私も先日ようやくiPhone 3Gを手に入れたので、iPhoneとは何だったのかを書いてみようと思います。
iPhoneは発売前から大きな期待を受けていました。「日本のケータイ業界に対する黒船」とまで言われ、一般のニュースにまで取り上げられていましたが、発売した最初の週こそトップを取ったものの、その後は他社端末に負けています。ソフトバンク端末の中ではいまだにトップを維持していますが、iPhoneユーザーの7割は他のケータイとの2台持ちという調査結果もあり、既存のケータイを押しのけたと言うわけではないようです。メーカーの意向が強いiPhoneが普及することによって、キャリアが強い日本のケータイ業界の構造に変化が訪れるのではないかという期待が「黒船」という言葉になっていたわけですが、この状況では微妙なところです。
これはやはり、パソコンよりもケータイでネットを使うユーザー(ここではケータイ主義者と呼びます)の心を動かすには至らなかったという事でしょう。ケータイよりもパソコンでネットを使うユーザー(ここではパソコン主義者と呼びます)はかなりの割合が諸手を挙げて歓迎したわけですが、ケータイ主義者のほうがパソコン主義者よりも圧倒的に多数なのです。実際、ケータイ主義者が難色を示す点はたくさんあります。
・ワンセグがない
・おサイフ機能がない
・着うたがない
・電話感度が良くない
・バッテリの持ちが良くない
・よく落ちる
・片手で扱いづらい
・感触のあるボタンがないのでメールの返信が面倒だ
・日本語入力が遅い、日本語変換がいまいち
・いちいち遅い
・カメラが貧弱
・コピペができない
・着信拒否機能がない
・メールアドレスが変わってしまう
・絵文字やデコメが使えない
・ストラップホールがない
・ブラウザでFlashが使えない
・赤外線通信がない
電波感度の悪さは、アップルがケータイを作り慣れていないのと、ソフトバンク3Gの弱さのダブルパンチによるものだと思われます。実際、外出していてもお店の奥に行くと圏外になるとか、地下鉄では駅に着いても圏外のままとかいうことがしょっちゅうあります。今まで自宅で普通に使えていたのにiPhoneにしたら圏外になってしまったという悲惨な人もいるようです。ただ、ソフトウェアの更新で改善すると言う話もあり、将来に少しだけ期待が持てます。
バッテリの持ちは、実際そんなにひどいと言うわけではありません。ただし圏外にいるとあっという間にバッテリを消費するので、このあたりが悪評の元になっているのかもしれません。圏外に長くいるときはフライトモードにするなどして気をつける必要があります。
いちいち遅いと言うのは、実行するとまず通信するアプリが多いのが原因だと思いますが、日本語入力が遅いと言うのはメモリ不足が原因だと思われます。音楽を再生していると遅いという話もありますが、これは同時実行の処理速度が遅いのではなくて、メモリ不足だと思います。実は、ホームボタンを押してメニューに戻ってもアプリはメモリに残ったままなので、いろいろアプリを動かしているとすぐにメモリ不足になります。そういう時は、メニューに戻る時にホームボタンを7秒くらい押し続けるとアプリを完全に終了してメモリをクリアすることができるので、こまめにそうやっていればメモリ不足はほとんど気にならなくなります。日本語入力が遅いな、と思ったときは我慢して使い続けずにホームボタンを長押しして再開すれば快適に入力することができます。
ブラウザは重いWebページを閲覧しているとよく落ちます。これも恐らくメモリ不足が原因と思われます。ただ、無理に動き続けようとして固まるよりは、いさぎよく落ちてしまったほうがベターだと思います。実際、なんだかブラウザが遅いなと思ったときはホームボタンを長押しして再開したほうが幸せになれます。ここで言っているメモリというのは8/16GBあるフラッシュメモリのことではなくてRAMのことです。iPhoneのOSはMacOSを基にしているのでRAMを大食いするみたいですね。次の機種ではRAMをもっと増やしてもらいたいものです。
コピペ機能については早急に追加すべしとの声が大きいですが、これにはアップルのジレンマを感じます。いったいどうやってコピペを追加するんだろう?問題はコピペする範囲の選択手段です。ドラッグ操作は画面スクロールに使っているし、タップ&ホールドはカーソル移動に使ってしまっています。常套手段は範囲選択モードを追加することですが、ジョブスは鳥肌を立てて嫌がるでしょう。かと言ってソフトウェアキーボードに矢印キーを追加すると他のキーが小さくなってますます使いづらくなります。いまだにコピペ機能がないのはそのへんのジレンマが原因なんじゃないでしょうか?そもそもタッチスクリーンだけではまともに文章を編集しようと言う気になれないので、やはり感触のあるキーボードを付けるしかないような気がします。
そんなこんなでケータイ主義者にはすっかり嫌われてしまったiPhoneですが、パソコン主義者には絶大な人気があります。なんといっても、画面の小さいポケット機器でどうやってパソコン並みの表示を実現するか、という難問に鮮やかな答えを示してくれたところが画期的です。そしてそれだけではなく、未来のコンピュータの片鱗すら見せてくれています。
iPhoneのSafariブラウザは「そもそも広い画面で見るべきパソコン用Webページをどうやって見るか」という難題に最善の答えを出してくれています。これまでのポケット機器用ブラウザでは小さい画面に合わせてレイアウトを変えて表示していましたが、お世辞にもうまくいっていたとは言えません。Safariブラウザでは小さい画面に合わせるのではなく、まず全体を表示してから見たい部分を拡大する方式を取っています。Webページはたいていタテに段組されているので、見たい段だけ拡大すれば読めるようになるわけです。そしてそれはトントンとダブルタップすればうまいことにそこだけ拡大してくれます。もう一度ダブルタップすれば元に戻ります。まだ拡大が足りない場合は横に倒せばさらに拡大します。さらに、2本の指で自由に拡大/縮小することもできます。これは実に便利で、パソコンに戻ったときに不便を感じるほどです。実際、すぐそばにパソコンがあるのにiPhoneでブラウズすることがよくあります。今までこんなことはありませんでした。
メールはなんとIMAPクライアントです。ケータイ主義者はメールアドレスが変わることを嫌いますが、これはそういう問題ではありません。パソコンもケータイもすべて1つのメールアドレスで使いこなせるということなのです。今はMobileMeが安定していませんが、安定すればiPhoneユーザーはすべてMoblieMeか、またはそれと同等のサービスを使うべきです。そして、特に使い分ける必要のない他のメールアドレスは捨ててしまえばよいのです。パソコンにメールを保存して、パソコンやメールソフトを替える時には移行して、などという作業はいらなくなります。MoblieMeはまた、スケジュールや連絡先も同様に一元化することができます。つまり、パソコンのデータのバックアップに気を使うなどということがなくなります。
iPhoneの本質は、来るべきクラウドコンピューティングを垣間見せてくれるところにあります。以前、PDAというものが流行りましたよね?あれはパソコンに置いてあるデータを自由に持ち出せるところがウケました。iPhoneはそこから進化して、ネットのどこかに置いてあるデータを何処に居ても自由にひっぱりだして利用することができるようになりました。Googleマップや天気や株価も、ネットのどこかにあるデータを利用するという意味では同じことです。マスターデータや複雑な処理はすべてネットのどこかに任せて、手元の機器は単なる窓口というわけです。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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