最終更新時刻:2009年1月8日(木) 7時50分

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BD対HD DVD「両負け」の可能性

公開日時:
2007/04/02 00:40
著者:
tobitani

あれは1984年のことだったと思う。駅前に初めて「レンタルビデオ店」なるものが現れた。当時は1本1500円も取られたけれど、私はけっこう喜んで利用していた。当時は買おうとするとその10倍ぐらい取られたし、WOWOWもスカパーもなかった時代だったので、観たい映画を観たいときに楽しめる初めての手段だったのだ。しかし、困った点が1つあった。いちばん観たい映画がVHSではなくベータテープでしかレンタルされていなかったのだ。店長さんに聞いてみたのだが、小さい店でタイトル数を揃えるためにはしかたがないという答えだった。

同じころ、ビデオディスクでもレーザーディスクとVHDという2つの規格が並立していた。当時は今と比べればけっこうこういう競争を好きにやっていたのだ。ユーザーのほうも、これだけ普及したんだからそう簡単になくならないだろうと高をくくっていたのかもしれない。しかし、レーザーディスクとVHDの闘いは実にあっさりと決着が付いてしまい、敗れたVHDは急速に市場から姿を消してしまった。そしてそれより時間はかかったものの、ビデオテープの闘いもやはり勝負が付いてしまい、ベータビデオは家庭から完全に姿を消してしまった。

ここでは勝敗の原因について特に分析しない。それよりも重要なのは「ビデオ規格は並立しない」という厳しい現実だ。共存は長続きせず、必ず決着が付いて、敗れたほうは徹底的に抹殺されてしまう。メーカーもユーザーもひじょうに痛い思いをしてその現実を学んだ。

そこで、次の世代のビデオ規格ではその愚を犯さないようにした。あの時も、ソニーがMMCD規格を開発し、東芝&松下連合がSD規格を開発してあわや戦争が勃発しそうになったが、両者は話し合いを選び、他メーカーも含めてDVDフォーラムを結成してDVD規格に統一した。さて、これでめでたしめでたしとなったように見えたが、実はぜんぜんめでたくない人たちがいた。ソニーである。DVD規格はSDとMMCDの両方の技術を取り入れたものだが、一から作り直すような面倒なことはせず、SD規格をベースにして制定された。そしてDVDフォーラムでも東芝と松下が主導権を握り、ソニーは冷や飯を食わされる結果になった。その軋轢はすぐ表に出てくる。書込み型DVDの規格で論争が起こり、ソニーはDVDフォーラムが採用したDVD-R/RWに対抗して、独自規格のDVD+R/RWを市場に出した。そしてさらに、次世代光ディスクでは松下を味方に引き入れて、自分が主導権を握れるBlu-rayフォーラムを立ち上げた。東芝はあくまで次世代光ディスクもDVDフォーラムで作ることにこだわってHD DVDを開発し、現在までこじれたままになってしまったわけだ。

さて、今後はどうなっていくのだろう?ポイントは2つある。第一のポイントは、以前の規格戦争とは違い、両対応の機器が作れてしまうということだ。現にLG Electronicsが発売を表明している。ただし、競争の当事者メーカーにはまったくそのような動きはない。「両対応は勝敗を長引かせる」と主張し、あくまでも相手を殲滅することに集中している。そして、その主張は正しい。たとえ両対応の機器が普及したとしても、両規格が永遠に並立するわけではないからだ。これが第二のポイントだ。誰にとっても、両規格が両立して良いことは何もない。AVメーカーには開発の負担がかかり、コンテンツメーカーはどちらのディスクを作るか悩み、ユーザーは割高の機器を買わされることになる。

どちらが勝つかが大方の興味を引くところだと思うが、私の予想ではそれは「どうでもいい」。ヒントは書込み型DVDにある。書込み型DVDはたくさんの規格が乱立して混乱しかけたが、全対応の機器が出て混乱はほとんどなくなった。それでも、次世代光ディスクに取って代わられずに長い時間が経てば、どれかに集約されていくと思うが、とにかく混乱は収まった。つまりBDとHD DVDも、いち早く両対応の機器を発売したメーカーが勝つのではないかと思われる。いくら相手を殲滅することにこだわっても、現実に両対応の機器は出てしまう。ユーザーは多少割高でもそれを買うだろう。片方だけでは観られない映画が存在するし、2台とも揃えるよりはずっとましだ。へたをするとどちらの陣営も勝てない「両負け」になってしまうのではないかと危惧している。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

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この競争,一番怖い存在はMSです。MSは,次世代DVDを実際のところこれっぽっちも必要としてません。そのMSがHD DVDに対して半端にコミットしてることが余計に混乱を生んでいます。MSはPCでも再生負荷の少ないVC-1コーデックが標準になって欲しいだけなのです。
そういう意味では,「規格共倒れ」を狙っている輩がいる,というのは認識としては必要かもしれませんね。

それを除けば,実際BDを使ってる身としてはほとんど勝負あった感じですよ。
ただ,MSの動きが怖い。高ビットレートのAVCはPCでまだロクに再生できないですから,なにを仕掛けてくるかわからない。
次世代DVD問題はBD vs HDDVDから家電vsPCへステージが移った気がします。

  kon2 on 2007/04/02

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