なぜ石器時代?通信の世界で25年間生きてきていますが、最近の通信の発達の歴史にはすさまじいものがあります。たった10年ぐらい前の携帯電話開発について書くのですが、もうそれは石器時代のものといっても過言ではないと思うので、こういうタイトルにしました。。。
国別の移動体通信の歴史と現状
前回(3)はアメリカ、ヨーロッパ、アジアの歴史と現状(1990年代半ば)について書きました。今回は日本の歴史と現状を書きます。
日本の状況
アナログ方式
日本はアジアにおいて技術的先進地域です.日本電信電話公社(現在の日本電信電話株式会社(*1) 以下NTTとします.)はアメリカより4年早い1979年に800MHz帯の周波数でFDMAアナログ方式のNTT方式の商用サービスを開始しました.
1985年の電気通信事業法によりNTTが民営化されるまでは日本の自動車電話市場はNTTが独占していました.
郵政省は,1986年にNTT以外の日本移動通信株式会社と第二電電株式会社(*2)をサービス事業者として新規参加を許可し競合を図りました.
日本移動通信株式会社は,関東・中部地区で,第二電電株式会社は関西など関東・中部地区以外の地域での運用を許可されました.
この時,日本移動通信株式会社は,NTT方式で,第二電電株式会社はJTACS(Japan Total Access Communications System)方式でサービスを開始しましたが,1993年に日本移動通信株式会社はNTACS方式(NTACS Narrowband-TACS)でもサービスを開始しました.NTACSはJTACSの上位互換性を持っているので,JTACSの基地局にも接続することができます.
日本移動通信株式会社のNTACSの導入により日本移動通信株式会社と第二電電株式会社のローミングが可能になりNTTと同様に日本全国でのサービスが可能となりました.
PDC
アナログ方式のNTT方式,TACS方式に続くデジタル方式として日本ではPDC(Personal Digital Cellular)方式が採用され1993年に商用サービスが開始されました.
PDC方式はTDMAを用いるデジタル変調方式で北米のIS?54に似たシステムになっています.ただし日本の場合はアナログとのデュアルモードではなくデジタルだけのシングルモードになっています.
郵政省は更に競争による市場拡大のために,1994年の端末売り切り制導入時に各地域に更に2社づつサービスを許可し各地域4社競合となりました.
この時,追加で運用を許可された各地域毎の2社はこれまでの移動体通信に使われていた800MHzの周波数帯ではなく,1.5GHzの周波数帯が割り当てられました.
1994年の端末売り切り制導入を契機に,事業者間,端末メーカ間に競争原理が働き,新規加入者数の増加には目を見張る動きがありました.
1979年の商用サービス開始以来1994年3月まで15年間で200万台強になった累計台数が1995年3月には400万台強,さらに1996年3月には1,000万台強になっています.
この急速な増加は規制緩和によるよい例としてよく引用されます.
PDC方式は,1995年に9600bpsのデータ通信の商用サービス開始しモバイルユーザーの期待に答えました.
同じく1995年にはチャネル数増加の為に音声のデジタル化の効率を倍にしたハーフレート方式のサービスを開始しました.
これまでのフルレートは1周波数当たり3ユーザ収容可能でした.ハーフレートでは1周波数当たり6ユーザ収容可能となります.従ってハーフレートは同じ周波数帯域でフルレートの2倍のユーザを収容することができます.
PHS
日本においては米国のPCS同様,携帯電話とは別にPHS(Personal Handyphone System 第二世代コードレス電話システム)があります.
PHSは1995年にはじまった商用サービスで,1.9GHzの周波数帯を使い,TDMA-TDD(TDMA-Time Division Duplex)と呼ばれる上りと下りに同じ周波数を使う方式を採用しています.PHSとPDCの仕様の比較を表 1に示します.
表 1 PDC-PHS比較
PHSは音声のデジタル化を低圧縮方式に,出力電力も低くし,端末を廉価で供給できるようなシステムになっています.
10mWの送信電力にしたためPDCよりはるかに小さいマイクロセルのシステムになっており,廉価な基地局を多数設置するという思想に基づきシステム仕様が定義されています.この思想に従った形でPHSの基地局は実際に電柱や電話ボックスに多く設置されています.
ここでこれまで説明してきたTDMA方式の各国の比較を表 2に示します.
表 2 TDMA方式比較
CDMA方式
日本でも北米同様CDMAの導入の動きはあります.日本の場合はどの方式を選択するかの判断は各事業者毎に行なわれます.その中で北米と同様のCdmaOneを選択する事業者とNTTドコモ(日本電信電話株式会社から1992年に分離独立)が中心に開発を進めているW?CDMA方式を選択する事業者に分かれています.(*3)
*1 現在はNTTドコモです
*2 現在はこの二社と更にKDDが合併してKDDIになっています
*3 当時はまだ決まっていませんでした
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