OpenOffice.orgがドイツ、Geeklogもドイツ…。オープンソースのプロジェクトリーダがドイツ人の比率はかなり高いのではないか。
ドイツではゴミの分別収集も徹底するなど、合理主義、省エネルギーといった理念はどの国よりも高いように思うが、そういう国民性が反映しているのかもしれない。
オープンソースは、非常に合理的な開発プロジェクトだ。だれもが関わることができてだれもが自由に利用できる。開発した資産はかならず公開されてみんなのものになるので、重複してあちこちで無駄に開発することが無い。開発資産は世界中の利用者に引き継がれる。
Geeklogのあるドイツ人コア開発者に、オープンソースでどうやってビジネスにしているのかを簡単にメールで聞いてみた。ドイツでは、開発会社がソフトウェアを開発したらそれをオープンソースとしてリリースし、サポートすることで利益を得るのだそうだ。日本ではまだまだほんの一部の企業の動きであり、大きな動きになっているとは言い難い。
オープンソースとして世界中のひとたちに利用してもらうためには、多言語化だけでなく、関数の前置子の取り決めやソースファイル名、ディレクトリ構成、カスタマイズ手法の提示、汎用的な機能追加手法の提供など、バージョンアップを継続しても、様々なカスタマイズを行っても、ソフトウェアの内部がゴチャゴチャにならないようにあらかじめ設計しておく必要がある。公開するからには恥ずかしくないソースでなければならないし、ソースコードがバージョンアップに際し、どのように修正されたかドキュメントも必須だ。
このように、公開することでプログラムがよりきれいになり、整理され、完成度が上がっていくものだ。
日本でも、もっと多くの企業がオープンソース理念に賛同してソフトェアを公開し、サポートを主体にビジネスを行っていくようになれば、大企業だけでなく、SOHOのような小規模事業者でも能力次第でサポートビジネスが各所で展開されていくのではないだろうか。
また、そうなれば、同じようなソフトウェア、機能が、同時に複数の会社で開発するのではなく、より高機能なオープンソースをさらに高機能にしていくので、開発人材をより有効に配置できるはずだ。
オープンソースをリリースする企業としては、リリースすることでより多くのひとたちに利用され、開発費用を出すことなく、無尽蔵に存在する世界中の開発者が勝手にどんどん機能をアップしてくれるわけで、永遠に次々とバージョンアップしていくソフトウェアをしかもそのオープンソースの配布元としてクライアントに提供できる。将来を見越した、近江商人に受け継がれる理念である三方よしをそのまま実現することにもなる。ちなみに、三方よしとは、売り手よし ・ 買い手よし ・ 世間よし。
さらにもうひとつ言いたい。日本ではかたくなに開発したら開発ドキュメントを求める会社がまだまだ多い。が、せっかく納品されたドキュメントの紙の山は、実際には活用されること無く死蔵される。開発と同じくらい大きな労力が必要とされるにも関わらず、だ。現状の開発スピードに対応するには、ドキュメントなどを一々揃えている暇は無いだろう。オープンソースにすると、ドキュメント化しなくても自然にだれもが見やすく開発しやすい設計を最初から行うことになるし、オープンソースに関する書籍などもすでに充実している場合も多い。できるだけオープンソースを利用して、ドキュメントの省力化を図って欲しい。そして開発したらオープンソースとしてリリースして欲しい。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
今駒哲子 on 2007/11/29
ドイツの話題から外れますが、私がいるビジネスの現場での認識とかけ離れているように感じます。以下が長くなります書かせていただきます。
■本当にドキュメントは理不尽なのか
ビジネスとしてクライアントサイドから開発と合わせてドキュメントが要求されることは少なくありませんし、中には理不尽な要求もあるかもしれませんが、ビジネスをしていて別にドキュメントを要求されることだけが理不尽な商習慣ではありません。少なくともドキュメントの制作が予算化されているならそれは正式な業務範囲です。
また、そうしたドキュメントの存在は開発者やクライアントを守ってくれることも少なくありません。責任分岐点を明確にし、余計な責任のなすり合いを防止してくれます。
私は開発スタッフには、コードの中だけでなくちゃんと外部のドキュメントを書きなさいと言っています。誰かが業務を引き継いだときに重要だからです。ソースコードからドキュメントを生成するツールはありますが、それはドキュメントの制作を支援するものであって、都合のいいドキュメントジェネレータではありません。
ですからドキュメントを書くのが得意、不得意ということはあっても開発ドキュメントというのは、OSSであれ何であれ重要なことに変わりないのです。
■きれいなコードを書け、とは
「公開しても恥ずかしくないようなソースをきっちりと組み立てる方向にチカラを入れるべき」とは、理想論ですが、経営者がそれを開発者に押し付けるなら単なる傲慢です。
人は自然にきれいなコードがかけるようになる訳ではありません。本人が努力するか、良いメンターについて研鑽を積むしかありません。
そしてそれを続けるには裏付けがなくてはいけません。つぎにそれについて書きます。
■OSSには開発費用出さなくていいのか
今駒さんの意見に
「オープンソースをリリースする企業としては、リリースすることでより多くのひとたちに利用され、開発費用を出すことなく、無尽蔵に存在する世界中の開発者が勝手にどんどん機能をアップしてくれるわけで」
とありますが、これがOSSに対する大きな誤解です。現在そうした理不尽な考えがOSSの普及の最大の阻害要因です。
