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ダルフール紛争をGoogle Earthで見る----Googleの苦いプレゼンテーションは有効だ。

2007/04/12 01:38
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殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
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グーグルが、Google Earth上で、ダルフール紛争に関する3つのレイヤーを追加したというニュースが報じられた。これによって、ダルフールの大虐殺の実態をビジュアルによって知ることができるようになったという。これらのレイヤーは、Google Earth日本語版でもオンになっており、さっそく最新のGoogle Earthをダウンロードして、私も見ることができた。

詳細は
http://www.ushmm.org/googleearth/
(United States Holocaust Memorial Museum and Google Earth)

米ホロコースト博物館、「Google Earth」と連携--スーダンの集団虐殺情報を視覚化(CNET Japan)

「Google Earth」にダルフール紛争に関する新レイヤー追加(Internet Watch)

ダルフール紛争に関するレイヤーはデフォルトでオンになっており、新たに設けられた「グローバル・アウェアネス」項目の下にある。このレイヤーでは写真、データ、目撃証言などを英語で表示する。これらの情報は米国務省、米国ホロコースト記念博物館、国連、NGO組織などによって提供されている。
ダルフール地方の大虐殺の実態を知ることは一般には非常に難しい。ジャーナリストですら、スーダン政府によって同地方への立ち入りを禁じられているからだ。しかしGoogle Earthからは、スーダン軍と武装民兵組織「ジャンジャウィード」によって破壊された10万以上の家、学校、モスクや建造物を高解像度画像ではっきりと確認できる。このレイヤーでは、被害を受けた村や破壊された村を印で表示するため、そこを拡大していくことで容易に破壊現場を見つけられる。ジャーナリストでも全容をつかむことが難しいダルフールの現状について、人道支援組織が活動を行なう上で有用な道具となることも期待されている。

下図は、Google Earthで実際にこのレイヤーを通してダルフールを見たところである。各村の被害状況がわかるようになっているほか、拡大すると、家や学校、建物の破壊の状況が、確認できるようになっている。(写真はクリックで拡大できる)

Dal1

Dal2

さらに、被害の状況を示す写真やビデオがリンクされている。

Dal3

Dal4

この取り組みについて、米国ホロコースト記念博物館のディレクターであるSara J.Bloomfield氏は、「過去と現在の残虐行為について今日の世代を教育することは、Google Earthのようなテクノロジーによってその度合いを一層高めることができる」とコメントしている。さらに米国ホロコースト記念博物館では、過去に起きたナチスによるホロコーストに関するタイムラインや強制収容所の場所などをGoogle Earth上に示したKML地図情報ファイルの配布も開始した。(Internet Watchより)

Google Earthのこのような使い方は、非常にインパクトがある上、国際社会の中での意義は大きいと言えるだろう。同時に、非常に有効なプロモーションの形にもまっていると思われる。今回のダルフールのレイヤーはデフォルトでオンとなっているが、今後はレイヤーを追加し、必要に応じて切り替えることによって、地球上で起きている様々な「把握しづらい」現状について、リアルタイムで、しかもパースペクティブを切り替えながら見ることができるような使い道が予想される。

急成長したGoogleは、その先端的な存在にもかかわらず、Web2.0に対して、どのようなスタンスをとるのかが、疑問視される見方もあった。検索エンジンは、全地球の情報をインデックス化することで、確かに情報相互のニューロンをすさまじい勢いで構築することはわかったが、情報への「働きかけ」ははっきりしなかったし、さまざまなWebサービスを取り込みながら無償で提供していく姿勢は、かつてのポータルの成長過程をダイナミックに再現しているだけであり、その手法は伝統的なものであるという見られ方もしていたと思う。

しかしながら、Google Earthのこの試みは、明らかにGoogleという企業の次の可能性を提示するものであると思われる。各地域から情報のフィードが、逆にGoogle Earthに向かい始めた時、レイヤーという手法と相まって、多重な情報を無限に抱えた巨大な地球をGoogle自身が構築する可能性が出てきたことがわかる。

もちろん、これらはビジネス軸の話ではあり、ダルフールのような切迫した社会的な危機をその宣伝素材にもしていることで、批判が起きる可能性もあるかもしれない。しかしながら、援助にも救援にも、有効なプレゼンテーションは必要である。署名用紙をどれだけ目の前に積まれて協力を求められるよりも、モニタの中に浮かんだバーチャルな地球の上で今も繰り広げられている惨劇を静かに語るGoogleの地球は、実はきわめて雄弁であると考える。

人は、言われなければわからないし、あるいは「見せられなければ」わからないのである。私を含めて。非常に苦いプレゼンテーションではあるが、この方向性を支持したい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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