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2045年の地図

2006/11/24 15:59
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ギートステイト制作日誌

2045年の日本を社会学や情報技術といった視点から描き出すプロジェクト「ギートステイト」。批評家の東浩紀氏、エンジニアの鈴木健氏、小説家の桜坂洋氏の3人が「未来」の制作過程をお伝えします(このブログの更新は2007年1月4日で終了しました)。
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鈴木健です。

前回のエントリーで、Second Life上でハイパーマップのようなことをやったら面白いという話をしました。この話を少し進めてみましょう。

このエントリーに、一緒にいったウノウの山田さんからトラックバックがありました。

どれも興味深いのですけど、健さんが出していた歴史が再現できる3D空間というのは映画「マトリックス」でネオがいわゆる本家マトリックスとは別のマトリックスの中でビルからビルへ飛んだり、カンフーの訓練をするシーンがありましたが、まさにあれですよね。

アラン・ケイも言っていますが、今の「教師、生徒、黒板」という教育スタイルは何百年も変わっておらず、もっとも変化のない分野の一つでもあります。しかし、これが実現されれば「教育」そのものが大きく変更されることになります。

これによる教育の質的転換は、人類の歴史にかなりのインパクトを与えるのではないかと思っています。僕がITおよびインターネットに強い関心を持つのは、こういった歴史的インパクトの可能性にあります。ビジネスというのはその出発点に過ぎないのです。

確かに、アラン・ケイの理想に近づく大事な一歩だといえそうです。
インタラクティブな仮想空間での教育という視点から言うと、マトリックスでのトレーニングに似ていますが、今回のブレストのアイデアは、限定されたトレーニング場が複数あるというよりは、実際の歴史地図にマップされたなめらかな一つの空間を再現することが重視されています。

ハイパーマップを説明した昔のエントリーを読んでみてください。

ハイパーマップは一言でいうと、ハイパーメディア化されたなめらかな歴史地図だ。

ローマ帝国がどのように拡大し、崩壊していったかをアニメーションでみたいだろう。そのときに日本はどんな文化生活を行っていたのか。鉄の普及範囲は? 思ってもない相関が発見できるようになるにちがいない。

地図に時間の概念をいれて、ありとあらゆる情報を叩き込む。

数学が好きな人は数学史として読むといいだろう。ガロアの決闘の時代背景に興味を持つかもしれない。

戦国時代の火縄銃の分布と領土の拡大のレイヤーを重ねて時間発展するアニメーションを見れば、今度はその時代の世界の銃の分布をみたくなるだろう。日本は独特だったのだろうか。

民主主義国家の分布と国民軍の分布を重ね合わせれば、その相関は一目瞭然だろう。その当時、どちらの国家タイプのほうが強かったかをすべての戦争に対して色別に表示して流せば、民主主義の軍事的優位性に対する何よりのイメージになるだろう。

気象はどうだろうか。平均気温の変化による植生の変化が、蕎麦文化に与えた歴史的影響に思いをはせることができる。

個々の事件や人物は教科書やwikipediaと連携して読めるようにするといい。逆もまたしかり。

中学や高校では、歴史は事件や物語として学習される。これは国史の延長であるとともに、近代化された"歴史"でもある。ハイパーマップはアナール学派が見ている歴史をもとりこむ。知りたいのは世界の構造とダイナミクスだ。ハイパーマップは事件と構造を同時に見ることができるツールだ。

このエントリーを書いたときは、2+1次元(空間が2次元、時間が1次元)のイメージでしたが、はてな近藤さんとのブレストで3+1次元のイメージになりました。

Second Lifeでは、博物館的な活動をしている人たちがいます。
たとえば、The Rocket Ring - Intl's Spaceflight Museumでは、世界中の歴史上のロケットをSecond Life上に再現して展示しています。

インタラクティブにロケットが運転できるようになるのも時間の問題でしょう。
文字でいくらロケットについて説明されても分からないことが、Second Lifeの中で見たりいじったりすることによって学習できます。これは、wikipediaとは違う新しい知の集積の仕方を示唆しています。

近代的な意味での百科事典の起源は、ディドロ、ヴォルテール、モンテスキュー、ルソーなどの啓蒙思想家たちが執筆した百科全書でした。これは、紙と活版印刷の時代における、当時の最新技術を用いた知の集積の仕方でした。しかし、コンピュータとインターネットの時代において、まったく同じ方法をとる必要はありません。

wikipediaは確かにすばらしいプロジェクトですが、紙と活版印刷の時代における知の集積の仕方をひきずっています。Second Lifeにはそれを超える可能性を感じてなりません。

Second Lifeは残念ながら3+0次元なので、3Dハイパーマップをつくることはまだできませんが、Linden Lab社の今後に期待しましょう。

2045年の教育は、こうした3D仮想空間で繰り広げられるかもしれませんね。

2次元の地図もまだまだ、捨てたものではありません。
「笑いマップ」は、大阪大学講師の松村真宏さんとのブレスト中に浮かんできたアイデアです。

Google Mapをイメージしてください。その上に世界中の誰かが笑うとそれが点としてリアルタイムに表示されます。いつ、どこらへんで人が笑っているのかが可視化されるのです。何に対して笑っているのかが分かれば、笑い話の伝播を地図上で見ることができます。

さらに、国ごと、地域ごとに、人が笑っている時間の平均を見ることができます。これをGDW(Gross Domesitic Warai)とよび、GDPに並ぶ国の豊かさを知るための新しい指標になっています。

人の幸せを計るのにいろいろいな方法がありますが、どれだけ笑ってられるかが、その人がどれだけ幸せかと深い相関がありそうです。そんなわけで、2045年には、首相は、所信表明演説で、「今年のGDWは2%UPが目標」などと宣言しています。強制的に人を笑わせる国とか登場しそうですが、はやく世界のGDWを見てみたいですね。

いまのところ、笑い測定技術は結構難しいというのが松村さんのリサーチの結果です。松村さんと笑いマップの研究は続けていく予定なので、笑いを測定するよいデバイスや技術の話があれば、ぜひ連絡をください。

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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