お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

君臨すれども管理せず----「2ちゃんねる」はどこに行くのか

2007/01/12 21:14
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

殿岡良美

幻の博覧会「世界都市博覧会」で、インターネットを応用した公共イベント企画をプロデュースしたことが、ネットでの活動の出発点でした。しかし結果はご存知の通り。あるいはその未完の記憶が満ち足りない思いを私に残してしまったのか、ネットという愛すべきも、摩訶不思議で捉えようのないものに惹かれ続けてきました。リアルとネットが激しい火花を上げている今日。CNETでは、あらゆる前提や先入観にとらわれない視点から、BigBang的なIT論を展開したいと考えています。
ブログ管理

最近のエントリー

日本で一番有名な巨大掲示板の周辺には、昨年末頃から、おかしなムードは漂っていた。管理者とされる西村博之氏(ひろゆき)への管理責任を問う訴訟があとを絶たないが、彼は弁護士もl立てず出廷もしないため殆どの裁判で敗訴しており、自己破産の申し立てがされるという説がネットや主要メディアで飛び交っていた。
また、これは関係があるかどうか何とも言えないが、元旦から毎日新聞が、「ネット君臨」という大規模な特集を連載中で、その中で、2ちゃんねらーの一部の言動を、難病女児の患者家族に対する誹謗中傷だとして、厳しく批判した。

ある意味では、2ちゃんねるを取り巻く「社会的包囲網」は、徐々にその輪を狭めてきたと言ってもいい。

「2ちゃんねる」は、過去にもサーバー維持に関する経営上の問題から、瀕死の状態に追い込まれたことがあった(2001年)が、UNIX板のちゃねらー有志が伝説的な開発能力を発揮して、負荷を飛躍的に下げる新プログラムを開発するなどして乗り切った。その他にも世田谷一家殺人事件や、バスハイジャック事件などの主要事件の犯行予告が書き込まれるなど、そのたびに社会的物議を醸し、幾度も「危機」が叫ばれながらも生き残り、良くも悪くも「何とか」乗り切ってきた。
しかし、今回の「危機」はちょっと今までとは様子が違う。本日掲載された「ユーザーショック…2ちゃんねる、再来週にも強制執行」(ZAKZAK)は、ネットに激震をもたらしたと言ってもいい。2ちゃんねるでは、この問題に関して多くのスレッドが立てられたが、いずれもすさまじい勢いで書き込みがなされている。

「西村博之氏(30)の全財産が仮差し押さえされることが12日、分かった。債権者が東京地裁に申し立てたもので、対象となるのは西村氏の銀行口座、軽自動車、パソコン、さらにネット上の住所にあたる2Chのドメイン「2ch.net」にまで及ぶ見込み。執行されれば掲示板の機能が一時停止するのは必至だ。」

とあり、早ければ再来週にも、強制執行が始まり、2ちゃんねるが休止に追い込まれるのではとの見方を紹介している。

今まで叫ばれてきた2ちゃんねる危機と様相が違うのは、債権者が差し押さえの申立てを既に裁判所に対して現実に行っており、しかもその差し押さえの範囲に2ch.netのドメインが含まれている点である。しかし、果たして500万円の債権で、ドメインの差し押さえが可能なのだろうか。
2ちゃんねるを支えるサーバは約50台ほどあると言われているが、西村氏の所有ではなく、関連する企業の所有となっているため、西村氏への取立てのために、差し押さえることは不可能であると言われていた。ところがドメインに対する差し押さえというのは、意表をついた対抗処置である。果たしてこれは可能なのだろうか。

いくつかの問題点がすぐ浮かび上がってくる。

(1)ドメインは差し押さえ可能な財産なのか

2ちゃんねるのドメインレジストラは、米国の管理会社である。西村氏は、このレジストラを通じて、ドメインを登録している訳であるが、果たして2chのドメインは西村氏の「財産」なのか?有名企業のドメインを先行して押さえ、後から高額で譲渡する行為は、日米ともに近年は法的に牽制される動きがあるが、もしもドメインが差し押さえ可能な「財産」であるなら、担保にも出来るし、相続もできることになる。果たしてドメインにその種の性格があるだろうか?

(2)2chドメインの資産価値は?

今回の申し立て債権者の債権は500万円である。(それも西村氏が開示請求に対応しないために1日5万円の「制裁金」が重なったものであるという)果たして、500万円の債権で、巨大な掲示板と化している2ちゃんねるのドメインを差し押さえることができるのだろうか?一説には西村氏の年収は1億円以上であるとも言われているが、その大半が、2ちゃんねる関連の事業会社の稼ぎ出す広告料から発生する収入だとすれば、ドメインには膨大な価値を生み出す力があることになる。差し押さえによる西村氏側の損失が、たちまち数千万円に膨れ上がった場合、500万円の債権で果たして対抗できるだろうか?

(3)ドメイン変更による「新2ちゃんねる」は?

50台以上と言われる、2ちゃんねるのサーバの全ドメインを書き換えることは、簡単な作業ではないが、技術的には可能である。場合によっては1?2週間で、全てのサーバのドメインを書き換えることは、考えられうる西村氏側の対抗措置である。そうして2ちゃんねるが「新2ちゃんねる」に移行してしまった場合、旧2ちゃんねる上の書き込みに対してなされた訴訟や判決が、有効なものとしてその後も引き継がれるのだろうか?

(4)「コンテンツ」の差し押さえにつながらないか

2ちゃんねるは周知のように単なる掲示板であり、その膨大な書き込みの著作権は2ちゃんねる側にはない。全てが、特定不明な膨大な「ちゃねらー」に属していると考えられる。ドメインの差し押さえによる波及効果として、それらのコンテンツが閲覧できなくなり、何らかの「被害」を「著作者」が主張した場合、差し押さえを行った債権者が過大な損害を責任追求される可能性はないのだろうか?

これらは想像しうる問題点の、ほんの一例である。

「ひろゆき」は、いわば「君臨すれども管理せず」という、極めて異例の立場を築き上げ、インターネット上の巨大掲示板に、文字通り「君臨」してきた。その一方で、匿名の誹謗中傷発言を、他のプロバイダーのように管理することもせず放置してきた面があることも事実である。2ちゃんねるは、その多くの問題点を、彼の個性的なキャラクターゆえに解決することが出来ず、ついに今日の事態に至ったという見方もできる。

今回の「危機」がまたぞろ、幾度も浮かんでは消えた「2ちゃんねる危機」のひとつとして、通過される笑い話とされるのか、あるいはまた新たな「2ちゃんねる伝説」の一つとして記憶されるのか、それとも別次元の騒動に発展するのか、あるいは、Web2.0が喧伝され、ブログが隆盛を極めている今日、この掲示板が「消えていく」潮時を迎えているのか、否、「2ちゃんねる正常化」への道を開くことになるのか、それは誰にもわからない。

いずれにしても、ここ数週間の動きは、目を離せないといえるだろう。2ちゃんねるはどこに行くのだろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社