最終更新時刻:2009年7月10日(金) 10時48分
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苦悩するオープンソースコミュ運営(2)

公開日時:
2007/11/13 12:23
著者:
今駒哲子

前回「苦悩するオープンソースコミュ運営」をテーマにしたが,日本でまともなコミュニティ運営がなされているオープンソースは,実は数えるほどしかないのではないか。他のオープンソースのリーダやコア開発者から,オープンソースのイベント等での雑談で直接聞いた中では,ほとんどの団体で,「えっ!」と驚くような運営実体だった。

もちろんうまくいっている団体もある。

Ruby関西は毎月勉強会が開かれているそうで,いつも盛り上がってセミナーも大盛況だが,それはオープンソース自体に魅力があって,しかも運営者の努力とあいまって盛り上がっているように思う。Geeklogもセミナーやオフ会を頻繁に開いて,コア開発者が各種CMSに関わりつつもGeeklogを選んで大変な開発協力をしてコミュニティが盛り上がっている。素材の良さと運営の努力双方があわさって,理想的なコミュニティ運営になる。

重要なのは,盛り上がっている団体というのは,オープンソース自体の良さ,運営努力,この2つが両方ともうまくいっている団体だということだ。

オープンソース自体の良さだけではただ良いように使われるだけでフィードバックが疎かになる。コミュニティとしての動きができない。

一方,運営努力だけでは良い開発者が集まらない。良い開発者というのは, 同類のCMSをよく知っていながら,そのオープンソースを選んで積極的に貢献しようとする開発者だ。もし他のCMSを知って,そちらが良いと思ったら,いとも簡単に歯抜けのようにそちらへ流れていくはずだ。

オープンソースのコミュニティは,コミュニティを軸に,サポートしあったり,オープンソースソフトウェアの開発を共同で行っていく。そうやって情報共有し,情報公開してGPLの精神,オープンソースの精神をみんなで共有して助け合いネットワークを構築していくことだと思う。

そういう性質のコミュニティにおいて,中心になるオープンソースのリーダは非常に重要な役目を背負っている。全体の動きを把握して対外的にどう動くのか,主に,どのイベントに出展してセミナーを開催するのか,本をだれが執筆するのか,いつオフ会を開くのか,さらに,コミュニティの理念を共有していけるよう配慮しながらコミュニティを運営していく。自ら直接動く必要はないが,目配りだけは全方向に向いて,それぞれの方向付けをして,必要なときには軌道修正していかなければならないだろう。

技術力が突出してオープンソースに中心的に関わる場合は特に,リーダとしての立場を自覚してコミュニケーション能力を最大限に高めてネットワークを築き,良好なコミュニティ運営をすることを努力する必要があるのではないか。

また,オープンソースの場合,中心にいた開発者がボランティアで行っていたリーダの仕事を半ば放棄して仕事に専念する場合も少なくない。 しっかりと後継者を決めたうえで引退することだ。リーダにその実行力がないのなら,セカンドの人材がコンセンサスを得て引き継ぐことだ。

本家が英語で開発したオープンソースの場合,共通して言語の壁がある。これはプログラムの問題に留まらない。本家が英語圏にある場合には,プログラム内に言語ファイルが多数仕込まれていて多言語化が難しくなる傾向がある。ドイツなど,ヨーロッパ圏から配布されている場合には比較的言語が切り分けられているので安全だ。

さらに,本家における開発と日本における開発の歩調をどう合わせるか,これは英語によるコミュニケーション能力になるわけだが,日本のコミュニティに英語と開発両方の達人がどうしても必要になる。英語の能力,説明能力自体に自信が持てないのでどうしても躊躇してしまいがちだ。もちろん,わたしも含めて英語が苦手な開発者も本家の掲示板には書き込みをしたり,言語ファイルの提供など,精一杯フィードバックしているが,他の開発者と異なる意見の場合に説得していく技術が必要だ。このような場合,英語も説明能力も開発も達者なメンバーに頼ることになる。本家が主催している英語の開発者メーリングリストの量は半端ではなく,それらの情報を日本のメンバーにつたえたり,そこで日本のメンバーたちの考えを発言してフィードバックしていく。

こうやってできうる限りのフィードバックを行うことにより,本家とさらに良好な関係を築くことができる。翻訳を含め,卓越した人材が必須だ。

また,デザインのセンスは英語圏と日本語圏ではかなり違う。英語圏でのデザインをそのまま日本語圏で適用するだけでは本当に日本語化したとは言えないだろう。そこで必要になるのがデザイナーの参加だ。

つまり,コミュニティには,様々な層からできる限り多くの開発に協力してくれるユーザが必要なのだ。

その貴重なユーザを集める努力,そのユーザの声を満遍なく聞き取って意見調整してコミュニティを維持し,コミュニティを割れさせたりすることのないように調整する能力が,オープンソースのリーダに課せられているのではないか。

