まずお詫びですが拙著「1の力を10倍にするアライアンス仕事術」(ゴマブックス)が完全に品切れ状態でネットでも中古に30%以上のプレミアがついてしまっているようです。ただいま増刷中ですので今しばらくお待ちいただきたくお願い申し上げます。心よりお詫び申し上げます。
さて、前回までお話しましたアライアンス型マルチサイドプラットフォームビジネスモデルをこれから創造しよう、あるいは現在すでにやっているがそれを更に進化させていこうとする場合どのような点に注意が必要かについて具体例を交えて述べたいと思います。
そうした問いに対する解を探る際に必ず出てくるのが「にわとりと卵の議論」です。
つまり、ユーザーが増えればコンテンツも売れる、コンテンツが売れればユーザーも増える、一方が増えれば他方も増えるというポジティブフィードバックの議論です。MSPではこのポジティブフィードバックを一回転目で作れるかが勝負の別れ目となります。
すでに何らかの形でユーザーとの接点を持って成功しているSingle-sidedの企業が横転換でmulti-sidedに展開した場合には成功率は高くなります。
ローソンの収納代行宅急便郵便ポスト代行、JR東日本のSuica、NTTドコモのiD等がそうした横転換の成功例として挙げられますが、何よりも、single-sidedの企業は、顧客が求めているサービスを自社のプラットフォームに導入することで顧客がメリットを感じるかを検討する必要があります。
ただしその戦略如何ではすでに獲得したユーザーを失うリスクもあることに注意が必要です。
すでにアライアンス型MSPで成功している企業にしても、自分たちのプラットフォームを強化するサービスは何かを常に検討する必要がありますし常に進化することが現在のポジションを維持していくためには必要なのです。
企業は川の流れに逆らって登っていく船のようなものだと思います。立ち止まった瞬間に流されてしまうのです。常にチャレンジしていくことが肝要なのです。何もしないことが最大のリスクになります。
それではまず eBayの例からアライアンス型MSPビジネスモデルの正しい進化と誤った展開について考えてみたいと思います。
米国のオークション会社最大手eBayは1999年にPaypalを買収しました。この買収によりeBayのユーザーはメールで簡単に決済ができるようになり、eBayは大きな成功を収めます。
eBayが成功した別の理由としてはユーザー同士の評価、つまり分散型サーティフィケーションモデルがうまく機能した点も挙げられます。「このユーザーの売っているものなら安心できる」といった口コミの情報が、ユーザーが製品の購買を決定する際の1つの大きなスタンダードとなる仕組みをうまく築いたのです。
ところがeBayはSkypeを買収したことで2005年に大きな失敗をしました。
eBayとしてはオークションをする人同士が会話ができたらもっといいのではないかと考えて買収に踏み込んだのですが、なるべく高くで売りたい人となるべく安くで買いたい人は直接話をしたがらない点を読み違えてしまったのです。事実、Skypeのサービスを導入したことでeBayのユーザー数は減少し、オークションの取引件数も減少するという結果を招くことになったそうです。
やはり重要なのは、プラットフォームに新たに導入するサービスがユーザーのニーズを満たすものであるのか、というユーザーの視点です。
別の例で見てみましょう。
チケットマスターという公演などのチケットを販売する企業は急成長を遂げていました。
しかし2000年すぎから急に売れ行きが鈍化したのです。これはチケットのオークションサイトが急成長してきたためでそれまでチケットマスターは定額での販売を頑なに守ってきたためです。チケットの値引きやプレミアに対しては断固反対の立場にいたのです。
しかしながらユーザーとしてはチケットが欲しいのであって別にチケットマスターで買わなくても他でもっと安いチケットを手に入れられるならばそちらのオークションで購入しますし、どうしても見たいアーティストのチケットであれば多少のプレミアを払っても購入しようとしたわけです。
そこでチケットマスターは2003年に大英断を行いました。それまで断固反対の立場にいたのにもかかわらずなんとチケットの変動価格販売を開始したのです。オークションへの参入です
。これによって同社は再び成長路線に復帰することができました。
もうひとつ例をあげましょう。
世界初のビデオゲーム会社であり、かつてスティーブ・ジョブスが働いていたとしても有名なアタリの例です。
それまではゲーム機で遊べるゲームソフトというものは通常限られた作品でした。ゲーム機をゲームが一体になっていたわけです。いまでこそWiiやプレステなどゲーム機の上で様々なソフトが遊べるようになりましたが80年代初期にアタリ2600というゲーム機では様々なゲームソフトが遊べるようになり大ヒットしたのです。
ここまではプラットフォームとしての戦略は大成功だったと言えます。
しかしこれがその後アタリショックといわれるユーザー離れを引き起こしついには経営破綻、買収される運命になったのです。
つまり ヒットしているソフトは何でもかんでもアタリのゲーム機で動くようにしたのです。それによって粗悪で廉価なゲームソフトが大量に溢れまたアタリ自身もETのソフトなどの失敗を招きユーザーの信頼を失ってしまったのです。
このように新しいアライアンス型MSPを作ることも、また一旦成功したプラットフォームもその進化の戦略を誤ると一気に破綻する危険性を常に持っているのです。
次回以降は では日本企業はどうすべきか?などについて考察したいと思います。
<今日の一言 想行力とは?>
想像力と実行力を足したもの それを「想行力」と、わたしは呼んでいます。
実のところ、わたしは「想像力」というものは、特別な人を除けば、それほど個人の差のないものだと思っています。多くの人は似たことを一度は考えるものですし、世の中のアイデアの大半はすでに成立しているアイデアの焼き直しなのです。
ほとんどの人が「考えたこと」や「願ったこと」を実現できないのは、むしろ“実行力”のほうが足りないのだと思います。しかし実行力にだって、本当はそれほど個人差があるものではない。それ以上に、どんなに頑張ったって一人の力でできることなど、それほど大きなものではないのです。
ならば実際の実行力の差とは、それを一人でやろうとして、「できから諦めよう」と挫折してしまうか。あるいは、一人の弱い力で実現できないなら、多数の人の力を借りてやりきってしまうか。その差になってくるのだと思います。
(「1の力を10倍にするアライアンス仕事術」より)
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
平野さんの輝かしい職歴について、教えてください。
興銀を退職された後、ドコモの関連企業部担当課長をされてらっしゃると思いますが、iモードのサービス開始は99年2月22日であったことを鑑みると、iモードの立上げには携わっていませんよね?
何か、職歴を偽らなければいけない理由がおありなのですか?