先週の金曜日(10月19日)は1987年のブラックマンデーから20年、そして今週の水曜日(10月24日)は1929年の「暗黒の木曜日(ブラックサーズデー)から78年目にあたる。
20年前のその日にはニューヨーク株式市場はダウ工業株30種平均が508ドル安(?22.6%)、日が改まって翌日の東京証券取引所は?14.9%、ロンドン株式市場は?12.2%といずれもこの時点で史上最大の下げ幅を記録した。
市場関係者へのインパクトは強烈だったはずだが、不思議なことに筆者自身の記憶ではその日の記憶は全くないし、それ以降もあまり意識したことはない。
多分その当時は会社の仕事に忙殺され、世界経済や日本経済の動向にまで思いを致す余裕も興味もなかったに違いない。それよりもその2年前の85年9月のG5での「プラザ合意」(これにより、ドル安・円高・マルク高という方向での協調介入が合意、日本はその後のたった2年間で242円/ドルから142円/ドル、率にして何と70%もの円高を飲まされた)やその2年後の89年暮れの株式最高値(38,915円)のほうが強烈な印象として残っている。そうした出来事に比べれば、ある日突然わけが分からないうちに史上最大の下げ幅の株式下落が起こりました・・・といわれても、どうせマネーゲームという「虚業の世界」での出来事で、「そんなの関係ねぇー」という感じだった気がする。
ただ、ブラックマンデーを契機に1929年の暗黒の木曜日に至るまでのアメリカのバブル時代である20年代の「金ピカの時代」がどんなものだったかが知りたくなって、フレデリック・ルイス・アレンの「オンリー・イエスタディ」を読んだのだけは覚えている。今となってはその本の内容はほとんど忘れてしまったが、次のようなフロリダの不動産バブルの記述があったのだけは強烈な印象として残っている。
1925年まで人々はそれがどこであろうとなんであろうとフロリダの土地である限り買い続けた・・・
後に日本列島を襲った「不動産バブル」を既視感(デジャ・ビュ)として、一定の距離感と冷静な目で観れたのはあの読書の賜物だったと思う。
今にして思うと、87年のブラックマンデーは単なる通過点でしかなく、より大きな危機はその後全く別な顔をして世界を襲った。即ち、その後の湾岸戦争やソビエト連邦、東欧諸国の共産党政権の崩壊、ユーゴスラビア連邦解体に伴う民族紛争など、世界は近代から中世に逆戻りしてしまったかのような混乱に見舞われた。
今回のサブプライムローン問題に端を発した世界的な信用収縮(クレジットクランチ)を考えると、20年前よりもはるかに世界は不安定化(液状化といったほうがいいかもしれない)しており、あの当時よりも相当深刻な危機の前兆のような気がしてならない。
サブプライムローン問題自体でも、一昨日あたりからAIG(American International Group)がメリルリンチを上回る巨額な損失を計上するのでは・・・などという噂が流れており、いよいよ本番にさしかかった感がする。(AIGといえば、日本のテレビで連日流されている保険のTVCMの量はとても尋常なものではない。あんなことはアメリカ本国で許されるはずがないし、ウサン臭さプンプンだ。アメリカの企業はいまだに日本を属州くらいにしか考えていないのだろう。願わくば、日本国民の虎の子の掛け金がサブプライムのブラックホールに消えていないことを祈るのみである)
以前このブログで、アメリカのバブル転がし(ITバブルから住宅バブル)もネタ切れになったようだ・・・という話題を紹介したが、ここに来てまだひとつ「究極のバブルネタ」が残っていることに気がついた。ブッシュ政権が仕掛けようとしている「戦争バブル」である。戦争自体をビジネス化してしまったアメリカの狂った実情と最近のイランの核開発を巡る緊迫した状況をみるに、危機はますます増幅されつつあるようだ。
もし、アメリカが中東での戦争をイランまで拡大したら・・・
おそらく、アメリカの財政は決定的に破綻し、ドルは基軸通貨としてのステータスを(永遠に)喪失する。(イラク戦争に注ぎ込んだ戦費だけでも朝鮮戦争とベトナム戦争を併せた額を超えようとしているそうだ)
原油価格はさらに高騰し、第3次オイルショックが世界を襲い、先進国は70年代のオイルショック時以来のスタグフレーション(インフレ下での景気低迷という最悪の経済状態)に見舞われる。
こうした「今そこにある巨大な危機」の前では、日本の国会で繰り広げられているテロ対策特措法を巡る論戦など、ほとんど意味がない。イランの核開発問題はノーベル平和賞受賞者にして、国境なき医師団の創設者でもあるフランス外相が「戦争」を口にするほどに緊迫の度を増しつつある。日本はイランに対して外交的なコネクション(しかも、先進国では最も有力な)をまだ保持しているはずだ。イランに対して、アメリカやイスラエルの先制攻撃を正当化するような愚かな火遊び(核開発)は即刻止めるよう、アメリカ以上に強く迫り、戦争の回避に全力を注ぐべきだ。もし、開戦となれば、それは9.11同時多発テロを仕掛けたテロリストたちの究極の目的が達成し、結局彼らが勝利したことになる。インド洋にたった数隻の補給艦を派遣したところで、日本に石油が入ってこなくなったら、それが何の役に立つであろうか。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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