しかしながら,そういったリーダの役割の認識は,現在ほとんどコンセンサスが取れているとは言えないようだ。

いったいどんなオープンソースがあって,それぞれのコミュニティがどういう動きをしているのか,中心となって積極的に情報を集め,オープンソースの運営に協力しようとする動きがまだまだ鈍いように思う。

そういう動きを期待したいのは,たとえばNPO法人であるオープンソースソフトウェア協会だったりするのかもしれない。オープンソースソフトウェア協会では最近ではGPLセミナーなどよくセミナーが開かれており,リーダ同士で情報を交換するのに最適だ。

オープンソースソフトウェア協会にはGeeklogやOpenPNEなど,オープンソースのリーダが参加し始めており,Geeklogとはお互いに協賛団体として連携することになった。

そういう動きがさらに広がることを期待したい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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このエントリーへのコメント

4

日本では,全体的に技術者に時間的にも経済的にも余裕がなさすぎるのが,最大の理由のような気がしますね。

こういった開発ができる優秀な人材であればもっと社会的に恵まれて,したがってオープンソースの開発も余裕でできる,というふうになればよいのですが…

年功序列で能力関係なく,安い給与体系のまま使い倒されて,
最悪体調を崩してやめていくということになってはどうしようも
ないですよね。

結局経営側がどろくさいビジネスをして,開発者にしわ寄せを
かけていく体制,開発者が過去の開発遺産を引き継げず,
無駄な開発を同時にいろんな場所で行い過当競争になっている状況…
開発者の給与が高いからと,インドや中国に人材を求める傾向…

これでは良くなるわけは無いので,将来性の見込めない業界にいる
開発者は,将来を見越して今から起業準備をして,よりしあわせな
ライフスタイルに切り替えていって欲しいです。

  今駒哲子 on 2007/11/14

3

 そうですね。したがって
家で趣味でという形になると思いますが
(そこらへんはOSSに対して理解があり
企業的支援の方針がない会社では外国でも状況が同じだと思う)

 日本の中小の場合は、特にライフワークバランスが
裁量労働制、年俸制の名の下に崩れている気がする為
WEB系、組込系等の重い系の開発技術者では
時間制約的にかなり厳しいのではないかと思います。

 Ruby系(スクリプト系)が活発なのは
愛好者の方々が、運用系の方々が多く
比較的時間に余力がある方々の参加が多いのもあるのかもしれません。

  きむこう on 2007/11/14

2

現場になかなか余力が無いのでフィードバックしようにもできない状況というのも大きいし,現場ではさらにいろんな障害がある,というわけですね。

  今駒哲子 on 2007/11/13

1

 今駒様
前回は御丁寧なコメント有難うございます。

 自分がやっている業務でも
・ozzac というメールテンプレートを補助してくれる
 オープンソースに文字化けパッチを当てて使っていたりとか
・log4jとか多少いじったりして使っていますが

それは
==============================================================
 ソースをいじった場合責任が発生する
  =>仕事でやるならまだしも
    趣味のレベルでそこまで責任を取りたくない
 
 という感覚があるからだと思います。

 (上記に関しても業務の仕様上しかたなしに手を入れている
   というのが多いです
  <できれば配布状態のまま使いたいと思う技術者は少なくないはず)
==============================================================

  業務で使わせてもらってバグを発見して
 ローカルで修正して使ったとしても

  バグ掲示板等があれば報告しても
 ([sourceforge.jp のようにログイン登録せずに])
 いいかもしれませんが

  わざわざ「SVN」OR「CVS」から環境を落としてまで
 という方はいない。

 ということに起因している気がします。


  業務でオープンソースを使う場合
 ★低予算、短納期の案件に対して省力化で対応しなければいけない
  という状況が発生しているからで
  手間がかかるのは本末転倒ですね。


  後は、情報セキュリティが叫ばれる中
 ・「WEB鑑賞、メールのPC」と「ソースがあるPC」は別LAN
  という環境が増えてきたというのもあります。
  (ライブラリ等をネットで落としてきても
  上司の承認を得てUSBを借りて移動するなんて事もしばしば
  <=面倒くさい)

   特に「派遣さんにはネットを使わせない」
  なんてところもゴロゴロありますから・・・。



  したがってRuby等のスクリプト系等、安易に試せる環境ではなく
 Java、C系等の重い系のプロジェクト で期待するのは
 なかなか難しいと思います。
 <日本の業務形態では合わない

  残念な事ですが
 バグ掲示板等を設置してもらって情報を共有する程度
 で日本の場合は精一杯ではないでしょうか?

  きむこう on 2007/11/13

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