OSSが基幹業務にまで浸透しようとしている現在、継続的にOSSとして活動を継続するには、そのチーム活動を支えるファイナンスが欠かせません。会社がOSSに関わるスタッフの人件費やサーバーや回線などの設備費用を負担する小規模のものから数億円規模のファンドを持つ大規模プレジェクトまで差はありますが、ファイナンスの裏付けのない活動はありません。
今駒さんには、まるで夢にような誰かがタダで開発しているように思われるのかもしれませんが、そのコストは誰かが必ず負担しているのです。そういった背景をもっと考えてください。
lettera on 2007/11/29
letteraさん,コメントありがとうございます。
きむこうさんのおっしゃるとおり,ドキュメントの求め方のベクトルがおかしいと思うわけです。
本当に必要なドキュメントではなく,ドキュメントのためのドキュメントになっている…
それより,公開しても恥ずかしくないようなソースをきっちりと組み立てる方向にチカラを入れるべきで,
より有効なドキュメント納品方法があってよいと思います。
オープンソースには割合ドキュメントがしっかりとあります。
それは,ドキュメントのためのドキュメントではなく,多くの人が関わってよいように準備する本当に必要なドキュメントです。
そういう実効性のあるドキュメントは大変有効だと思っています。
Geeklog導入ガイドを執筆したとき,本家から出されている開発ドキュメントを翻訳して開発ドキュメントの章を追加していますが,その内容は大変充実しており,本の内容も厚みを増したと思います。
わたしもそれ以上に,Geeklogの概要説明から管理方法,運用方法などたくさんのドキュメントをWikiで公開して,それらを元に本を構成していきました。
ヨーロッパ人は倹約家… 特にドイツ人は無駄なことを好まない,徹底的に合理化をはかるところがあるようにおもいます。
オープンソースは,彼らにとってもっとも理にかなった開発方法なのだと思います。
日本では同じ会社の中でもソースコードを共有しませんから,いろんな部署で無駄に開発を平行で行うことさえめずらしくないでしょう。
無駄を省き,開発資産を有効に継承していくための手法をもっと検討されて良いと思います。目先の利益だけを追わず…
今駒哲子 on 2007/11/29
>lettera様
今駒さんは
「ドキュメント整備を軽視」している訳ではなく
それよりもソースの完成度を上げましょう
という話をしているのだと思います。
(力をかけていくベクトルの方向性を
少し変えましょうと仰っているように感じます。)
ソースがすっきりしていて
ソース上のコメントの記載がしっかりしていれば
逆にソースからドキュメントを作成してくれる
ソフト(フリーならdoxygen,javadoc等)
がある訳ですから・・・。
日本には、大手に納品する時に
「仕様書を厚みと重さで図る+誤字脱字・句読点改行の
位置で検証」
という文化が未だにあるので・・・・。
(逆に納品ドキュメントの厚みは凄いんだけど
ソースコメントが殆どないようなものを見る機会
結構ありましたね。)
きむこう on 2007/11/29
タイトルに興味を引かれて読みましたが、書かれているのはオープンオースの開発一般論でしかないように感じられます。またドキュメント整備を軽視するような提案は疑問です。私が関わっているプロジェクトでもそうですが、整備された英語のドキュメントがあるからこそ、世界中で多言語対応ができるわけです。
ご自身がOSSを利用した企業の代表をつめながら、そういったことをどうお考えなのですか?
話を戻してどうしてヨーロッパでOSSが政府機関やグローバルカンパニーでない自国の大企業に導入されるかの理由は大きく以下の3つだと考えています。
・ヨーロッパ人は基本的に倹約家(ケチともいえる)であること
・アメリカが大嫌い
・ゆるいコンビネーションでの開発を好む
個人の主観的なものでしかありませんが。
lettera on 2007/11/29
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letteraさん,
■ドキュメントは必要であるのなら存在意義があるのです。
GeeklogもドキュメントWikiサイトは独立して持っていて,みんなで書き上げています。それは必要だから書くわけで,納品するために書いているわけではありません。本家のWikiドキュメントには大変助けられているし,わたしたちが書いているWikiも役に立っているはずです。
■きれいなコードを書け,と私は押し付けているわけではありませんよ。公開するのだと思えば,自然にきれいなコードを書くようになるものです。そうやって経験をつんで,あるいはオープンソースの仲間のソースを勉強してきれいなコードを書けるようになればよいのです。
■OSSには開発費用を,出さなくて良いとは一切言っていません。コストはみんなで負担していくものです。Geeklogも,コア開発者がうまく責任分担してそれぞれの立場で動いていますが,わたしの会社のスタッフが中心となって毎月ダウンロードパッケージをまとめていますし,サーバを提供したり,コミュニケーションのWEBサイトを提供,運営しているのもわたしの会社が中心です。最近では他社の協力も増えてきていますが。イベントがあればブースやセミナーを提供するもの現在のところ,わたしの会社が負担しています。でも,それよりはるかに多くの開発資産をみんなから提供してもらっています。そうやってお互いに持っているものをすべて出し合いながら,プロジェクトをすすめていくことに,意義があると思っています。中心となるOSSサポート会社が,しっかりとした責任を持って,資金などの提供も含めてサポートしていくことが必要だ,ということは特にこのブログでは言及していませんが,過去にこのシリーズのブログのなかで何度も触れています。