インターネットメディアが出現して10年以上がたちますが、その活用法はどのように変わってきているのでしょうか。広告コミュニケーションの側面から考えてみると、当初は「クリック」から始まりました。バナーやテキスト広告をクリックすれば、何らかの情報にたどり着ける、クリックすると何かが得られる、という感触が始まりです。これは、今までのメディア接触という次元から、アクションという未知の体験が加わった画期的なものだったと思います。
ここ数年で、ブロードバンド回線が浸透し料金的にも低料金で自由に使えるようになったので、媒体側でも動画や高精細な画像のコンテンツや広告商品を開発し、広告主側の関心度も一気に進み、いわゆるリッチメディア系のコンテンツや広告が主流になってきました。クリック主体のパフォーマンス重視の広告コミュニケーション(第一世代)から、そういうリッチコンテンツとリッチな広告表現も含めて従来のマスメディアと同等、またはそれ以上の表現力や機能を持ったメディアに成熟し、第二世代に入ったと実感しています。
ブロードバンドによるリッチ化によって、コンテンツや広告を表現力豊かにユーザーへ提供することで、インターネットの利用時間や頻度が上がり、ユーザーの毎日に欠かせない情報メディアとなってきました。そのリッチなコンテンツの一つが動画です。動画でなくとも、バナー広告をリッチ化した「リッチメディア広告」では、大容量・高画質・自由な動き・音声などを採用した広告スペックにより、クリックだけでなく広告そのものによってオーディエンスの関心を惹き、ブランドやメッセージの認知を獲得することができるようになってきたのです。いわゆる、ブランディング効果です。そろそろ、「ユーザー」でなく、「オーディエンス(視聴者)」と呼ばなければいけないのかも知れません。
インターネットはテレビのような時間(15/30秒CM、番組配信時間)の制限や、新聞・雑誌のようなサイズやページ数などの制限がないですから、自由な表現ができます。そのため、ナショナルクライアントがインターネットに他のマス媒体では提供しきれない情報を置き、その特性を生かしてタイアップなどの広告手法も活用され始めています。
マイクロソフトでもナショナルクライアントの出稿は確実に増えていて、2007年7−12月期では広告主トップ30社のうち6割はナショナルクライアントによる出稿で、この1年でパフォーマンス系の広告主を逆転しました。
あと、ディスプレイ広告のクリエイティブがきれいになったとか、動きが出せるとかだけではなく、ブランデッド・エンターテイメントの手法を使って、広告をエンターテイメント・コンテンツ化することで、そこにユーザーを巻き込んだり、あるいはメッセージを発信したりと、広告の中でコミュニティー形成ができるようにもなってきています。そういう立体的な増幅機能みたいなネットの特徴を、広告コミュニケーションにも組み込んで展開する例が出始めています。
こういった進化の裏側にはテクノロジーがあります。Web 2.0なんて前に騒がれていましたけど、結局、テレビのような時間的な制限もないので、オンデマンドであらゆる場所で接触できるようになっていますから、そういう意味でもネットやテクノロジーの進化によって時間とか空間の枠が外れ、主導権がユーザーの方に移り始めた訳です。前回も述べましたが、メディア接触とか情報摂取の形、主導権が変わってきたということです。
今年2月に電通が日本の広告費を発表しましたが、あの勢いだと、新聞もそのうちネットが抜くことになるでしょう。今の生活者のメディア接触と、情報取得元を考えると、「テレビとネット」が中心です。
海外へ行くと、「テレビとネット」という言い方さえしません。英国にNakedというすごく先進的なクリエイティブメディアエージェンシーがあるのですが、この間そこのメンバーと話していたら、彼らは「ここにテレビがあって、隣にプリントメディアがあって、その隣にアウトオブホームがあって…」と話していて、私は同列にネットが入るのかなと思ったら、「ネットはそれらすべてを囲むんだよ。これがコミュニケーションプランニングのベースだ」という言い方をしていました。確かに、そうなっているのかな、と思いますね。
いろいろな媒体からネットに誘導し、ネットに置いた無制限の情報にアクセスさせるという流れはもはや一般的になっています。最近では、そこにユーザーとのインタクティブ性すら付け加えることができるようになってきました。
さらに、リッチ化によるブランディングの次には「エンゲージメント」というキーワードも控えています。クリック数で計測されていた広告効果(CPC)から、クリックだけでなくインプレッション(=広告表示)によるブランディング効果へ移り変わり、さらに、ネット広告がより深いコミュニケーションづくりに向かって進化しているところです。どれだけユーザーを巻き込んで、ブランドとの関係性を作ったかという「深さの指標」であるエンゲージメントが注目されてきています。これもネットにしかできないものだと思います。
ネット以外でこういった関係性が作れるのはリアルイベントかなと思います。コンサート会場を感動体験が包み、参加者とのエモーショナルな関係が作られます。MSNのリニューアル・キャンペーンでも、「トランスフォーム」をテーマに、リアルイベントとネットの連動でユーザーのエンゲージメントを深めていくことにチャレンジしています。
テレビとネットの時代から、すべてのメディアをネットが囲むような時代になりつつあります。
また、海外と日本の違いの1つに コンテンツや情報に対する“態度”があると思います。日本人はどちらかというと受動的に、与えられた情報を見ることに慣れているのに対し、欧米では欲しい情報を自ら選んで取ってくるような、メディアや情報に対して前向きで能動的な感じがします。日本人の性質や社会の価値観が、自然とメディアへの態度にも表れてくるのでしょう。
特に、マスのメディアが個のメディアに変わり、ユーザーがネット上でつながり始めた現在、日本人のメディアや情報に対する行動がどう変わっていくのか非常に興味深いと思います。一方で既存のメディアのネットへの取り組みも本格化し始めています。
先日、マガジンハウスのユニークなコンテンツをネット上でオンデマンドで検索して楽しめる「マガジンサーチ」がスタートしました。雑誌とネットのお互いの強みを生かした面白い取り組みだと思います。こういったメディアのデジタル化による変化と人々の態度の変化が、メディアおよび広告コミュニケーションの今後を占う上で注目すべきポイントだと思います。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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> 最近では、そこにユーザーとのインタクティブ性すら付け加える
> ことができるようになってきました。
ここに事例があります。
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http://blogs.itmedia.co.jp/omowaku/2008/06/flashcm-c35d.html