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ウェブはパーソナルメディア

2004/04/13 14:34
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プロフィール

inoue

1998年からポータル会社のエンジニアリングのトップとして業界を見続けてきた井上俊一さんが、サーチエンジンの本質について考え、業界を取り巻く状況について独自のコメントを行います(このブログの更新は2004年5月31日で終了しました)。
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私のインターネット歴は長い方ではないかと思う。私の通った大学が全てUNIXワークステーションで研究を行うように出来ていたのが使い始めだ。最初に使ったのは1992年だったと思う。

その頃、インターネット人口が何人位いたのか知らないが商用プロバイダがまだなかったので、インターネットに接続していることは一部の大学や研究機関の特権だった。もちろんファイアーウォールなどなくなくスカスカでどこの大学のどのマシンのポートも空いているというような平和な時代だった。

最初に使ったのはやはりメール。今時のようなファンシーなメーラーはなかったので、UNIX上でMHを使っていた。それからよく使うのはarchieやftpだった。好きなアプリケーションをarchieで検索しftpで取ってきては自分でコンパイルして使っていた。

そうやっているうちに自然にインターネットの仕組みやUNIXの仕組みが身について行き、以来自分の開発環境はUNIX中心のまま今日に至っている。インターネット業界に身を置くようになって、ほとんどのユーザーがWindows上でIEを使っているため、ブラウザだけはWindowsを使っているが、基本的にはsshで接続できるターミナルがあれば後は何も要らないというのが、私のスタイルだ。

ウェブはテレビではない?

さてインターネットを長いこと使っていて昔から思っていることがある。それは、

ウェブはテレビではない

ということだ。

テレビと言うのは比喩であり、「ウェブはマスメディアではない」と置き換えることが出来る。昔はなんとなくそのように感じていたと言う程度だったが、業界に身をおくようになって益々その考えが確かなものだと実感するようになった。

4大メディアと言えば、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌なのだが、その延長でインターネットを捉えると本質的でない理解に至ってしまう。

既存4大メディアでは選択肢が限られる。テレビでもラジオでも新聞でも両手で数えられる位の選択肢しかない。雑誌は色々なものが出ているがそれでも人間の把握できない数でないことだけは確かだ。百・千の単位だろう。

一方でインターネットのページはどれ位あるのだろうか。Googleのトップページには

Searching 4,285,199,774 web pages

と書いてある。42億以上だ。Googleが全てのウェブページを集めているわけではないので、実際にはこの数倍のオーダーのウェブページが世界には存在する。もちろん人間が把握できる数ではない。そのためにサーチエンジンが存在する。ここが大きく既存4大メディアとは違うところである。さらにワンクリックで別のページへ行けてしまう。そこには何の障壁もない。これもインターネットの特徴だ。

ではインターネットは何かと聞かれたら、私は「インターネットはパーソナルメディアだ」と答える。

人々の興味は本当に千差万別であり、興味の数だけウェブページがあると理解しておいた方が良い。ところが初期のインターネット業界は「たくさんの人を集められればその人たちにマス広告を見せられる」と考え採算度外視でリーチを伸ばすことに力を注いだ。大手ポータルによる小さなメディアやポータルの買収が続いた。

不幸(幸運)にもインターネットでは広告のパフォーマンスが数字として表れてしまう。広告に興味をもってクリックした人は何人、その結果購買や資料請求に結びついたのは何人、という具合である。そしてマス広告ではパフォーマンスが出ないことが次第に分かり、バナーなどの従来型広告の単価は右肩下がりで落ちて行った。

一方でテレビの広告はこれと対極にある。ブランディング広告と呼ばれるものが中心だが、それを見たからと言ってすぐに何かが買えるわけではないが、いざ買う場面になると「あそこはCMもしているし、信用できる」とか「CMがかっこいいから」となるのである。テレビの場合、効果測定をどのようにしているか分からないが、インターネットのように明確でないことだけは確かだ。アンケートや視聴率調査などがせいぜいだろう。

この、今までとは違うパーソナルメディアをどうビジネスに変えて行くのか、それが我々インターネット業界の課題なのだ。

-inoue

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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