オープンソース活動にフィードバックは必須だ。
ここで言うフィードバックとは,バグを修正してその内容を配布元に報告したり,なにか新しく開発してそのソースを配布元へ提供するだけではなく,もっと広い意味で使っている。感想を言う,改善の意見を言う,バグ・トラブル報告をする,導入事例を報告する,開発だけでなくデザインを提供する,といったあらゆる配布元へのアクションをフィードバックと言っている。
しかしながら,配布側もほとんどの場合ボランティアなので,配布パッケージを開発して提供することで手一杯となり,フィードバックを受けやすくするWEB環境を整えるところまで至らないことが多いように思う。公開掲示板はサポート掲示板として多く見かけられるが,公開された場に書き込むのはなかなか勇気の要るものだし,そういった場ではより本音に近い意見や小さなフィードバックはなかなか出てこない。
Geeklogの場合にはSNSを導入しているので,どういったひとが日々どう活動して,どういう悩みをもっているのか,どんな気づきがあったのかが自然にわかるしくみになっており,コミュニティはいくつも立って,日々いろんな開発がそれぞれ自発的に生まれてきている。
ドキュメントはWikiを導入して,ユーザにも参加してもらっている。なにか成果がでれば,配布サイトのダウンロードセクションに直接ファイルをアップロードして公開してもらうなど,比較的簡単にいくつもの方法でフィードバックできるしくみを提供している。
そういうフィードバックを十分行える場作りができていないオープンソースの場合にフィードバックできないというのもあるだろう。
また,そもそも提供側も元は単なるユーザだった。 ユーザの裾野が広く,個々のユーザにフィードバックできるだけの時間的ゆとりや経済的ゆとりが十分なのか。ソースを公開できるほどの開発能力を持った人材なら十分社会的にも尊重されて経済的にもゆとりを持ててよいはずだと思うのだが,どうもそういう環境には無いようだ。
会社は年功序列,あるいは職務階級により,本人の能力にはほとんどの場合関係ない。いかに社内で上の位置に登るか入社とともにスタートダッシュしなければならない。
オープンソースが日本でより活用されるためには,オープンソース配布元のフィードバック受け入れ体制とともに,フィードバック側の個々のユーザ,多くは開発者なのだが,彼らの社会的基盤が必要なのではないかと思うのだがどうだろう。
だが,そういう自然発生的なオープンソースコミュニティにはぬるいところが必ず出る。
日本で成功しているのは,オープンソースをビジネスの商材として活用している会社が本腰を入れて提供している場合が少なくないだろう。Geeklogもわたしの会社の一番の商材なので,クライアントからの厳しいバグチェックを日々受けながら配布パッケージを開発しているが,もっとも力を入れているのはコミュニティの運営とフィードバックの反映だ。コミュニティで無尽蔵のフィードバック力を最大限活かしてGeeklogに貢献していくことだ。
企業がオープンソースの配布元になっている場合,コミュニティ運営によるフィードバック体制の充実により注力しなければならないのかもしれない。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
今駒哲子 on 2007/11/16
OSS だろうと、商用製品だろうと、フィードバックが欲しいのならば、きちんとしたマーケティング活動が必須でしょう。知名度向上させて、問題点や改善点など、浸透しない理由を収集し改善できる仕掛けが重要です。OSS だから、ボランティアだから、なんて理由で動かないのは、負け犬的な言い訳であって、やることをやるだけだと思うのだけどね。商用製品も、OSS もビジネスでやってきた人間として、OSS 周辺に居る日本市場の人々の甘えが気になります。
h-ikeda on 2007/11/16
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h-ikedaさん,コメントありがとうございます。
OSS 周辺に居る日本市場の人々の甘え…これ,非常に重要なご指摘ですね。オープンソースコミュ全体で統制が取れていないケースが予想以上に多く驚きましたが,それらは責任あるコミュニティとはいえないでしょうね。
コミュニティがちゃんと機能すれば,ボランティアとして参加していても責任ある参加になっていきますから,オープンソースのリーダは開発だけに興味を持つのではなく,コミュニティ運営にまで手を広げて,コミュニティとしてどう動くべきなのか方向付けを検討して改善していく努力が必要だと思います。