のかもしれない、と『字幕.in』を見ていて思う。
法人がメタコンテンツをサービスの主軸に置いて収益を得る場合の決定的脆弱性。それは散々指摘されているが、元のコンテンツに100%依存してしまう点だ。
そういう意味では『ニコニコ動画』はいい人柱になっただろう。許可を得ずにYouTubeからコンテンツを借用し(しかもAPIではなく、通常の方法では得られないFLVをぶっこ抜いて加工)、それを法人が営利運営すればどういう結果に陥るのか、実証してくれた。
ドワンゴはまさに、巷に溢れる個人が作った非営利マッシュアップサービスの乗りで、莫大なトラフィックを生むサービスを作り、収益化し、運営してしまったと言える。
「でも、YouTubeとかAmebaVisionに面白い動画がすでにあるんだから、それを借りちゃった方がラクじゃん、と」。既存のサービスから動画を引用することで、独自コンテンツや動画サーバを不要に。
ITmedia News:「面白くないものが面白くなる」 ひろゆき氏が語る「ニコニコ動画」の価値 (1/2) から2007年3月4日14時45分に引用
「ニコニコ動画はYouTubeにとって脅威になったから」しいては「YouTubeにとって危険性を感じるから拒否された」と、YouTube側に非を求める意見があるが、提供されているAPIを通常通り利用しているならまだしも、"無許可""FLVぶっこ抜き"の点を考慮すれば、ニコニコ動画は全く文句を言える立場には無い。
そして、このように"ニコニコ動画がサービス停止をした原因とYouTubeが拒否した理由"を議題に議論が展開されがちだけど、本題はそこじゃない。
本題はメタコンテンツサービスを展開する場合の運営方法。営利法人と元コンテンツ提供者とのコミュニケーションのとり方だ。YouTubeから拒否された直接の原因を巡る議論は、この点の問題解決に収束されるべきでしょう。
なぜドワンゴはYouTutbeに予めニコニコ動画の趣旨を伝え、コンタクトしていなかったのか。相応のアクセス数が得られることは予想していた筈だが、全くYouTubeと対話しなかったのか。しようとしなかったのか。それは「コンテンツは無条件無許可で誰でも自由に使っていいんだ」という思想のweb2.0原理主義的考えに帰結する。それは先ほど引用したITmediaのインタビューでのひろゆきの発言にも垣間見れる。
またニコニコ動画を差し置き、YouTutbeの拒否について論って、「コンテンツは無条件で使用できる物で、それを後になってから拒否するのはおかしい」というweb2.0的価値観を前提にYouTubeを断罪しようとした意見も同様だ。
この価値観は大変先進的で素晴らしいが、その価値観に甘えるがあまり、対話能力に欠陥を産むこととなった。ドワンゴという営利法人のメタコンテンツサービスは、YouTubeという元コンテンツ提供者からの拒否により、サービス停止という結末を向かえる。
かと言って「web上のコンテンツを使うな」と安直に現在と逆の流れを主張するわけではない。先ほども言った通り、これは「拒否の是非とその原因」の問題ではなく、「法人がメタコンテンツサービスを営利運営する場合に、どのようにマネジメントしていけば良いのか。そして元コンテンツ提供者とどう対話すれば良いのか」という問題である。
一連のニコニコ動画を観察して気づいた点を、ざっと挙げてみた。
では何故字幕.inはYouTubeから拒否されないのだろう。FLVのぶっこ抜きに無許可利用。拒否される理由は沢山ある。
それは題名にある通り『非営利個人』に尽きる。これはYouTubeが非営利個人を意図して許容し、法人は拒否しがちという意味ではなく、非営利個人の作るメタコンテンツサービスが、アクセス数やトラフィックの観点から見て、必然的にYouTubeの許容範囲内に収まる収まりやすいという点である。
逆に言えば、例え今は問題なく運営されている字幕.inも、今後のトラフィック増加によっては、十二分にYouTubeから拒否される可能性があるというのが、私の考えだ。
また非営利個人のメリットはそれだけじゃない。非営利ということは収益に依存することが無く、いつ元コンテンツに拒否されても全く困りはしないという、メタコンテンツサービスを運営する上では絶好の環境下にあるということ。実質的なリスクが全く無い。
以上のようなことから、無許可でのメタコンテンツサービスを展開するのは、非営利個人だからこそ成し遂げられることであり、それをそっくりそのまま営利法人が実現したところで、先のニコニコ動画のように様々な問題にぶち当たることとなる。
法人がメタコンテンツサービスを営利運営する方法。それは従来の個人が作るマッシュアップやメタコンテンツサービスとは違い、繊細で精微なメタコンテンツサービスのマネジメントと元コンテンツ提供者との対話が絶対不可欠だと、私はニコニコ動画騒動の一連から学んだ。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
arasuji on 2007/03/05
ふむふむ on 2007/03/05
arasuji さん、なるほど、その説明ありましたね。でも、2ちゃんねるだって 個人で非営利で長らくとおしていたし、「非営利個人の作るメタコンテンツサービスが、アクセス数やトラフィックの観点から見て、必然的にYouTubeの許容範囲内に収まる」という見解は妥当とは思えません。YouTubeの許容範囲に収まるサービスをそう定義するぐらいじゃないと論理的に繋がらないんじゃないですか?
多聞 on 2007/03/05
>>多聞さん
コメントありがとうございます。
本文中に《これはYouTubeが非営利個人を意図して許容し、法人は拒否しがちという意味ではなく、非営利個人の作るメタコンテンツサービスが、アクセス数やトラフィックの観点から見て、必然的にYouTubeの許容範囲内に収まるという点である。》と書いてある通り、私も法人だからNGで個人だからOKなんて判断はしないと思いますし、YouTubeもしていないと思いますよ。
arasuji on 2007/03/04
私がサービスオーナーだとして、営利法人はNGだけど、非営利個人だったらOKなんて判断しないつもりです。
それなりのトラフィックをあつめてサーバーの負荷を増やすなど実害があって規約上トラフィックを遮断できる根拠があればトラフィックを止めるだけで、法人か個人かはあまり考えないでしょう。
また、
>「コンテンツは無条件無許可で誰でも自由に使っていいんだ」という思想のweb2.0原理主義的考え
というのは、誤解ではないでしょうか?シンジケーション重視とオライリーは言ってますけど、そんな無条件無許可なんていう発言はありません。
多聞 on 2007/03/04
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>>多聞さん
コメントありがとうございます。
2ちゃんねるに関しては一体いつごろから収益化したのか正確に把握していないので私はなんとも言いようが無いのですが、YouTubeの許容範囲内に収まっているサービスを定義してみますと、
【個人非営利】
字幕.in
http://jimaku.in/
HATENA-TUBE
http://www.fladdict.net/app/hatenatube/
oreseg(オレセグ)
http://oreseg.com/
【法人非営利】
Rimo
http://rimo.tv/
【法人営利】
ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/
この中で唯一YouTubeの許容範囲に収まらずに拒否されてしまったのがニコニコ動画ということになりますし、またこの中で唯一収益化されており法人であるのもニコニコ動画ということになります。
主に私の思いつく日本のサービスのみ挙げましたが、もしかしたらこれ以外にも沢山の例や海外の例があるかもしれません。その場合は申し訳ないです。
また多聞さんが指摘した文章のその後の文脈にもある通り、非営利の個人ならば必ず許容されるというわけではなく、その後のトラフィックによっては拒否される可能性も字幕.inの場合は十二分にある考えています。
少し誤解されやすい言い回しだったかもしれませんね。「収まりやすい