくらりだが、氏周辺の新しいビジネス起爆剤になる可能性もあり、気になる存在になっている。
ニコニコ動画のやり方は、例によって彼らしくゲリラ的で「怪しい」要素はあるが、金に物を言わせて他社の映像の著作権も所有権も主張しようとしていないのであり、マッシュのやり方の危うさはあるものの、そのモデルは極めて刺激的である。そこにあるのは、従来型のネットモデル、つまり2.0以前と明確に分別される「新しさ」である。従来の放送モデルでは全く実現できなかった域である。もちろん、だからといって、その未来に成功したビジネスとしての栄冠が待っているかどうかはわからない。それば別の話ではあるが。

このシーンで、堀江、三木谷、西村という3人の企業の方向性を、同じ土俵で比べること自体が、無意味なのかもしれないが、「ネットと放送の融合」という、一見紋切型の言葉を、紋切型で終わらせていないのは誰なのか、一時は斬新に見えたものの、実は旧来モデルの踏襲でしかない夢を追っているのは誰なのか。

さまざまに思いを巡らせると、実に興味深いシーンに差し掛かってはいないだろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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